ヌードが表現するもの/真実はトートロジーによってしか語れない/デジカメの革命的な意味/『NANA』にハマる

Posted at 07/06/25

昨日。午前中昼食の買い物をするついでに本を買う。矢沢あい『NANA』2・3巻(集英社、2000-1)と『アサヒカメラ』7月号(朝日新聞社)。

アサヒカメラ 2007年 07月号 [雑誌]

朝日新聞社出版局

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多分後で書くけど、最近写真がとても面白くなっていて、写真に関することをどんどん吸収したい気持ちになっている。この号の特集はNudeで、写真において人間というものを撮ることの意味、あるいは人間が人間に伝えたいこと、表現したいことの一つの究極がNude写真にはあるような気がする。美というよりも、何かの意志というか、特に外国人のモデルにはそういうものを感じる。日本人のモデルの表現しているものはもっと脆(もろ)いというか儚(はかな)いものなのだが、日本人が日本人を撮る写真の特殊性というものがある気がする。そこに見るものが日本人だと、ある種の完結性がある。その三者のうち誰かが外国人になると、そこには立ち現れない世界だ。いいか悪いかは別にして。

『NANA』。

Nana (2)

集英社

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1巻を読むのはかなり難儀で、2巻もかなり休み休みしか読めない。ていうか、メチャクチャ重いところがあって、絵や登場人物(特に奈々)の騒狂的な部分と全然違うのだ。最初はこの奈々というキャラクターが読みづらくてうざくて大変だったのだが、だんだんこの世界に慣れて来るとこのキャラの特異性が浮かび上がってくる。他の登場人物は想像がつくのだが、このキャラの世界観は私の理解の範疇を超えている。ただそれが馴染んでくるに従って、私自身の世界が広がる感じがする。読みづらい作品というのは、それはそれなりの意味があるもんだなと思う。もちろん自分の世界を広げたくなんかない、自分は自分の好きなものを、あるいは自分が癒されるものを読みたいだけなんだという人にはそういうことを特にはお勧めしないが。でも、どうせこの短い人生なんだし、いろいろなこと知っといた方が楽しいんじゃないかとは思うけどね。

だからといって、私がそういうことに本当に積極的かというと少なくともここのところはそうではなかった。自分が何者かという問題が大きすぎたからだ。その問題は、やっぱり解決しつつある、というか多分ほとんど解決してるんだろうと思う。しかし、この「ほとんど」ということが多分大事なことで、自分でも自分が分からない部分がないと、自分が広がったり深まったり伸びたり縮んだり、いや縮む必要はないかもしれないが、そういう余地がなくなってしまうのだと思う。そこの部分に焦点を当てないと、作品なんか書けないだろう。ただ「書く自分である」ということ(もちろんみんなそれぞれにそれぞれの自分ということだ)がわかったということが大きいのだ。やっぱりオルハン・パムクの「作家にとって真の行動は書くこと」という言葉はいい言葉だな。当たり前だと思うかもしれないけど、真実というのはトートロジーによってしか表現されないのかもしれない。「アッラーは唯一の神でありムハンマドはその預言者である」みたいなね。この文章、「神は神であり預言者は預言者だ」といっているに過ぎないもの。

と話はずれたが、まあそんなちょっと青いというか心のヒリヒリ感のようなものを呼び起こす力がこの作品にはある。2巻ラストのアパートでの即席ライブシーンはもう超感動した。これでこの作品を読み続けようと心が決まったようなものだ。

Nana (3)

集英社

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3巻で江古田ちゃん的に言えば真の猛禽、幸子が現れ、ヤスが上京。この編になるとだいぶ読みやすい。どんどん心が痛いところは痛くなっていくが。

***

昨日は一日中雨が降っていて、ほとんど外出しなかった。ずっと新しい小説のことなどを、『アサヒカメラ』を見たり『NANA』を読んだりしながら考えていたのだ。ちょっと(自分にとっては)特殊なジャンルの小説なので、なかなか手がつけづらく、いろいろ考えては構想が消えていく。

『ワルシャワの柔肌』と『ストリッパー』、ちょっと今どうでもよくなってしまって続きを見る気がしない。また縁があったら見るだろうという感じ。

思いついては写真を撮り、テレビを見たり、寝転がったり。

夕方遅くになってからカメラを持って出かける。デジカメは夜でもよく写るので、最近、夜に写真を撮るのに凝っている。特に雨の夜はとても魅力的だ。光る路面、にじむ風景。篠山紀信もどこかで言ってた気がするが、デジカメは本当に少しの光量をとらえる力があるので、思いがけないような明るさでストロボなしで写真を撮ることができる。私は、これがデジカメの登場の写真史における真の革命的な意味なのではないかと思う。マニュアルに設定して簡単に色味と絞りを調整するだけで、相当なところまで可能だ。








そういえばこの街にはまだ電話ボックスがある。









明るい店の前の濡れた路面。夜の中に明るい場所があるということが救いになることがあるということをよく感じる。








最近夜の自販機はすごく魅力的だと思う。少し青味がからせた。








もっと撮りたい写真がある。それにしても、写真の見せ方って難しいな。もっとやりようがありそうなものなんだが。

駅前の書店で『NANA』の4巻を買い、弁当を買って帰宅。

帰ってくる途中で小説の構想がまとまる。というか書き出しというくらいだが。あまり長くないから終わり方まで考えておいた方がいいのだけど、まだそこまでは行っていない。書きながら考える方針でまずは書き出してみることにする。作家にとっての真の行動。

数ページ書いて一休み。『NANA』4巻を読む。

Nana (4)

集英社

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……何書いてもネタばれになるな。抽象的に。別れ。猛禽力。東京デビュー。追っかけ力。奈々の故郷。ナナの男前。このくらいにしておこう。

なんつーか、ハマった。

夜は小説の続きを書いたり何たらかんたらしていたら4時を過ぎてしまった。新しいものを読んで興奮して眠れないというのは一体いつ以来か。

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by Luke Peterson

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