ニューウェーブ

Posted at 09/05/20

昨日。少し早めに家を出る。朝食で残ったパンを持っていく。伊勢屋で何か買っていこうと思ったがまだ閉まっていたので、駅の西側の能登屋まで行って結局助六を買った。地元の文教堂で東村アキコ『ひまわりっ』の第2巻、第3巻を買う。大手町に出て、丸の内の丸善で本を物色。文芸誌を読もうと思い、『群像』の6月号と『文藝』の夏号を買う。中央線のホームの売店で温かいお茶を買おうと思ったらもう置いてなかった。自販機を探したらあったので買えたけれども。

ひまわりっ~健一レジェンド~ 2 (2) (モーニングKC)
東村 アキコ
講談社

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『ひまわりっ』。副主任と蛯原、健一は既に第1巻で出ているが、第1巻は父・健一の変な行動エピソードが中心だったのが、第2巻では彼氏・健一の物を知らない、というか、一万円札が落ちていたので試しに食べてみた、というレベルの物の知らなさについてのエピソードが出てくる。第2巻では蟹江先輩が登場、なんというか動物名前のキャラクターが多いな。第2巻では投稿したマンガが採用されて、デビュー決定。ここでもうそういう路線になっているんだな、と思う。健一の妹の高校の同級生、という形で副部長が登場。最初は笑ったら可愛いがふだんは不気味な「部長」というキャラの方が最初は印象が強い。最初は「副主任」よりも「主任」の方が印象が強いのと同じだな。明るくぶっ飛ばすキャラよりもちょっと陰性でタメのあるキャラの方がこの人は面白い。っていうか、キャラとして残っていくようだ。健一との仲も接近していく(感じがする)。

第3巻では、花火大会に一緒に行くためにはまず誘わなければいけないんだ、ということに気がつかなかった健一、というずれ方がわりと意表を突かれて面白かった。トゥーシャイなだけなんじゃないか、という気もするけど。後半には節子登場。もうここで出てくるのか。ていうか、節子って父健一が「火垂るの墓」の登場人物からつけたニックネームで、本名は「なのは」だったとは。第3巻の巻末おまけで父関係のエピソードが評判いい、というか父本人が大人気(?)ということを知り、何かツボが違うなあと思った。

文藝 2009年 05月号 [雑誌]

河出書房新社

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『文藝』。歌人・穂村弘の特集がかなり多いが、あまりこの人の関心がないのでちゃんと読んでない。谷川俊太郎との対談があるのでこのへんは読むかもしれない。糸井重里も対談で出ている。笙野頼子の60ページ以上の小説が載っているが、これは読むかもしれない。なんてことを書きながらぱらぱら読んだのだが、谷川俊太郎の発言は結構面白い。糸井のも。なんて、結局大御所のいうことの方が面白いんじゃどうかなという気はする。結局あとの世代は、まだ谷川や糸井を乗り越えられてないんだなと思う。まあそんな簡単なことじゃないんだなと改めて思うけれども。

群像 2009年 06月号 [雑誌]

講談社

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『群像』。群像新人賞が発表されていて、受賞作と選評をちらちらと読む。小説部門、何かそんなに面白い感じはしないが、松浦寿輝は誉めてるな。評論が当選作と優秀作が載っているが、へえそうなんだと思った。本谷有希子の小説がちょっと面白いかもしれないという気がする。

『新潮』や『文学界』は以前から何度か買ったことがあったが、今回『すばる』『文藝』『群像』を買ってみて、ちょっと文学の現状の全体像が見えてきた感じがした。まあこれは最初からわかっているといえばわかっていることなんだけど、今書かれているものは詩でいえば谷川俊太郎、小説で言えば村上春樹、音楽でいえば忌野清志郎、言葉や物の見方で糸井重里を越えていない、ということを改めて確認した。もちろん部分的に、新しいものの見方や新しい表現が出てきていることは事実だしそれを認めるのに吝かではないのだけど、大きく言って彼らが作り出してきた『枠』の中で、現代の作家たちは自分たちの営みを繰り返している。スーパースターが新しい時代を作る、という点でいえば、彼らを超えるスーパースターがまだ現れていない、ということかもしれないが、こういう方向へ行ったらどうだ、という道標みたいなものもまだ試行錯誤の域を越えていないと思う。評論というものが積極的な、文学全体にとっての意味があるとすればそういうところにあるのだろうけど、個別に埋没したりメタに舞い上がったりしていては新しいものを生み出す強力な推進力にはならない。

そういう意味で言えば、マンガは常にニューウェーブが現れて古いものを更新していく力を持っているなあと思う。マンガって、今、上に上げたようなジャンルに比べて職人性が強いから、そういうところで新しいものを無限に作っていってしまう江戸期の絵師たちの伝統のようなものが転生しているのかもしれない。

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by Luke Peterson

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