世界観を一新させてくれるもの/マインドコントロールの成果

Posted at 09/01/11 Comment(6)»

へうげもの 6服 (6) (モーニングKC)
山田 芳裕
講談社

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昨日帰京。帰ってきてから『へうげもの』の5巻と6巻を一通り読み直し、また再び1~7まで通貫した。『へうげもの』は本当に面白い。私の持っていた「茶の湯」「数寄者」観を一変、というか一新させてくれるものだった。こういう世界の新しい解釈、新しい発見がある作品に常に出会っていたいものだと思う。なかなかそうは行かないけれども。

眼の哲学・利休伝ノート (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)
青山 二郎
講談社

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そうなってくると、本棚にある利休や茶の湯関係の本ももう一度読み直したくなってくる。青山二郎『眼の哲学/利休伝ノート』(講談社文芸文庫、1994)など。焼き物関係、茶の湯関係。

『月刊全生』を読む。野口裕哉「フィリピンから学ぶ」。野口晴哉の長男で新聞記者、『日刊マニラ新聞』社主、整体協会事務局長。

「マジェランが発見した後、スペインが400年間フィリピンを植民地にしました。この植民地時代というのは、一番多いときでスペイン人は1800人くらいしかいなかったといわれています。それで1800人で7000の島を統治していたのですね。兵隊は多分百人くらいだっただろう、といわれています。神父さんは1500人だったのです。スペインはフィリピンを、キリスト教を通じて統治していたといって過言ではないと思います。」

へええと思う。宗教を使ってごくわずかの支配者がフィリピンを支配した構図。

「アメリカはフィリピンを統治する道具として教育を使ったのです。…フィリピンの英雄といわれるホセ・リサールという人がいるのですが、…アメリカはこの人を英雄にすることにした。なぜかというと、リサールは非暴力主義だった。それから独立を主張していなかった。…アメリカはフィリピンを統治する道具の一つとして、ホセ・リサールを英雄に祭り上げた。リサール法という法律を作り、高校の三年生、四年生の時にホセ・リサールの書いた本を読むのは必修科目。各市町村に至るまで必ずホセ・リサールの名前を使った通り、広場を作りなさい、と。いまだにこの法律は残っています。世界広しと言えども、法律で守られた英雄というのは多分リサールだけなのだと思います。」

なるほどこれも巧妙だ。フィリピンの人たちの政治・経済認識というのはどうもどこかずれている印象がいつもあったのだが、それはスペインやアメリカによる長年のマインドコントロールの成果ということになるのだろうか。戦後日本も同じ類のものと考えてみると心が痛むが。

"世界観を一新させてくれるもの/マインドコントロールの成果"へのコメント

CommentData » Posted by shakti at 09/01/11

>アメリカはフィリピンを統治する道具の一つとして、ホセ・リサールを英雄に祭り上げた。

全く間違いとは言えませんが、こういった側面だけを強調しすぎるのは多分間違っていると思います。やはりホセ・リサールは、フィリピン史の中では傑出した人物には違いないのですから。というか、フィリピン文学史の小説部門に限定したとしても、小説家といえるのはリサールを含めて10人くらいなんじゃないでしょうか。

リサール問題で非常に興味深いのは、実はリサール時代のフィリピンと現代のフィリピンとでは大きく異なるということです。リサールの小説の中で取り上げられているのは、スペイン支配下のフィリピンであり、スペインやヨーロッパの国々が強く意識されています。ところが20世紀のフィリピンはアメリカ支配の土地であり、リサールの思想や文学では全く想定されていなかったアメリカンな要素が入ってきます。従って、どんなにリサールの小説を読み込んでも、20世紀フィリピンの諸問題は描かれていないといえるのです。(とはいえ、19世紀までのフィリピンと20世紀・21世紀のフィリピンとでは連続性はありますが)。

フィリピンの学問の最大の欠点の一つは、ホセリサール研究だとか19世紀末のフィリピン革命にこだわりすぎている点です。これらの課題を幾ら研究しても、所詮は脱スペインそして脱ヨーロッパというテーマが見えてくるだけでしょう。決して脱アメリカという20世紀的な課題を果たすことはできないわけです。

同じことは、日本にもいえるのではないかと思います。

CommentData » Posted by kous37 at 09/01/12

>shaktiさん
コメントありがとうございます。shaktiサンの見解もうかがいたかったのでよかったです。
脱アメリカという課題は確かに、日本もまだ全然道筋がついていませんね。結局戦後体制の批判ということになるので、左翼は否定しきれないし、保守派は逆に戦後自体は批判したくてもアメリカを否定しきれないので批判の矛先が鈍る。いずれにしても中途半端で、しっかりした批判が出来ない状態だなあと思います。

CommentData » Posted by shakti at 09/01/12

フィリピンではフィリピン革命以降は独立ということになっています。つまりアメリカ時代の大統領もすべて本物の大統領なのです。(日本時代の大統領も!)。この欺瞞! 

日本国と日本国憲法の欺瞞的性格と似ている思います。

ついでにいえば、アメリカ語ではフィリピンのことをPIです。つまりphilippine islandsフィリピン群島です。日本国もJapanです。通常は政体を表すはずですよね。たとえばデンマーク王国とかインド共和国だとか。しかし、この二国は地名なんです。アメリカの植民地だからでしょう。

CommentData » Posted by kous37 at 09/01/12

wikipediaを調べると、日本語のサイトではアギナルドの名も上がっていますね。でもその次は1935年のケソンまで飛んでいるようです。英語のサイトではケソンから始まっていますね。ちなみに、マグサイサイという名前は(賞にあるので)知っていましたが、大統領だったとは知りませんでした。

占領下の日本ではGHQの直接統治ではなく、内閣が存続した間接統治だったので皇室制度をはじめ旧体制を比較的維持できた側面がありますが、フィリピンもそのような形での間接統治だったということでしょうか。最高統治者はマッカーサー親子だったのでしたっけ。

韓国もだいぶ長い間「アメリカの傀儡」扱いされてましたが、どの時点でそれを脱したといえるんでしょうね。李承晩自身が竹島を占拠したり李承晩ラインを引いたりいろいろやってますが。

このあたり、間接統治とか傀儡政権とかいろいろ概念がありますが、北朝鮮・中国とソ連の関係とかも含めて、そういう用語では表現しきれない機微がいろいろあるように思います。直接統治だったドイツの方が結果的に日本より主権の制限度合いが少なくなっているということもありますし、いろいろなことがあるなあと思います。

CommentData » Posted by shakti at 09/01/12

>次は1935年のケソンまで飛んでいるようです。英語のサイトではケソンから始まっていますね。

1935年憲法がフィリピンの政治精神を体現しているわけですが、当時はアメリカの植民地です。つまりケソンが典型的な植民地の大統領ということです。韓国やベトナムの傀儡政権というのがありましたが、いちおう、独立国家の体裁はあります。

マグサイサイは新植民地時代の大統領です。要するに、独立国家時代の大統領ということです。

CommentData » Posted by kous37 at 09/01/12

なるほどなるほど。何だかいろいろ面白いですね。フィリピンという国は不思議な歴史を持ってるんですね。今まであまりフィリピン史に興味はなかったのですが、概説的なものでも読んでみようかなという気がしてきました。いろいろとあると思いますが、shaktiさんのお勧めのようなものはありますか?

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