埜納タオ「夜明けの図書館」7巻・完結を読んだ:「全ての読者にその人の本を、全ての本にその読者を」

Posted at 22/11/02

11月2日(水)曇り

11月に入っての初日は雨だった。毎週火曜日は忙しいので月曜日に結構仕事を片付けておいたのだけど、結局昨日も忙しかった。ただ昨日はだいぶしっかり寝られたので夜まであまり辛くなく過ごせたのはよかった。農は国の本なり、睡眠は健康の本なり。

朝ブログを書いたあと仕事をして、午後に一本文章を書いて、夜にも時間のある時に書こうと思ったのだがそこまで余裕はなく、それでもやろうと思っていた仕事は大体できた。なるべく早くと頼んでいた灯油も昨日配達があったので、しばらくは大丈夫だがかなり値段は上がっている。灯油はリットル100円以下にしてほしい。

それでもこういうことをやっていきたいという感じの方向性は少しわかってきた感じがあって、その辺もう少し形にしながらなるべく無理なく日常と並行させてやっていきたいと思う。今週は休みもあるしまだ余裕があるのだけど、来週はかなり忙しくなりそうなのでその前に軌道に乗せられると良いなと思う。

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埜納タオ「夜明けの図書館」7巻・完結(双葉社)を読んだ。

2012年以来思い出したように出版されてきていて、最近は出ないなあと思っていたが思い立って調べてみたら最終7巻が2021年の2月に出版されていたことを知り、Amazonで注文したら昨日届いていたので読むことができた。

市立図書館の日常のさまざまな側面を描いていて面白い。このテーマの本としては週刊漫画Timesに連載されていた篠原ウミハル「図書館の主」全15巻(芳文社)や、現在ヤングマガジンに連載されているずいの原作・系山冏漫画「税金で買った本」既刊4巻(講談社)があるが、「夜明けの図書館」の特徴は、図書館業務の中でも特に「レファレンス」業務を特に取り上げているところだろう。

私は使ったことはないのだが、レファレンスとは利用者が調べたいことがある時に参考になる本などを探してもらうことで、この作品を読んでいるとずいぶん突飛な質問もされているし、下のリンクのレファレンス共同データベースを見てみると、なるほどと思うような本がいろいろ挙げられていて、せっかくだからこう言うのも利用しないともったいないなと思ったことがあった。


今回掲載された四本は、第25話が学校図書館の司書の話。最近では司書のいる学校も少なくなっているのではないかと思うが、司書のいない図書館は秩序が失われると言うことや、教員の側の無理解や期待のなさなどの中で頑張っている話が取り上げられていて、市立図書館の司書たちとの協力によって学校図書館が整備されていく様子や生徒の自立した学習姿勢が育っていく様子などが良いなと思った。

第26話は地域の災害の傷跡がさまざまな理由で忘れられていくこと、特に市町村合併や地名の変更によって古い災害の記憶が受け継がれなくなる危うさのようなものが取り上げられていた。これは広義には地域史とも言えるし、災害防止に書籍や図書館が果たし得る役割のようなものが取り上げられていて、興味深かった。

第27話は図書館の乳幼児サービスについて。こう言うのも自分があまり縁がないから知らなかったが、子供が騒いでも暖かく見守ることを呼びかける「赤ちゃんタイム」とか、一歳半検診の時に図書館員が出張して読み聞かせサービスなどを行う「ブックスタート」と言う企画が取り上げられていた。ストーリーとしては母親と父親の育児をめぐるすれ違いが主軸になっているのだけど、この話を読んでいて思ったのは母親にとって一番大切なのは子供なので自分と同じように子供を大事にしてほしいという母親の気持ちと、子育てを役割分担と見がちで母親の負担を軽減すればいいと単純に考えてしまう父親のすれ違いみたいなところがそう言うことが起こるポイントなのかなと言う気がした。

最終28話は読書相談の話。就職する高3女子に今お勧めの本を探すことと、異動する同僚にお勧めの本を探す話。これは知らなかったのだが、ランガナタン(1892-1972)と言うインドの図書館学者が提唱した図書館学の5原則というものがあり、

1 本は利用するためのものである - Books are for use.
2 本はすべての人のためにある。または、すべての人に本が提供されなくてはならない - Every reader his or her book.
3 すべての本をその読者に - Every book its reader.
4 読者の時間を節約せよ - Save the time of the reader.
5 図書館は成長する有機体である - A library is a growing organism.

(Wikipediaより引用)

二番目のEvery reader his or her book.という言葉が「いずれの人にもすべてその人の本を」という言葉として、三番目のEvery book its reader.という言葉が「いずれの本にもすべてその読者を」という言葉として紹介されていた。

つまり、本と読者を結びつける役割が図書館にはある、ということで、ラストにこの話を持ってきたのは図書館の本義のようなものを改めて提示したかったということなのだろうなと思った。

最近は少年マンガを中心に読んでいるのでストーリーやキャラクター重視の読み方をしているわけだが、こういうある意味啓蒙的な内容の作品も私は割と好きなので、そのような本を久しぶりに読めたなという充実感を感じた。


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