「馬鹿げている」

Posted at 10/05/12

昨日帰郷。出かけるとき、東京は雨が降っていた。昨日は8時ころ近くのパン屋にカンパーニュがないかと探しに行ったのだが、まだできてなくて、パン・コンプレを買って帰った。ラ・パレットは日月が休みなので、買いに行けるのは火曜日だけなのだが、朝早いとまだ色々はできていないようで、そのほかアップルパイとイチゴジャムと牛乳を買って帰った。アップルパイはホールのリンゴのシロップ漬けを半分使ったもので、ここのところ出ていなかったのだが、久しぶりに食べてみるとやはり美味しい。昨日の朝は日曜に買ったポンパドゥールのパンの残りとそれらを食べたので、結構食べ過ぎてしまった。

丸善丸の内店に立ち寄ってざっとウィンドーショッピングし、丸の内北口の予約機で切符を取って、お腹がすいていないのでお昼をどうしようとかと思ったが、結局「大地を守る会」のショップで雑穀ご飯と蒸し野菜サラダを買った。特急はわりと空いていたが、寒いのに送風だか冷房だかが入っていて、寒くて困った。そろそろまた膝かけを持って歩かなければならない季節かと思うとちょっとイヤだ。

葬送〈第2部(上)〉 (新潮文庫)
平野 啓一郎
新潮社

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車内では主に平野啓一郎『葬送』第二部上を読んだ。二月革命の混乱ののち、ショパンがスターリング嬢に招かれてイギリスにわたった時のありさま。善意はあるが気づかいが足りない扱いを受け続け、また音楽家に対する尊敬の低いイギリスの文化事情にも参ってしまったショパンがどんどんやつれて行く様子が痛々しい。そしてまたドラクロワの話に戻る。現在440/457ページ。出かけるときに、読みかけの本がたくさんあって、どれを読むか見当がつかず、『葬送』は今週中には最後まで読み切れないだろうと思って第二部下を持って出なかった。まあ読み切ったら、土曜日まではお預けだ。

音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書)
岡田 暁生
中央公論新社

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それから岡田暁生『音楽の聴き方』。現在173/237ページ。第4章まで読んだ。いろいろ面白く感じ、また刺激されたこともたくさんあったし、ああ、こういうことだったのかという発見がいろいろある本。アートに対し、自分の中を掘り下げるのにもずいぶん役に立っていると思う。それでも、この本を読んで一番得るところがあったのは、音楽評論という自分にとっては新しいジャンルに、最適の案内役になってくれたということだろうと思う。音楽には「聴き方」があるのか、あるとしたらそれはどういうものか。それはまあ、目新しいものではないといえばないのだけど、自分の中でアートに対するときに感じている気持ちや、どういう姿勢で臨むべきかというような自分なりの考えのようなものを、非常に適切に整理してくれてあるように思った。音楽だけでなく、絵画や演劇に対する考え方も書かれていて、非常に参考になる。

というよりも、音楽というジャンルが、批評言語の在り方が非常に難しいというか、絵画や演劇などからの比喩だとか、方法論のようなものを持ってこざるを得ない、そういうものなのだということが分かったのは面白かった。弾き方を説明するときに「わざ言語」を、日本舞踊の例を引いて書いてあるのがとても参考になった。というかつまり、自分が演劇をしていた時も、そういう「わざ言語」にはとても興味があったからだ。「わざ言語」とは、ある振りをするときに、「指先に目があるつもりで」踊れ、とか、そういう言葉のことをさしている。つまり演者のイマジネーションを広げることによって、より豊かな表現を可能にするような指示のことばだ。芝居でも、より優れた演出家は、そういうわざ言語のボキャブラリーが豊富だが、音楽でもそういうことはあるんだなと思った。

まあしかし、そういうものに対する対し方は人ぞれぞれで、トスカニーニなどはそういうものを全然信じなかった指揮者らしく、ある曲の楽譜に、一つのピチカートにクレシェンドとデクレシェンドがついているのを見て、「stupid」と書きこんだといわれる。もちろん一つのピチカートをクレシェンドしデクレシェンドするなどということは不可能なのだが、作曲者は指揮者がそう書いた作曲者の意図を読み取ることを期待して書いているわけで、それを「馬鹿げている」と切って捨てるのがトスカニーニなのだそうだ。こういう話は読んでいて大変興味深い。

今朝は少し冷えたが、というか信州は昨日からけっこう寒いのだが、だんだん晴れてきたので少しは気温が上がるだろうと思う。小説に関し、今朝はある点とある点を結ぶ部分が一応書けたので、やれやれという感じだ。まだまだ先は長いが、とりあえず一稿を上げてしまいたいと思う。

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