イラク議会選挙終わる/オリックス仰木前監督死去
Posted at 05/12/16 PermaLink» Comment(0)» Trackback(0)»
イラクの国民議会選挙がほぼ順調に進んでいるようだ。イラク社会の抱える最大の問題は宗派・民族間の対立であることははっきりしているが、今回に関してはこの選挙のプロセスの中で自分たちの集団の利益を図るためには参加したほうがいいということで一致したと考えてよいのだろうと思う。ただし、この選挙の結果で政界地図が明確になり、自らの主張が通らなかった側がこうした「民主的」な政治過程にこれからも同意するかどうかは不透明である。もともと諸派への分裂志向の強い国民をフセイン政権が強力な独裁権力で纏め上げていたわけだから、その圧力がなくなった後どのように変化するかは余りに未知数が多すぎる。
フセイン政権は非常に近代主義的な政権で、社会の世俗化=脱宗教化と女性「解放」をすすめていた。このあたりはトルコのケマル・アタテュルクなどと同様の開発独裁のイスラム世界版なのだが、こうした独裁の圧力がなくなると近代化勢力が後退し宗教勢力が伸張することは必至である。現在の政治情勢はシーア派・スンニ派・クルド人の3勢力に世俗派の「イラク国民リスト」がからむ、ということのようだ。しかし世俗派が勢力を伸ばそうとしたらフセイン政権下で世俗化を進めてきた旧バース党員の協力が必要になることは必至であり、それをアメリカがどこまで容認するかが問題になるだろう。いずれにしても「アメリカを支持する」勢力は存在しない。アメリカを利用する勢力はあろうが。
治安や軍の問題も指摘されている。現在治安が向上しつつあるのは各派のミリシア(独自に保有する武装勢力)が警察などに認定されているからであるというから、中央政府の威令よりも各派の指導者の意向に従っているに過ぎない。いわば、明治維新のときに西郷隆盛に従って上京した薩摩の兵士や警察官たちのようなもので、西郷が野に下れば3000人ほどが一斉に辞職して薩摩に帰ったというから、こちらも各派の合従連衡の行方によってはどんな事態が発生するかわからないだろう。
しかしそれにしても、アメリカがテロとの戦争を名目に石油利権を漁ろうとして開けたパンドラの箱からこれだけの魑魅魍魎が飛び出すとは思わなかっただろう。いまさらながらフセイン政権という強固な「鍵」がこの箱を厳重に封印していたことを思わずにはいられないのではないかと普通なら思うが、まあそこを思わないのがアメリカ人かもしれないという気もする。このパンドラの箱からアメリカが石油とか民主化とか安全保障とかの「希望」を取り出すことができるのか。取り出したと思ったらもっと手におえない魔物であった、という可能性もあるような気がする。まあ5000年の歴史を持つイラクを200年強のアメリカが思い通りにできると考えた方が思い上がりなのである。
***
オリックスの仰木彬前監督がなくなったという。ついこの間まで指揮をとっていたのに。やはりよほど体調が悪かったのだろう。
仰木監督といえばイチローらを育て上げ、震災の年にオリックスを優勝させたことが良く取り上げられるが、私が一番印象に残っているのはその采配である。仰木マジックとよく言われたが、その選手起用が非常に興味深かった。そのさまざまな起用法の中で私が面白いなと思うのは、2アウトをとった後でファーストを交代させたりする起用である。守備が交代すると交代したところにボールが飛ぶ、とよく言われるが、これは科学的根拠があまりあるとは思えないが実際にはよく目にすることである。意味のない交代に見えてもファーストが交代すると次打者がファーストゴロでゲームセット、などという場面をよく目にした。そのワンナウトをとるためには科学的に見えなくても取るべき手段は取る、というやり方が面白いなと思ったのである。彼以後、そんな采配をする監督を見たことがない。科学的でないとか合理的でないといわれることを、みな恐れているのではないかという気がする。そんなつまらないものにこだわらない野球が、彼の真骨頂であったのではないかと私は思っている。ご冥福をお祈りしたい。
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