ダイヤモンドの丘の無垢な林檎の木/ネガティブの皮を被ったポジティブ

Posted at 07/12/23

木曜日は仕事が忙しく。金曜日は別口、仕事、帰京。土曜日は出歩いたり。日曜日は集中して読み。更新停滞中。

土曜日は品川の原美術館へ。すごく久しぶりで、行き当たりばったりで行ったのだが、ピピロッティ・リストの個展「からから」がとてもよかった。

現代美術というのはどうも今までものすごくいい、という感じのするものは少なかったのだけど、今回はいいぞ。特に「ダイヤモンドの丘の無垢の林檎の木」という展示は本当にぼうっとさせられた。恍惚。そのほかの展示もとてもよかった。それから常設展示の奈良美智のアトリエ、というのもよかった。

原美術館というのは昔は少し敷居が高い感じがしていたのだが、今行って見ると、とてもよく身体感覚にフィットする感じで、とても和んだ。最近、下北沢などの昔和んだ空間がつまらなく感じるなあと思っていたから、そういう身体感覚のようなものも変化してるんだろうなあと思い当たった。昔は少し敷居が高い感じがしたものの方が、今はちょうどよくなっているのかもしれないなあと思う。

今日はなんとなく美術書が見たく、最初は八重洲の美術書コーナーに行こうと思ったが、気が変わって銀座のブックファーストの美術書のコーナーへ。いろいろ考えたが奈良美智『奈良美智―ナイーブワンダーワールド』(KTC、2000)を買う。

奈良美智―ナイーブワンダーワールド (別冊トップランナー)
NHK「トップランナー」制作班,KTC中央出版,中央出版=
KTC中央出版

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それから少し雑誌を見て、なんだろうと思ってめくった『ミルク』という雑誌がアートっぽくて面白そうだと思って買ったらやっぱり表の印象どおり妊娠出産本だったので笑った。しかしモードっぽい子供服がこれだけ載ってる雑誌って他にあるのかな。こういうものはこういうものとして面白い。

MilK (ミルク日本版) 2007年 12月号 [雑誌]

エクスナレッジ

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奈良美智のインタビューを読むと、とても共感する部分が多い。昔はそうは思わなかった、あるいは、昔はアーチストのそういう発言が理解できなかった、またそのためにどちらかというと反感を持ったような発言が、今は非常に理解できる、というものがある。すごくネガティブに感じていた発言が、実はものすごくポジティブな発言なのだ、ということが最近ようやくわかるようになった、と言ってもいい。ネガティブだろうがポジティブだろうが、作品に結実しうる心の現象というものは、アーチストにとっては財産なのだ。そして言葉にしてみたらネガティブなものの方がパワーを持っていて、そういうものの方が実は強い力を持った作品に、それもポジティブに感じ得る作品になったりする。アートにはおいては時にそういう正負はあまり意味がないこともある。このへん、自分のやっていた演劇でもよく考えてみるとそういうことって結構多いなと思ったりする。本当のネガティブとネガティブの皮を被ったポジティブと、一緒にしてはならない。見分けてもらえなくても、違うものは違うのだ。演劇なら無理やり見分けさせるテクくらいは持っているが、そのほかの分野でそれが可能かどうか。でもそれを気に入ってくれる人のなかには、そこにポジティブを感じてくれることが多いんだろうと思うし、まあそれでいいのかもしれない。アートをどう受け取るかは自由だし、何かいいものを感じてくれればいいのだから。

猫温度計というのをつけてみた。右カラム参照。

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by Luke Peterson

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