『ローマ人の物語』/ハンナ・アーレント/アブサンを飲む

Posted at 06/09/05

昨日。日記の更新の前に塩野七生『ローマ人の物語』26巻(新潮文庫、2006)も読み終わっていたのだが、『海辺のカフカ』についてだいぶ書いたので書き損ねた。ハドリアヌス帝のユダヤ壊滅とイェルサレム居住禁止(ディアスポラ)について。塩野はカエサルの理念で行けばユダヤはユダヤの独自性を持ったまま(つまり神官階級による自治)帝国内に位置を得たのではないかというが、さてどんなものだったか。現実にはアウグストゥスの世俗化政策によりいつも不安定化要因を持ち続け、ディアスポラに至ったと塩野は見ている。

ローマ人の物語〈26〉賢帝の世紀〈下〉

新潮社

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ハドリアヌスの霊廟がのち法王庁の城塞に転用され、カステル・サンタンジェロになったということは知らなかった。ローマは行ったことがないが、行ってみたいところが増えるなあ。

アントニヌス・ピウスの描写が馬鹿に簡潔なのだが、要するにこれということをしなかった、しかしそれがその時期に適っていた幸福な時代だったということらしい。皇帝以外に関することが書かれてもいい気がするが、史料もあまりないのだろうか。

さてここからは没落の時代がやってくるが、塩野がどのように書いているのか、期待したい。

***

その後はウェブの作業をしたり秋からの仕事の準備に取り掛かったり。いろいろ考えているうちにちょっと読みたい本が出てきて、予定より早めに家を出る。丸の内の丸善でハンナ・アレントの何か読みやすいものを、といくつか物色。書棚にはポストコロニアル関係の文献もずいぶんあるなあと思う。結局買ったのは川崎修『アレント 公共性の復権』(講談社、2005)。アレント自身の著作のほうがいいかとは思ったのだが、正直どれもこれも高い。この本は講談社というと大手が出しているためか、1500円という値段だったのでこれに落ち着いた。大きな出版社から本を出せるということがいかに強いことか、こういうことからもよくわかる。

現代思想冒険者たちSelect アレント 公共性の復権

講談社

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地下に降り、東京駅の地下通路を通り抜け、八重洲地下街を終わりまで行って地上に出て、高校時代の友人との待ち合わせ場所に行く。会うのは12年ぶりだ。先日三重県に行ったときに時間が合えばと思って連絡したのだがうまく行き会えなかったので今回新たに設定しなおした。ドイツ料理屋でビールやらシュタインヘイガーやらを飲みながら管を巻き、11時過ぎまで話し込む。お互いの近況を話し合うというより村上春樹の話になったりキリスト教の話しになったりフランスは虫が好かない(彼が)という話になったり、なんだか話題はいくらでもあって近況はどのくらい話したのかよくわからない。

大手企業に勤める人というのは最近あまり会ってないので彼らがどういう感覚を持って毎日を送っているのかというのが感覚的につかみにくいのだけど、まあ毎日言葉と格闘してギリギリやっているという感じではないから、なんというか「健全な常識」のありかのようなものが少し見える気がした。「健全な常識」というのは大事なものだと思うのだが、私のような者には少し見えにくいところがあって、そういう意味ではそういう友人との付き合いというのは大事なものだと再認識した。

今朝は少し酔いが残っているかなという感じ。だいぶいろいろな種類の酒を口にしてソーセージやら何やら豚肉系のものを食べたわりにはすっきりしている。アブサンがあるというので飲んでみたが、これはペルノではないのかと彼が疑問を呈していた。今ネットで見てみたらアブサンの銘柄がペルノなのか?なんだかよくわからないが、ふしぎな味で、ゴッホが好んだというのは分かる気がした。

『読書三昧』にカズオ・イシグロ『わたしたちが孤児だったころ』を追加しました。


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