財布を忘れる/オーソドックスの持つ力/28年ぶりに気がついたこと

Posted at 08/02/06

昨日。結構余裕があるぞ、と思いながら家を出て駅まで行ったら財布がなかった。

慌てて取りに戻ろうとするが、それほどの時間はない。考えて、駅前のタクシーに乗り込んだら女性ドライバーだった。

「財布を忘れたので取りに行きたいのだけどいいですか」

と頼んだら快くOKしてくれた。大通りに駐車しないで済むコースを走ってもらい、鞄を車内に置いて鍵だけ持って走って財布を取りに行ったら、案の定箪笥の中に置き忘れていた。また走ってタクシーに戻り、駅まで戻ってもらって960円。

「助かりました、ありがとうございました。」

とお金を払ったらにっこり頷いてくれた。なんだか1000円足らずでいい物をもらった感じがした。

お蔭であとは予定通り。オアゾの丸善でバレエ関係の本を探し、佐々木涼子『バレエの歴史』(学習研究社、2008)を買う。(今奥付を見て気がついたが、出たばかりの本なのだ。)バレエの基本、コンテンポラリーの振付師のインタビューの次はバレエの歴史。物事を知っていく自分の思考回路の出来具合がこんなふうになっているのかとそれ自身に興味を持つ。シナプスがつながるようにものごとのあいだに連絡がついていく。バレエというものは、今まで「オーソドックス」だからなるべく近づかないようにしていた。そう、どうも私はまだ「オーソドックス」を敬遠する傾向がなくならない。「オーソドックス=退屈で権威的」という刷り込みがなかなかなくならないのだ。「オーソドックスだけが持つ力」というものを、何度も何度も確認しないといけないと思う。

バレエの歴史―フランス・バレエ史-宮廷バレエから20世紀まで

学習研究社

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東京駅で指定を取って弁当を買い、新宿で特急に乗る。新宿には10分前についた。車内ではまず『コリオグラファーは語る』を読む。プティ、ベジャール、ノイマイヤー、キリアン、フォーサイス。プティとベジャールはフランス出身、ノイマイヤーとフォーサイスはアメリカ出身、キリアンはチェコの出身。ノイマイヤーがアメリカ出身ということは知らなかった。というか、現代の著名なコリオグラファーの多くがアメリカ出身だということを知って意外に思った。

コリオグラファーは語る (Performing Arts Books)

新書館

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また、何人もの振付師がフレッド・アステアを賞賛しているのを興味深く感じた。ダンスに国境はない、境界はない、ということなのかもしれないと思う。

車内でベジャールの『春の祭典』の写真を見ていて、あることに気がついた。高校3年のとき、私がテレビで見て感動した夢の遊眠社の『二万七千光年の旅』の「西果て」の場面の演出が、実はこのベジャールの振り付けの影響下で作られているのではないかということだ。これはわりとショッキングな発見だった。もしそのことにもっと早く気がついていたら、バレエにもっと早く関心を持っただろう。『春の祭典』の写真は以前から何度も見たことがあったのに、なぜ気がつかなかったのだろう。バレエというものを自分と無縁だと考えてしまっていたからなのだろうと思う。この世にあるもので自分と縁がないものなど何もない、とつぶやいてみても、『二万七千光年の旅』を見てから28年の時間を取り戻すことは出来ない。最も、テレビでちらっと見たこの作品が遊眠社のものだということを確認したのですら実は数年かかっているので、もともとどうも鈍臭いのだが。28年の時を越えて無理やり現在にその感動を接続させてみる。

二万七千光年の旅
野田 秀樹
而立書房

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郷里につくと、あちこちにうずたかく雪が積んである。東京であれだけ降ったのだからこちらでは仕方がないか、と思ったが、それにしてもよく降ったものだと思う。

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by Luke Peterson

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