五十嵐大介『はなしっぱなし』読了

Posted at 11/08/18

昨日は神経が擦り減る種類のことで忙しくてブログを更新できなかったので、書き始めた分を先ほど17日分として更新した。大した内容ではないけど。

今日も朝から出かけたのでじっくりブログを書く暇がなかった。今日はモーニングの発売日で、一か月ぶりくらいだろうか、『ピアノの森』が掲載されていた。カイの衝撃の告白の続きだが、まあそんなに予想外でない、と言えば予想外でないし、予想外であると言えば予想外の部分もあり、まあやはり期待をもたせる展開をするんだなあと思う。「カイの優勝は無理」というのを無理でないと感じている人はむしろポーランドの王者の誕生を待望する(つまりカイを落としたがっている)審査員のピオトロさんくらいのもので、多くの人たちは期待はしても無理だろうなと思っている。そこをはっきりさせるところから物語の筋立てを作っていくということは、もちろん逆のフラグが立っているわけだけど、しかしフラグが立ったからと言って展開に無理があったら難しいわけで、そこらへんのところはどうなるんだろうか。

はなしっぱなし (下) (九竜コミックス)
五十嵐大介
河出書房新社

五十嵐大介『はなしっぱなし』上下読了。これは五十嵐のデビュー作だけど、実は最高傑作なのではないかと思った。短い枚数に多くのものが凝縮されて結実していて、彼のファンタジーからイリュージョンへの<成長>がつぶさに見てとれる。これだけの凝縮性の高い画面が毎号掲載されていたんだなあと今更ながら驚く。最近の大きなファンタジーももちろん面白いのだけど、こういう短編は私は好きだなあ。このあたりになると諸星大二郎というより高橋葉介の方に近いものを感じるけど、これだけ自然志向とファンタジー志向が一致している作家(マンガ家)はやはり他に見た事がない。自然思考のみ、ファンタジー志向のみの作家は吐いて捨てるほどいても、その両者がこれだけ見事に一致しているのはそれだけで類例をみない。日本マンガ界の至宝というのもあながち誇張ではない。

松本の方に車を走らせると、まだ青い田の中に風が強く吹いて、稲の波に一瞬大きな指先で撫でたような跡がつき、そして何事もなかったかのように元に戻っていた。

   行く夏の稲田に風の指のあと

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