『脳を超えてハラで生きる』/中共政権の言論弾圧に協力したヤフー/上流階級のいたずら

Posted at 05/09/11

総選挙当日。6時におきて7時に一番に行くつもりだったが、昨日の夜どうも寝付けなくて3時過ぎまで本を読んでいたら案の定寝過ごした。村崎那男『脳を超えてハラで生きる』読了。この本、当初思っていたよりずっと面白かった。ハラ的、軸的という人間の生きる姿勢の分析を身体論的に、筆者の世界観の中でよく展開している。

日本はもともとハラ的な生き方を是とする国だったが敗戦によりそれが大変動を起こし、軸的な生き方への憧れが強くなって、戦前はあまり評価されなかった宮沢賢治のようなハラの弱いタイプの人間が一躍評価されるようになった、と言う指摘は納得できるものがあった。

もうひとつ、目の前の現実は「既にある」もの、つまり過去の結果であって今感じていること、今思っていることが現在であり、未来を作り出す、と言う考えである。つまり、過去は変えられない。と言うことは、今目の前にある現実そのものを変えることは出来ない。しかし今思っていることは過去にとらわれず自由に思ってよく、そこから未来が生まれる、と言う主張である。

ここのところは難しいところで、あまりそれを原理主義的に主張しすぎると伝統と言うものを全く無視した奇妙な思想につながりかねない危険もあるし、かといって過去に強く囚われすぎるのももちろん建設的とは言えない。まあそこでインテリジェンスが出て来るとしか言いようがないが、そこのところにやや疑問がないでもない。しかし、実はこの本の後のほうでは伝統についての考え方も取り扱っていて、ヨーロッパ的な『伝統』の考え方に縛られることはない、と言うことも言っており、それはそれで理解できる。伝統を維持するためには発想の転換も必要となる、と言う部分も確かにあることだし、まあまだまだいろいろ自分自身も考えていかなければならないなと思う。

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今朝はどこの番組も総選挙については扱っていない。投票行動に影響が出ることを懸念していると言うことか。私はもう投票は済ませたが、一応投票時間が終わるまではコメントは自粛した方がいいのかな。比例区への投票はまず第一に比例区の一位の候補に対する投票だ、と言う意識は持った方がいいのではないかなと思う。私はそう考えて比例区の投票先を選んだ、と言うくらいは書いても問題はないだろう。

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全然関係ないが、小泉首相は朝鮮の両班の服装が似合うんじゃないかと言う妄想がここ数日頭から離れない。あの帽子をかぶった白い服の、だ。

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ヤフーが中国人記者の電子メールなどの個人情報を中国の公安当局に提供し、その記者は懲役10年の判決を受けたと言う。罪名は国家機密漏洩罪であり、まさに全体主義国家の言論弾圧にヤフーが加担したと言われてもしかたのないケースである。ヤフーは中国での事業展開を考慮すればやむをえないと弁明したと言うが、死の商人でもあるまいし、情報を扱う企業が独裁国家に協力したら人権や報道の自由など嵐の前の一片の塵であろう。こういうニュースはもっと大きく扱われてもいいと思うのだが。

東トルキスタン情報センターというサイトでは、中共政権は中国テロ政権とか独裁・侵略者政府とか呼ばれているが、たとえばウイグル人のメッカ巡礼についての苦労が語られている。東トルキスタンは中国の植民地だ、と規定しているようだが、その伝で行くと確かに中国の周縁部はほとんど植民地だと言うことになる。

日本国内で災害のたびに問題になる中国人窃盗団だが、台風14号被害では宮崎県に来ているようだ。傘を盗んだなどといういわば微罪で書かれているが、実態はどんなものなのだろう。偏見を助長しないように報道するのは難しいことだとは思うが、しかし実際に起こっていることはきちんと報道してもらいたい。報道してもしなくてもどちらかのサイドから攻撃されるメディアも気の毒と言えば気の毒だが、しかしそれがメディアの使命というものだし、どちらからも文句の出ようのないしっかりした報道をしていただきたいものである。

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枕草子をたまたま読んでいて、一条天皇と中宮定子がいたずらの文を送る、と言う話が出てきて、ああ、日本の上流の人たちのいたずら好きと言うのは昔から変わらないのだなと思う。以前犬養道子の本の中のエピソードで、近衛文麿が犬養健を呼んで刺身を全部糸で縫いつけた食事を出したりした話を読んだが、なんだかその他愛のなさは1000年たっても変わらないのだなと思う。この得のような危急存亡のときの現職首相がそんなことをやっているのはどうかと思ったが、これは日本の公家のある種の文化伝統なのだなと思う。秩父宮妃の自伝で秩父宮が邸内の二階でローラースケートだったか何だったかに興じていた話もあった。なんだかウェルズの『タイムマシン』に出てくるイーロイを思い出すが、もちろんイーロイとモーロックと言う存在自体が上流階級と労働者階級の戯画であるのだから当たり前と言えば当たり前なのだが。

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