マンガをなめてはいけない

Posted at 10/05/24

今日は雨。昨日も雨だった。明日はどうなんだろう。夕方には雨が上がって、今日の最高気温は夕方に出る、というようなことを朝のニュースで言っていた。確かに少し肌寒いな。ほとんど家から外出はしてないのだけど。

少し書いては休み、という感じで書くことにもあまり集中できていない。今12時過ぎだが、外が明るくなってきたから雨は小止みになってきたのだろうか。

昨日はずっと『日出処の天子』を一気読みしてしまったが、今朝はなぜだか『Giant Killing』を一気読みしてしまった。アニメでやっているジャイキリを昨日の朝見たとき、自分の解釈が少し作者の意図を読みきれてなかったところがあることに気がついて、その部分を読み返していたら結局全部読み直すことになったわけだ。

GIANT KILLING 4 (4) (モーニングKC)
綱本 将也
講談社

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連敗したETUは達海の考えで練習のときにサッカーテニスをやり、その結果でスタメンを決める。それに黒田が反発してさぼり、スタメンをはずされて黒田は激怒するわけだが、達海の意図はETUに染み付いた「負け犬根性」を一掃することだった、というくだりだ。馬鹿みたいな遊びでスタメンを決める、ということの意図は、「馬鹿みたいに遊ぶ」ことで敗戦を引きずらず切り替えて前に向かっていく気持ちを作る、ということにあった。黒田はそれに反発して練習をサボり、杉江もそれに付き合うがそれによって試合に出られず、若手がCBを務める。しかし杉江はその試合を見て若手がポジションを上げ、中盤を狭くしてチーム全体がコンパクトに機能できるようになっているのに気づく。そして自分たちが敗戦を引きずって引いて守っていたことに気づく。それが「守りの意識」ではなく「負け犬根性」の現われだった、ということを黒田と確認することで、二人は練習に復帰する、というストーリーである。

単純だが闘志溢れるプレーをする黒田と、冷静で体格のよさを生かし、日本代表候補にもなったことがある杉江という二人のセンターバックが、達海の監督術によって自分たちの現状に気づき、姿勢を前向きにチェンジしてリスクを恐れず前向きにプレーするように変化させた、という話だ。杉江に尋ねられた元日本代表ゴールキーパー緑川は言う。「あれが遊びだってんなら、きっと遊びでなきゃいけない理由があるはずなんだ」「若手は危なっかしさは確かにあった。でも機能してる感じはあったな。逆にお前たちの場合は、時間が止まってるんだよ。チームが前に進んでるのに、お前たちはそれでいいのか?」杉江は黒田に言う。「開幕戦の一点目、あのゴールで俺たちは腰が引けたんだ。あんなのラッキーゴールだ。すぐ切り替えなきゃいけなかった。なのに俺たちは不安に駆られてゴール前にへばりついてたんだ。去年までと同じように。」「いや俺らはちゃんと」「頭で思ってただけだ。身体は反応してない。俺たちは変わってない。変わった気になってるだけだ。」

「時間が止まってる」とか「去年までと同じように」というのは、つまり今まで染み付いた「負けぐせ」「負け犬根性」のことを言っていたわけだ。不安に駆られて守りに入る、というのがまさに負け犬根性だ、と言っているわけだ。そうならないために、ガキみたいに遊ぶ。遊ばせる。このあたりのメンタルコントロール、サッカーだけじゃなくいろいろなことに言えそうだ。

マンガというのは読みやすいからいつもよく読むのだが、何回も読んでいたのにアニメを見るまでこのシーンの持つ意味を本当には理解していなかった。好きだからといって、奥底まで理解しているとは限らない、という例だなあと思う。マンガをなめてはいけない。私などマンガは好きだから舐めているつもりなど全くないのだが、それでも結果的にそうなることもある。慰安としてでなく、表現者として真剣勝負で読む部分がもっとなければいけないと思ったのだった。

実際、最初からコミックスで読んだ部分というのは、一気読みしてしまうのでどうしても細部の読みが浅くなり、ワンシーンワンシーン、ひとコマひとコマに込められた意味まではちゃんと読みきれていないな、と今読み返してみると思う。アニメではアニメ製作者の「解釈」が間にはいるので、それによって気づかされることもある。アニメでも実写でも原作物はとかくイメージとのギャップが問題になるけれども、ちゃんと解釈されている作品は原作理解に資するものだと改めて思った。

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