こころに善悪はつけられるか

Posted at 08/07/31

昨日。朝9時から仕事、12時まで。昼食休憩後、2時から10時過ぎまで。久々にハードな仕事時間。夕方は特に忙しかった。今週と来週、それから再来週の一部がそういう日程になる。ちょっとハード。まあ何ヶ月も続くわけではないのだけど。

『日本歴史』8月号。荻野富士夫『戦前文部省の治安機能』という本が紹介されている。これは戦前の思想統制から皇国民練成教育への方向を文部省の治安機能と位置付けた研究で、私も似たようなことをよく考えていたので、こういう研究が出てきたか、と思った。とはいっても私が考えたのは戦前のことでなく現代の高校についてで、いわゆる底辺校の機能というのは、教育を与えるということだけでなく問題行動の多い10代後半の若者を世の中に野放しにしない、高校という施設に収容する、ということも実際にはあるなあと思っていたのだ。つまり学校は教育施設であるだけでなく、事実上は治安維持施設でもあるということである。昨日書いた高等遊民問題にも見られるように、教育問題というのはある意味社会問題、裏返していえば治安問題に直結する。教育現場やマスコミを含め、そうしたことが話題に上ることはほとんどないが、実際にはそういう機能があることは直視すべきことだと思う。今後はまたそうしたリアリズムに基づく研究が権力側からだけでなく、アカデミズムの立場や民間の立場からも出てくるべきだと思う。

『芭蕉俳句集』とりあえず読了。解説を読み、発句を集成するということがどんなに困難なことかということをしみじみ思った。本当に芭蕉が作者であるのか疑問がある『存疑』の句が556句、芭蕉作と誤伝された句が208句掲載されている。それらの部分は今回私は読まなかったが、一つ一つ考証していくのは大変なことだろう。なお真作とされる句は982句である。それも膨大ではあるが。この他に連句(歌仙)があるわけだから、芭蕉の生涯で詠まれた作品の全貌はどれほどのものになるか。

河合隼雄・谷川俊太郎『魂にメスはいらない』(講談社α文庫、1993)。単行本は1979年刊。この本、昔だったら本当にすらすらとどこにもひっかかることなく読めただろうなあと思う。しかし今はところどころひっかかるところもある。「こころ」の中で起こることに善悪はいえない、という問題。善悪をいうことによって抑圧が生じ、本当のことが見えなくなってしまうということはよく分る。しかし実際の行動には社会的に受け入れられる行動と受け入れられない行動があることは認識しなければいけない、ということで、それを「和戦両様」と表現しているのがおかしかった。これは基本的にはよく分るのだけど、「こころ」の中で起こることを善悪をつけないということに、昔は感じなかった引っ掛かりを感じるようになったということなのだ。治療の立場から言えばそれはそれでいい。教育の立場から言えばやや微妙なことが出てくる。また倫理の立場から言えばそれではすまないこともあろうし、宗教の立場から言えばかなりややこしくなる。

もともと私は「こころ」というものはいいも悪いもない、という考えに馴染んではいるのだけど、年を食ってくるに連れて世の中をよくするためにはそれだけではいけないのではないかという気もしてきたわけだ。しかしニュートラルな立場でなければわからないこともあるし、なかなか難しいなあと思う。現在75/345ページ。

『鍵山秀三郎語録』。そろそろ返却しなければならないので気になった言葉をメモ。

「ごくありふれた物事や、条件の中から、たえず工夫をかさね進歩し続ける」――これが私の人生観であり、私の事業観です。」

夏目漱石が芥川龍之介に書いた手紙に、「人間は根気の前には頭を下げることを知っている。しかし火花の前には一瞬の記憶しか与えてくれない」とこう教えています。

比べる世界の相対差に対して、絶対に比べられない世界を、私は絶対差の世界と申しています。比べるものがない人生、比べるものがない会社、勝ったり負けたりの世界でなく争わなくていい世界のことです。人間でいえば人格、会社でいえば社風というものです。


ハガキは何回も読み返すことが出来ますので、楽しみが何倍にもなると思います。この小さな紙一枚の力の大きさに驚かされます。人からいただいたハガキが嬉しいように、私の出すハガキも人を喜ばすことが出来たらよいと思います。

譲る気持ちが大切です。与えられた枠を使い切らないこと、そして小さなことに感謝することが大事なようですね。

小さなことに感動できる人、小さなことに喜べる人ほど幸せだと思います。ところが、最近なぜこんなに感動しなくなったのかといえば、それはあまりにも結果を急ぐという、結果主義に陥りすぎているというのが、何より一番大きな原因だと思います。

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