東京まで往復/ジャンププラスで藤野ハルマ「なんにもない、なんでもない」を読む/白洲正子を読み直そうと思う

Posted at 23/10/23

10月23日(月)晴れ

昨日は東京へ帰る。朝7時ごろ車で出て、境川PAでソースカツ弁当を買い、10時半ごろに東京着。郵便物を確認して少し休み、入浴して髪を洗ったりしてから昼食をとってから神保町に出かける。特に買うものがあったわけではないが、車で行く場合のことを考えて駐車場を探しながら見ていたのだが、路上のパーキングが60分300円だったのに対しコインパーキングは15分400円。これは無理だなと思う。小川町の三省堂書店の仮店舗で少し本を見た後、すずらん通りへ。古書を見ていて「現代民俗学入門」(吉川弘文館、1996)が500円で買えたので買った。自分の民俗学の知識も古いので(とはいえこれもそんなに新しい書ではないが)少しは勉強しておこうかなという感じである。マンガを見たり美術書を見たりしたが買わなかった。

時間がなかったので早めに切り上げて帰宅。明るいうちに東京を出ようと思っていたのだが、いろいろやっていたら暗くなってきて、結局6時過ぎになった。とめている駐車場は昼間最大料金が800円なので神保町では30分分だ。ただこのパーキングは100円しか使えないので、せっせと小銭を作って100円玉を8枚貯めた。一昼夜停めると1300円になり、料金よりも100円玉を13枚用意する方が負担になる。

帰りの首都高は割と渋滞がちだったがそんなにひどいというほどでもなかったのだけどいつもと渋滞の区間が違う感じでいろいろあるんだなあと思った。普段は右車線を走ると絶対速いのに、昨日は左車線がずっと流れていてこういうのはどういう理由があるんだろうなあと思ったり。

中央道に入ってから石川PAでこのところのルーティンになっている八王子ラーメンを食べ、境川・八ヶ岳でトイレ休憩。この頃になるとだいぶ疲れていた。一つ前のインターで降りてガソリンを入れにいったら、普段行ってるコンビニ併設のスタンドがめちゃくちゃ混んでいて驚いた。夜9時半ごろ。この時間にいれにくる人が結構多いのだな。自分はこの時間に来るのは初めてなので、人の生活習慣というのはまちまちなのだなと改めて思う。10時ごろ実家に戻り、お茶を飲んで10時半には寝た。

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ジャンプ+で読み切りの藤野ハルマ「なんにもない、なんでもない」を読む。

https://shonenjumpplus.com/episode/14079602755345580881

短い話で無料なので読んでいただければと思うが、とても良い話だった。「なんでもない」のに生きづらさ・調子の悪さを感じ、そのこと自体に罪悪感・居心地の悪さを感じてしまう少女が、ある時電車の中で過呼吸をこしてしまったのを老人に助けられ、それをきっかけに交流が始まる。自分の悩みを相談し、「なんで死んだらいけないのかな」という少女に一言「まだ早い」という老人。「通報される」とか今日的なことをいうが、少女は老人を信頼している。

同級生の家庭環境が複雑で荒れている男子に「お前はラクでいいよな」と言われ、つい衝動的に死ぬことを考えてしまうが、たまたま老人に発見され、話しているうちに「死体を見に行くか」と言われ、老人の親友の老人一人による葬儀に立ち会うことになる。

少女は自分が「何一つ不自由なく恵まれている」のに「しんどさ」を感じていることに後ろめたさを感じているのだが、老人は「何不自由ないのにしんどさを感じているということは、しんどいというのは絶対に消えないんだなあって返って安心するじゃないか」と言う。

ひとことで言えば、彼女に欠けているのは「父性的な存在」であったのだなと思う。この話の中で父親は存在感がない。いるのかどうかもよくわからない。母親は心配はしてくれるが、彼女の「しんどさ」をどうすることもできない。老人は少女に、「死とはどう言うものか」を教える。「死」を教えるのは、母親でなく父親の役割なのだなと思う。

そして、「しんどいと言うのは絶対に消えない」と言うのは、つまりは仏教でいうところの「一切は苦である」と言う教えと同じだろう。どんなに幸せそうに、ラクそうに見えても人は皆、苦から逃れることはできない。「苦はないはずなのに」と言うのが、いわば幻想なのだけど、それに見えないから苦しんでいる。島人が「死を見せた」のはいわば、出家前のブッダ=シッダールタ王子が何不自由ない生活の中で何も見えずにいたのが「四門出遊」によって死者や病者を見せられたのと同じことだろう。まあそんなふうに解釈すれば抹香臭くなるのだが。

老人は「俺はもうあの公園には行かない。お前は群れに帰りなさい」と言い、少女は何かを掴んだような顔をする。「苦しいのは消えないって分かったから、開き直ってやりたいことをやることにしたんだ」という少女は、目標を達成して再び老人に会いに行く。

短い話なのでこんな解説を読むよりまずマンガそのものを読んでもらえるとありがたい。この作者は「詰襟クラブ」というかなり性癖が前面に出た作品もジャンププラスに書いていてそれはそれで面白いのだが、今回の作品の方がかなりいいと思う。こういう作品で連載するのは難しいかもしれないが、読み切りの連載みたいな形で読めるといいなと思った。

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最近書くものの方向性に迷っているところがあるのだが、家で本棚を見ていて、もともとウェブにものを描くようになったきっかけの一つ、白洲正子の本をもう一度読んでみようかなと思った。1999年ごろは何も知らずに読んでいたのだが、今ではまたいろいろな方向から考えながら読めるような気がする。今朝は時間がないのでそのことだけ少し。

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