川で洗濯する人/現場と書くこと
Posted at 09/09/26
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昨日は喉鼻耳系の調子が悪く往生したが、夜になって何とかなってきて、幸い早めに上がれたので夕食後簡単に風呂を浴びて早めに寝た。今朝はまあ本調子とは行かないがだいたい何とかなった感じ。起きてからモーニングページを書いて少し活元運動をし、仕事の残っていたのを片付けて郵便物をだしに行くついでに散歩に出た。高校に通っていた頃に歩いた道を久しぶりに歩いてみて、あんまり変わってないということに気づく。白塗りの土蔵が何軒も残っていて、道端には水路が流れている。角間川を横切って元町の方に入り、南沢の方に上っていく。水路にしゃがみこんで洗濯をしているおばさんがいた。水がきれいなのだと思うが、街中で洗濯をしている人を見たのは、すごく珍しい。
話は違うが、このあたりは温泉が出るので町会ごとに温泉組合というのがあり、共同浴場と汲み湯の施設がある。汲み湯も場所によってタンクの形が異なっていて面白い。昔は毎朝おばさんがお湯を組んでいる風景がそこここで見られたのだが、最近は各家庭に給湯設備が普及したこともあり、数は少なくなったけれども、今でも年配の人はバケツに温泉を汲んで家事に使っているのを見かける。今朝は珍しい形の汲み湯のタンクを見てちょっと驚いたのだった。
閑話休題。「現場」、ということについて考える。人生を生きるためには、道具がいる。ピアニストのピアノとそれを弾く技術。教師の教える場と教える技術。皆それぞれの道具を持って、人生に向かい合っている。自分は一体なにを道具として選んだんだろうと考えてみると、それは教養ということではないかと思った。多分、普通の意味での教養というのとはかなり違うけれども。しかし、教養を生きる道具として選ぶということは、現場を持たないということではないか、と思ったのだ。養老・久石『耳で考える』を読んでも思うのだが、現場を持つということは大切なことだ。現場では何が起こるかわからない、それによって自分が想定していないことを含めた判断や対処が常に求められる。その現場が好きでないと、その仕事はやっていられなくなる。
私にとって現場というのはなんだろう、と改めて考えてみる。ひとつはいうまでもなく職場で、それはまだまだ不十分なところはあるが自分なりのペースでやれているしそれなりの努力もしている。それが一つの現場であることは間違いないが、もう一つは、「書くこと」そのものが現場なのだ、と思った。
こうしたブログの文章は、まあ言えば毎日のピアノの練習のようなもので、とにかく腕が鈍らないようにというのが最も重要なエチュードだ。書くことがなくても練習は怠らない、という意味で、モーニングページとブログは重要だと思う。しかしコンクール用に仕上げたり演奏会用に用意したりするものも少しずつ書いていく必要がある。
『ピアノの森』の上がり症の少女・丸山誉子がカイに教えられて「自分のピアノ」を弾く。その場面を読んで、考えることがたくさんあった。
確かに私は、書くことが好きだった。小学生の頃の作文の授業がとても好きで、課題作文を出した後も何枚も何枚も作文を書いて先生に見てもらった。先生はそれにそれぞれ優とか良とか優秀とか書いて返してくれて、それが励みになってまた書いた。あの頃はただ純粋に書くことが好きだった。それは作文だけでなく、絵もそうだし、架空の場所の地図を作ってそこに鉄道をひき、架空の駅を作って架空のダイアグラムをひいて架空の時刻表を作ったりした。特急や急行、快速が走り、どこで退避してどこでスピードを出す、とか、そんなことも考えたりしていた。
文章を書くのがとにかく好きだった、中身はともかく。だから必要なときにはいくらでもかけたので、友人に「ゴーストライターになる素質がある」と妙な誉められ方をしたこともある。大学入試も、入試問題が英・国・社とも文章で答えるものが多い大学だったから、それで自分にとってやりやすかったということもあった。入学後の試験やレポートも質はともかく量的にはいくらでもかけたので、理解度よりはよい成績が取れたのではないかと思う。語学の試験や穴埋め試験などはそれでは対応できなかったが。
だから芝居をやっているときは必然的に戯曲を書きたくなったし、最初はなかなか採用してもらえなかったが数年後からは何作か実際に舞台に上げることも出来た。そうやってとにかく書きつづけてきたのだ。
だからそれを、世に認められるような作品として結実させていかなければならない。そのことについての意識をスタンス的にきちんと決めなければならない。
興味があちこちに移りすぎて、なかなか一つにしぼれなかったのだけど、とにかくどんなものであれ書くということを現場にしていかなければ、と思ったのだった。
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