郵政民営化/フェルメールを見る/マークスの手帳

Posted at 07/10/02

一昨日からの雨で、東京はすっかり秋になった。日本の季節は雨が境目だ。晴天の日が続くと季節はいつまでも引きずっている。ここ数日、朝起きるとベランダに出るサッシのガラスが曇っている。しばらくするうち、この曇りが結露になり、冬が来る。

秋の終わりの冷たい雨が冬を呼び、やがて時折雪を降らせる。冬の終わりの暖かい雨が、冬の乾燥した抜けるような空の青さを終わらせる。春が初夏に育つと、初夏は長い梅雨に耐えて真夏に変わる。日本の四季は、雨が循環させている。

昨日。日曜に続いて調子はそんなによくなかったが、とにかくフェルメールを見に行くことが懸案になっていたので、朝仕事を手早く済ませて10時ごろ出かける。まず地元の小さな郵便局へ。昨日が民営化初日だが、局員が全員入れ替わっていて驚いた。雰囲気も前のごちゃごちゃした感じがない。むしろ冷たい感じといってもいいか。仕事はまだちょっと不慣れな感じ。布巾とティッシュをもらう。

大手町に出て千代田線に乗り換え、国立新美術館へ。乃木坂駅直結。中に入ると、雰囲気は都立現代美術館を思い出す。あれよりもずっと大きいけど。そういえば有楽町の東京国際フォーラムにも似た感じがある。一方が総ガラス張りで吹き抜けで巨大な透明な空間になっていて、反対側に展示室等があるという感じ。

『フェルメール『牛乳を注ぐ女』とオランダ風俗画展』。目玉はもちろんミルクメイド。入ってすぐフェルメールの展示室に直行。一部屋に絵が一つだけ。絵の前に順路が設定され、仕切り線で仕切られていて、止まらないで見てください、という指示。まあそんなには込んでなかったので比較的ゆっくり見られたが、あまり近くで見られなかった(前の仕切り線から絵まで一メートル以上離れていた)ので細かいところはよく分からないところがあった。一度見てから最初に戻り、オランダ17世紀の風俗画を見る。小さくて、暗くて、地味な絵ばかり。といったら悪いが、要するにそういうものだ。最近もっとあでやかなものに惹かれてしまうので、なかなかじっくり見られない。

フェルメールの展示室にまた来る。客の人数が増えている。いろいろな角度から見てみる。後ろの仕切り線の後ろからでも案外見える。先に進む。当時の楽器などが展示してあって面白い。フランスの侵略の後、19世紀、20世紀初頭の作品など。最後まで見てからもう一度フェルメールを見る。やはりフェルメールは絵の凝縮度が違う。あの小さな画面に、すべてを注ぎ込もうという強靭な意図を感じる。構図の緊張感、明暗、色使い、何の気なしに見てしまえばそれまでだが、見れば見るほどそのただものでなさが分かる。

ミュージアムショップで絵葉書を三枚と絵葉書用のフレームを買う。二階に上ってVOGUE CAFEへ。なんといえばいいか、面白い感じ。キャラメルショコラとアールグレーのセット。美味。こういうところで美味しいものを食べるといろいろな感覚が呼び覚まされる感じがするのはどういうことか。「おしゃれな場所」というのが自分には必要なんだなと思ってしまう。

帰る前に美術館の外観を見ておこうと表に出る。

ガラスで作ったガウディみたいな感じだな。

午後は以前書いた小説を友人に読んでもらおうと全部ワードで打ち出し、プリントアウトして3冊作り、郵便局に出しに行った。気がついたら左手がめちゃくちゃ凝っている。今でもそうなんだが。

六月に書いた小説を打ち出していると、あの頃の感覚が蘇る。短編ならアイディアがたくさん出てきていた。短編と中長編は本質的に何か違うものがある。私はどうも短編のほうが書きやすいのだが、文学賞などではある程度以上長くないといけないのでその辺で苦労している。短編でもう少し感性を養うとか、耕すとかした方がいいのかもしれないとも思った。眉村卓が一日一篇、短編を書いたという話もあった。想像力の沃野というのはいつも井戸から水をくみ出していないと枯れて行ってしまう。

一仕事終わらせて夕方丸の内丸善に出かける。そろそろ来年のスケジュール表が出ている。昨日4階でみていいなと思ったのは二つ。両方ともマークスの手帳。

2008 ダイアリー 24 アワーズ・プランナー/ファブリオ/DV4(ブラウン)126800 2,100円(税込)



2008 ダイアリー アポイントメント・プランナー/ジュルネ・ド・パリ/AV1(アイボリー)124844 1,260円(税込)

上は24時間がアジェンダプランニングできる。スーツの生地を表紙に使っている。下は使いやすい感じなのだが、朝が8時ごろから後しか書けない。ちょっと考え中。

2階でネイチャージモンのサイン会をやっていた。4階のカフェでシーフード黒カレーというのを食べる。美味しかった。

2階に戻ってなんとなく本を見る。結局、ポール・オースター『鍵のかかった部屋』を買った。アメリカ現代小説のペースというのは、案外私自身にとってもシンクロしやすいものなのかもしれないと思う。

鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
ポール・オースター,柴田 元幸,Paul Auster
白水社

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by Luke Peterson

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