妄想色の強いプーチンロシアを多くの国が支持する理由/この戦争を何と呼ぶべきか

Posted at 23/06/10

6月10日(土)晴れ

本日2本目。今まで毎日1本を基準に書いていて、話題がいくつかに渡る時も分けないで書いていたのだが、そういう書き方も読みにくいかなということと、更新頻度をもう少し上げたいということもあって、分けて書いて更新時期もずらすことにした。まあ一日一本でも大変な時は多いので2度更新できる日がどれだけあるかはわからないのだが、今日は試しに実行してみたいと思う。

ウクライナ戦争について下のツイートから始まる一連のツイートを読んで、少し考えたことを書きたい。

https://twitter.com/royterek/status/1666838359317299201

この辺りの指摘、説明の仕方としては割と乗りやすい感じはある。ウクライナにとっては事実上の独立戦争であり、プーチンロシアにとっては「西側という第二のナチス」との「幻影の大祖国戦争」なのだろう。

しかしロシア支持の他国にとってはプーチンロシアの妄想に乗っているわけではないだろう。当然だがそんなことをしても一文の得もない。ロシアを支持する大きな動機は「クソうざい米英の押し付けの一つの防波堤」という意識が一番強いのではないかと思う。

特に大中華「復活」の野望を持った習近平中国の「幻影追い」にとっては、「ロシアの自分の影との戦い」は迷惑でしかないのだが、「血に飢えた道化」の盟友が倒れてしまうと一人で米英と戦わなければならなくなるのでそれは避けたいということは大きいだろうと思う。

実際、中国などの「大国」だけでなく、米英の「正義の商人」的な介入をクソうざいと思ってる国は国連加盟国の半分はいるだろう。そういう国々にとって、ロシアの存在は必要だと思われていると思う。「妄想の狂人」でもいなくなったら困るという存在価値が彼らにとってはあるわけだ。

日本は安倍政権の頃はそれなりに独自外交をしつつ各国首脳の懐に飛び込んでいく安倍さんならではの外交手腕を発揮していたが、プーチンロシアに関しては結果的に大ファウルになった。岸田さんはその点安定の米国協調路線なのでG7首脳揃っての原爆資料館見学というかつてない業績を成し遂げたが、その分LGT法案などで譲歩を容認したのではないかという感じがなくはない。

欧米にとってはそのような形で「擦り寄ってきてるアジア人の国」を袖にする余裕はないだろうと思う。ヨーロッパ各国もEU加盟をめぐってトルコをずっとイビってきた経緯もあり、その結果、ウクライナ戦争のような大事件においても十分に味方になってくれない現状がある。日本はその分持ち上げられるという形では恩恵を受けてるとは思う。それがどの程度の意味があるのかはわかりにくくはあるのだけど。

私は基本的に安倍さんの外交の方が面白いと思うが、それは彼がやるからこそまあ大丈夫だろうと思えるところはある。岸田さんは堅実に成果を上げて行っているけれども、思いがけない事態が起こった時に本当に大丈夫だろうかという気がする。「西側諸国の中でのアジアの優等生の限界」みたいなものが出なければいいのだが、という気持ちはなくはない。

***

関連してもう一つ書いておくと、今回のウクライナ侵略をどのように表記するか、という問題がある。私も最近はウクライナ戦争と書いているけれども、これは小泉悠さんが「ウクライナ戦争」という本を出したことが大きい。第一人者がそれを許容するならいいかという感じだ。

彼は正確には「第二次ロシア=ウクライナ戦争」と書いている。それは、2014年のクリミア「併合」とドンバスの親露派の「独立」にかかわる紛争を「第一次ロシア=ウクライナ戦争」としているからである。

ウクライナの方に正義があるのだから「ウクライナ=ロシア戦争」と書くべきだ、という主張もあり、それなりに説得力はあるのだが、どちらが攻めでどちらが受けかを考えるとロシア=ウクライナ戦争の方が当たっているかもしれないとも思う。

戦争の名前というのは割と一筋縄ではいかなくて、日本の戦争でも日清戦争は正式には「明治二十七・八年戦役」だし日露戦争も「明治三十七・八年戦役」であったはず。日中戦争はもちろん元々支那事変だし、日本政府が自ら行っている戦争を「戦争」と呼んだ例は「大東亜戦争」しかないのではないかと思う。

「日清」や「日露」という言い方も割と近代的な呼び方であり、文禄慶長の役は「朝鮮征伐」だし蒙古襲来は「元寇」であって「日朝戦争」とか「日元戦争」ではない。

だから「ウクライナ戦争」というのも言わば仮の名前に過ぎないのだが、どのような名称で定着していくことになるのか、はっきりするのは戦後になってからかもしれないと思う。

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まだはっきりはしないが、ウクライナの本格的な反転攻勢がはじまったという情報はいくつか入ってきている。今後の展開を見ていきたい。


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by Luke Peterson

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