「空白の時期」と「揺るがぬ自分」
Posted at 09/03/31
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昨日。ずっと根を詰めて本を読んでいた。夕食は妹たちを交えて焼肉。久しぶりに食卓でビールを飲んだが、そのせいか少し食べ過ぎた。夜は早く戻ってきて今日読んだことをまとめようとしたのだが、疲れが出て早く寝てしまった。10時くらいには寝たかもしれない。
朝は5時過ぎには芽を覚めて、布団の中であれこれ考える。今かいている原稿の、進め方について。一つ一つのことについてよく考え、よく吟味しないと、書いてある言葉の上辺の意味だけ追って行っても本質は見えないなと思った。深いところの意味をつかまえること。今までなんとなく感覚的に読んでなんとなくそれっきりになっていたところを言葉にこだわってみると矛盾点が出てきたりする。その一見矛盾に見えるところにおそらくはポイントがあるわけで、そのあたりをどう考えていくのか、ということを考えながらまとめていく。
この作者は本音を吐露したと思われる部分と教育の立場から人を見て法を説いている部分とがあり、なるべく本音に迫りたいのだが、人を見て法を説いている部分も無視するわけには行かない。考えてみると、書くことそのものが仕事でない限り、誰でも書いていること(あるいは喋っていること)が必ずしも本音ではないわけで、本当のことだけは言えない、ということもあるわけだ。私としてはこの体系の基底にある死生に対する考え方というのがわかってくればいいのだが、そういうことは必ずしも正面から言っているとは限らないので、どちらかといえば本音で語っているときにそういういことが多いような気がする。しかしそれもまたそうあれかし、と思っていることだったり実感として理解してこうだ、ということだったりするので、その言葉に対する作者のスタンスそのものがそれぞれ違ったりする。そうなるとより深いところまで降りていって自分の中で統合して解釈することになるわけだが、それだけに少なくとも「自分なりの理解」であることははっきりさせておく必要がある。
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野口昭子『朴歯の下駄』(全生社、1980)。野口晴哉は12歳から16歳の間に空白の時期があり、著者はこの時期に野口が「自己開眼」したと考えている。
「どんな人の伝記にも、おそらく、そういう空白の部分があるのだろう。その当人でも、語りたくない部分、語りようのない部分、また語りたくても語れない部分があるに相違ない。しかし私には、この空白の部分にこそ、却ってその人の人生において何か重大な機微と内面の葛藤が秘められているような気がしてならない。」
空海は20代から30代までの間は、何処で何をしていたかまったく伝わっていないのだという。私がこれを読んで思い出したのは井上陽水のことで、デビューシングルの「アンドレ・カンドレ」を出した後、何をしていたのかわからない時期があると読んだことがある。現存の人物でさえそうだし、たとえば私自身としても、この時期に何をしていたのか、上辺はともかく、自分の中で空白の時期というのは確かにある。それが普通に言えば「辛い時期」であるのは間違いない。しかしその時期の中に何かその後のその人にとって重要なものがあるというのは間違いないだろうと思う。
野口は17歳で道場を開き、活元運動を指導し、全生を説く講話会を開いているのだという。十代の時期、野口は奥多摩の御岳に篭り、滝行をし、気合をかける鍛錬をしたのだという。12歳の自己の能力の目覚めと、17歳までのその時期に何があったか。その人をしてその日とたらしめる時期はやはり雌伏の時期であり、ある種の地獄めぐりの時期でもあることは想像に難くない。
その際に、「揺るがぬ自分」が獲得できるか否かがかなり大きなことなんだろうと思う。
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