何が過去で何が現在か/歌枕も被災
Posted at 11/03/30
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忙しいのか自分で自分を忙しくしているのか今一つよくわからないところがあるのだが、とにかく忙しい。もともとこの時期は年度末年度初めということでいろいろ忙しいのに加え、地震や津波や原発などで変に余計に頭が忙しかったりする。もっと創作のことに頭を使いたいのだがなかなかやっている時間も体力も十分でない。まあしかしこういう体験はしようと思ってもできないことだし、今は今やるべきことをとにかくやらなければならない。自分のやるべきことをとにかくしっかりやって行こう。
地震以来、ずっと膨大な情報の流れの渦の中にいる感じがする。地震の凄さ、津波の悲惨さ、プレートの巨大な移動という地球科学的な脅威、原発の重大な事故に伴う耳慣れない放射性物質や単位、原発の構造や問題点、原発擁護派と反対派のツイッター上でのぶつかりあい、食品や飲み水への放射能の影響など不安の広がり、そして被災地の非常に苦しい現実などなど、とにかく普段はほんのわずかしか容量が用意していない頭の中の部分に大量の情報を注ぎこまれて、ほとんど頭の回転が機能停止に陥りかけていた感じがする。
しかしここにきて、ようやく頭の容量が「震災」という項目に対応できるだけのメモリ領域が確保されてきて、少しは頭の整理が出来るようになってきた感じがある。特に原発のことに関してはこの事故の評価をどのように考えればいいのかいろいろ調べたりプリントアウトして読んだりしたので、いくつか資料が残っていて、ひとまずそれをファイルを作って整理することにした。もちろんこの震災はいまだ全体像すらつかめず、事象は現在進行中で予断の許さない部分もあり、全然まとめに入れる状況ではないのだけど、とにかく頭の整理はしておく必要がある。原発の状況にも一喜一憂しなくなってきたし、被災地の現状に関しても自分に何が出来て何が出来ないかなどが多少は冷静に考えられるようになってきている。これからしばらくの間、日本は震災の爪痕を乗り越えるのに長い時間を要するだろう。関東大震災からの復旧に数年、戦災からの復旧にも数年かかったわけで、神戸の街が蘇るのにも一年や二年では済まなかった。その間日本は十字架を背負って長い道を歩くことになる。それはまだ始まったばかりなのだけど、自分の頭の中でこの震災に対するこれまでのところの「評価」を行って自分の活動の全体の中に位置づけて行かなければならない。この地震が、私のやるべきことを変えたわけではない。しかし、若干の姿勢の変化は、まだよくわからないがこれから自覚されて行くだろうと思う。
そのことの象徴として、今日「震災関連」と背表紙に書いたファイルを作った。震災=現在で止まっていた時間の流れが動き出し、一つずつ確実に過去として評価できるようになって行く。何が過去で何が現在か。起こってしまったこととリアルタイムに起こっていること。過去を評価し、現在に対処して、未来に向かって備えをかため、向かうべき道筋をつけなければならない。まずは自分自身の。
かづらきさんのブログで知ったのだが、百人一首の「契りきなかたみに袖を絞りつつ末の松山浪こさじとは」という清原元輔(清少納言のパパ)の歌に出て来る末の松山は宮城県多賀城市にあり、いろいろ調べてみると平安時代の貞観地震(古今集編纂の数十年前で今回と同じような巨大地震・巨大津波が押し寄せた)でかなりの被害が出た、その記憶が反映されているのだという。その話は読んだことがあったが、実際に波が越えてしまったというから文学は侮れない。元輔は「梨壺の五人」の一人だから村上天皇のもとで編纂された後撰集の編者だ。そうか貞観は清和天皇の年号だから清和・陽成・光孝・宇多・醍醐・朱雀・村上と6代も前の話になるわけか。22世紀の初頭に今回の地震について振り返っているようなものなのだ。
今回の地震、戦後の昭和20年代を振り返る言説が多々あったが、平安時代まで振り返ることになるというのはこの日本という国と地震との付き合いの免れがたさというものを改めて確かめさせられた思いがする。
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