ブログのありがたさ/文章を読む態度/女子カーリング

Posted at 06/02/19

金曜日の夜に上京した特急の中でその日の昼間に買った『文学界』を読んでいた。最近、ユリイカ・新潮と続けて文学系の雑誌を読んだのだが、文学界が一番肩がこらずに読めるような気がする。車谷長吉がピースボートに乗った体験記を書いているのが面白いのだが、車谷とピースボートという組み合わせ自体がミシンと蝙蝠傘の出会いより珍品という感が深い。船上で繰り広げられる人間模様にあまり関心を持たず、船上から見渡せる風景を記述するさまざまな描写に車谷という人の真骨頂を感じる。船内での読書でさまざまな作家に対する感想が述べられているのも面白い。寺田透について否定的な見解を述べていた。あまり良く知らないがどんな人なのだろうと思う。

土曜日は寝坊。9時前に友人から電話がかかってきたときは寝呆けていた。しばらく話をして気付いたら11時を過ぎていた。昼食の買い物がてら江東図書館に出かけ、『プーシキン全集』の3・4巻を返して1・5巻を借りる。隣のイオンで昼食の買い物をし、古本屋のたなべ書店をのぞいて帰宅。あまり調子が上がらず、横になったりいすに座ったりの繰り返し。本を読もうとしても続かず、テレビを見たり何したり。暖房で足首を暖めたまましばらく寝入ったり。手早く片付けなければならない仕事がいくつかあったのでそれだけやってしまったのだが、まとまった読書などは出来ず。

そういえば今週は日記にもプーシキン全集のどこを読んだ、ということしかほとんど書いていない。読んでない人、関心のない人、つまりはほとんど全ての読者にとってあまり面白くないだろうと思う。自分の覚書とするなら別にアップして公開する必要もないのだが、きっと面白くなかろうと思う文章までアップしているのは自分にとっての緊張感が欲しいからなのかもしれない。書いたけれどもアップしていない文章ももちろん山のようにあるが、正直言ってそれはハードディスクという大海の谷間のどこに沈んでしまったのか分からないものがたくさんある。こうしてブログにアップしておけばあとで検索するのも容易だし、もし誰か興味を持ってくれる人があったらそこで何かが起こるかもしれない。そんな薄弱な根拠でアップしてはいるのだが、以前からウェブ日記を書いている人で過去ログ整理の大変さについて全然かんじたことのない人はおそらくいないのではないかと思う。ブログの全ての記述を一括ダウンロードできると言う昨日だけでも、ブログというものはありがたい。

プーシキン全集、1巻は詩、5巻は評論などのいわば論理的な(つまり小説でない)散文。1巻で一番有名なのは物語詩「ルスランとリュドミーラ」、5巻では歴史叙述「プガチョーフ叛乱史」であろう。そのほかは実に数の多いこまごました詩作品、批評・評論作品がてんこ盛りで、あまりにぶつぎれなので一気に読むのは結構大変だ。創作性の、つまり虚構性の高い作品を読むのは背景など考えないで一気にその世界の本質に迫るように感覚と感性と言葉をとらえる捜索能力というか、そういうもので読んでいけばいいのだが、誰かに何かを伝えようとして書かれたメッセージのある詩や、公表して意見を表明することを前提とした批評・評論作品はプーシキンの外部との関わりやその作品が書かれた状況をある程度理解する必要があるので、創作を読むのとは読む態度がかなり変わってくる。機能はちょっとそのギャップを乗り越えるのに苦労したのだが、今日は割合自然にそういう気持ちで読んでいる。しかし、創作を読んでいるときはあまり気にしていなかった伝記的な事実や歴史的な分析が気になってくるから、他の本もまた読まなければという気がしてくる。

***

テレビで女子カーリングを見る。これはじっくり見るとかなり面白い。あのコンクリの塊(あの投じる玉のことは何というのだろう)がどのように滑り、どのように相手の玉に当ててはじき出すか、という計算をしながら投げたり擦ったりするあの競技は撞球の要素が強い。的は射的のようだし、相手の投じたいコースを妨害するようにわざと玉をショート(?)させるやり方とか、高度に知的な計算をしたり性格の悪さも必要な感じでへえと思う。見事カナダに勝利したのはめでたいが、何とか頑張って次の段階に進んでもらいたいもの。


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