村上龍『13歳のハローワーク』

Posted at 09/06/03

昨日。用事があって、いつもの火曜日なら12時新宿発の特急に乗るところを、朝7時発ので帰った。6時過ぎの東陽町始発の地下鉄は空いていて、ほっとする。4時半には起きていたので特急の中ではほとんど寝ていたが、起きているときはずっと新しい話のプロットを考えていた。

田舎に着いて午前中は父に愉気をしたり、経理上の仕事をしたり、買い物に行ったりであっという間に時間が過ぎていく。プロットを考えているときに、主人公の職業がちょうどいいのが思い浮かばなかったため、思いついて図書館に行く。なぜか駐車場がいっぱいで、変なところに止めて図書館へ走る。村上龍『13歳のハローワーク』(幻冬社、2003)を借りる。

13歳のハローワーク
村上 龍
幻冬舎

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これが、思ったよりずっと面白かった。あたりまえのことだが、世の中にはたくさん職業がある。わたしも高校生に主に就職の進路指導をしたことがあるからそういう就職のための本はいろいろ読んだことはあるが、これだけ膨大な職業を懇切丁寧にちゃんとした作家の筆で紹介したものは初めてだろうと思う。大体、最初に紹介されている職業が「プラントハンター」だというのが気が利いている。今は事実上存在しない職業だが、人と違うことをしなければとびぬけた成功は難しい、という例として紹介されていて、面白い。二つ目の職業がフラワーデザイナーというのもいいな。このページの挿絵が砂漠の中でラフレシアにホースで水をやっている絵というのもいい。こういう種類の本で、今何センスのいいものは全く初めてだ。これなら社会に出ることを億劫に思っている若者たちにも社会に出ることへのワクワク感が伝えられるのではないかと思った。

重要な部分はほとんどインターネット上に公開されているようだが、やはり実際に手にとって読んでみた方が面白い。まあ実用性という点では――高校生や大学生がこれ一冊で進路を決めるのは無理だろうが――あれだが、13歳という、まだ社会に出るのに間がある子供たちにとってはちょうどいいくらいの情報量だろう。ただ、中身は13歳が読むには濃いなあと思う。子どもの成熟具合と、時間的な猶予と、待ったなしに過ぎていくタイミングというものを考えると、子どもが進路を選択し、職業につき、大人になるということは、大変なことなんだなあと改めて思う。


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