江戸趣味のお公家さん/スパニッシュロック?

Posted at 06/12/06

昨日。メルマガ用の詩を書いたり、文章をひねったり。入江相政『いくたびの春』を少しずつ読む。もう少しで読了なのだが、最後のほうは漫談調になっていて短くいろいろなことが書いてあり、一つ一つが気が利いていて面白いのだが、一気に読むようなリズムが出ない。ずいぶん洒脱な人ではあるが、やはり公家さんのおおどかさがあるということだろう。

いくたびの春―宮廷五十年 (1981年)

ティビーエス・ブリタニカ

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読んでいてちょっと驚いたのは、戦後、揮毫を頼まれて、戦災ですべて焼けてしまったときのことを「硯も無ければ筆もなく、紙もなければ文鎮もと、林子平のような境遇になっていたが、」と書いている件である。これは林子平の「家もなく妻なく子なく版木なし、金も無けれど死にたくもなし」という狂歌(記憶のため不確か)のことを言っているわけだが、この狂歌を知っていたんだ、と思ったのだ。私はこれは『風雲児たち』と言うマンガで読んだのだが、狂歌といえば蜀山人くらいしか知らなかったから、『海国兵談』の林子平がそんな歌を残しているということが意外だったのだ。まあ昔はけっこう有名な歌だったのかもしれないのだが、やっぱり昔の人の教養はすごいなと改めて思ったのだった。ちなみに私が好きな林子平の句(川柳)は幕府に逮捕されて江戸表に護送されるときに詠んだという設定にマンガではなっていた「この首(こうべ)とぶかとばぬか明けの春」である。

もうひとつへえと思ったのは長唄に凝っていたという話で、入江が歌詞を書いて曲をつけてもらった長唄が紹介されていて、「役をやめたら書いてみるか」と言っていたことだ。公家さん出身の侍従長が長唄にこっていると言うのはへえと思うような江戸趣味で、意外な取り合わせと言う感じだ。入江の曽祖父は宇和島藩主の伊達宗城で、宗城はもともと江戸の旗本出身だし、その娘、つまり入江の祖母は全く江戸趣味の人だったらしい。もちろん公家らしく謡もやっているのだが、その出来は友人に聞かせてやろうとしたら「生まれてこの方おまえの謡をきかなければならないほどの悪いことはした覚えがない」といわれるほどだったらしい。(もちろんこのあたりはある種の韜晦ではあろうが。)趣味人、とか洒脱、という言葉が実に当てはまる人だと思う。

FMをつけていたらバルセロナで活動するスペイン語のロックバンド?の曲をかけていて、スパニッシュギターにスペイン語の歌詞でノリノリ、というひじょーにスカッとする感じの曲がかかっていた。バルセロナと言うのはそういう音楽シーンが形成されていたのか。自分の中ではフランコ時代の独裁の印象がいまだに残っているが(残りすぎなんだろうな)イタリアもスペインもサッカーやら音楽やら、そういうものを「やってるやってる」という感じの国になってるんだろうなと考え直した。

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