作家と演出家/お墓の掃除

Posted at 10/04/21

昨日。午前中は松本に出かけて帰ってきた。雨がぱらついたり上がったり。午後は日曜日の父の納骨の手配をして、3時半から仕事。最初はあまり忙しくなかったが、だんだん忙しくなってきた。10時に仕事を終え、帰宅。夕食、入浴、就寝。

月曜日に友人と話したことを整理する。それをテーマに何枚も「考える花火」を作っているが、ここで考え方をしっかりしておいた方が後々いいと思うので、そのあたりをやっている。そうやっていると、いろいろうれしい発見があったりして、結構前向きになってくる。前向きな気持ちでいると、色々アイディアも湧いてくる。自分が書いてきた作品の傾向がようやくつかめた、というのもなんだか変な話だが、私はどうも本当に主観の強い人間なので(客観ぶって書いてますけどね)、自分を周りから見ることが難しい。演劇が楽しかったのは、自分を周りから見るすべを身につけたからなんだなと思う。いまではなかなかそういう出来るはずのこともできなかったりはする。一息入れて出来ることをやらなければと思う。

朝は6時前に起床。朝の気温が10度前後だと、すごく快適だ。布団の中から出るのは少し寒いが、起きてしまえばそう寒くない。寝る前にもう少し活元運動をすればよかったのだけど、きのうは愉気の会で先生にも愉気してもらったし、だいぶ楽になったので、よかった。自分のやっていることが客観的に見えてくると、結構面白いことをやっているんだなと思う。そういう目を持ちたい。

今朝は起きてモーニングページを少し書いて、創作ノートに移って、結局「考える花火」で友人との話をまとめてそこからの発想をいろいろ記したりした。その話の内容は色々な部分にわたっていたので、テーマごとに取り出して考えている。考えが進むテーマもあれば、なかなか考えにくいテーマもある。進むテーマをなるべく考えているのだが、考えているうちに結構あらぬ方向に行ったりして、でもそれも重要だ、ということもある。

共通の友人がいまある県の舞台芸術センターの総監督をやっていて、その機関の中高生向けの紹介ビデオを見た方がいいよと言われて初めて見たのだが、これが良かった。彼の顔を、映像であるとはいえ見るのももう何年振りだろう。人はみな孤独だけれども、孤独であるということはみんな同じだ、という話。舞台芸術の素晴らしさというものを彼独自の観点で語る語り口は、何十年たっても気持ちがいい。いいものを見たという感じだった。

そういうことを思い出したり。私は、まあ主観性が強い人間なので、編集より作家、演出より作者・あるいはキャスト、というタイプなのだなと改めて思う。編集が出来る気がしたり、演出が出来る気がしたりしたのは多分、作者の立場からこうしたい、というのがあるというだけで、本当に作品として芝居なり書籍なりを作るというのとは多分違うんだろうと思う。そういうことも今までにやってはみたけれど、やはり私はコンテンツを作っているときが一番楽しい。コンテンツと言っても主に文章だけど。

考えてみると、西洋の伝統というのは、芝居にしても音楽にしても書かれたもの重視であって、シェークスピアの時代の芝居を実際にどうやってやったかが伝承されてきたわけではない。バレエはそれでもかなり古くから振付が保存されては来ているけれども、それでも200年くらいではないか。日本では歌舞伎は江戸時代から、能は室町時代から「芸」が相伝されてきているわけで、そのあたりは全然違うと思う。それは西欧近代がオリジナル重視、つまり「個人絶対主義」みたいな立場を持っていることと関係あるだろう。日本では芸は「家の芸」であって、個人の功績は「その名前を大きくしたこと」であるけれども、西欧の芸術はいかにオリジナリティにあふれた個性を発揮するかということに重点がある。

巨大な個人であることを目指すのと家の伝統の中で輝くのと。このあたり、ちょっと考えただけだけれども、AV機器が発達したことで西欧のそういうものも受け継がれていく条件が出てきたわけだし、また日本のそういう芸も相対化されて磨かれていく可能性もある。どちらもその良さを取ることが出来ると面白いと思うが、まあそう簡単じゃないな。

とにかく西欧では作家はその作品を残せても、演出はその作品を残すことが難しかった。今ではそれが出来る、ということを思ったわけだ。

朝食後、日曜日の納骨に備えて、お墓掃除に行った。草をむしって、お墓の石塔と墓誌を洗う。バケツの水がみるみる真っ黒になったから、こちらが思っているより汚れていたんだなと思う。江戸時代からの古い石塔がいくつかあるが、今回は洗わず。お墓を掃除するとすがすがしい気持ちになる、という話を以前からよく読んだけれども、本当にすがすがしい気持ちになった。

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by Luke Peterson

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