ウクライナ戦役で注目されている白人極右:エリートへの異議申し立て・日本の右翼との違いなど

Posted at 22/04/06

4月6日(水)晴れ

なんとなくうまく寝られなかった感じで5時ごろ起きたのだが、思ったより暖かい。それでもストーブはつけたけれども、そろそろいらないかなと思った。とはいえ自宅の灯油タンクも底を尽きかけたので灯油の配達の注文を出したのだが、昨日のうちに入れてくれてあったのでこれでこの春は大丈夫だろう。というか秋まで持ち越される灯油が一定あるだろうなと思うけど、梅雨寒の頃に少し暖房が欲しいこともあるので、まあいいかなと思ったり。

マガジンを買いにセブンに行って、車中でFMをつけたら「古楽の楽しみ」をやっていたのだが、そういえばこの4月から5時台の放送になったのだなとなんとなく思いながら少しドライブした。外の空気もかなり春めいていて、空の色も穏やかだ。ローソンに車を止めて6時台に何をやるか注目していたら、基礎英語だった。うーん、FMでやる必要あるのかな。最近はFMで高校野球をやったり音楽以外の放送が増えているのだが、それならNHK-FMも2波にして音楽のための放送は残しておいて欲しいなと思う。事情もあるのだろうが、なかなかあれだなと思った。

ウクライナに関しては報道はロシアの戦争犯罪一色になりつつあるが、この件はオルタナティブとして白人極右勢力の聖地のようになっているプーチン政権というところに一つの注目展があるのではないかと思った。白人極右というのは宗教的な基盤を持ってる勢力も多く、その点ではナチスorネオナチとも必ずしも同じではない(ナチスは無神論)し、リベラルに対する異議申し立ての面はあるが、ロシアでは政権補完勢力に取り込まれている感がある。日本でも戦後の一時期治安の維持に任侠集団が協力した時期があったと言われているが、国家の支持基盤の弱さを補うためになりふり構わない感じは今回明らかにされた異常な虐殺ぶりにも現れているようには思う。

白人極右とは何か、というのは日本では捉えにくい問題だなと思う。というか自分にとってもすごく理解しにくいもので、まだこういうものだとはっきり掴んでる感じがしない。ぜムールやルペンとロシア帝国運動などを同じ極右で捉えるのはなかなか難しい感じだ。右派ポピュリズムと極右もまた区別すべき部分が大きいように思う。

極右や右翼はナショナリズムの担い手であることも多いから徹底的に排外的かというと必ずしもそうではなく、国際的な連帯も進んでいる。日本の右翼は反欧米帝国主義の立場を持っていたからアジアの民族独立運動家と連帯したり応援したりしていたことはよく知られている(アジア主義)が、ナチスの国家社会主義的な立場も欧米各国で類似の団体があったことも知られている。もともとナチスはイタリアのファシストの影響を受けていることももちろんなのだが。プーチンはことあるごとに「ウクライナのネオナチ」を糾弾するが、ソ連共産党を嫌う勢力のかなりの部分が「敵の敵は味方」でナチスに接近していて、ガンディーなどもナチスと連絡していたことは最近わかってきたらしい。ナチスのベルリンは反英米ソの民族独立運動の一つの中心だったという。

第二次世界大戦においてソ連の戦争犯罪は数多くあったが、連合国の一員だった彼らの戦争犯罪は裁かれることがなかったため、日本人が拉致されシベリアで強制労働させられて多くの人たちが死んだことも補償も検証も一切されていないわけだけれども、ソ連・ロシアの周辺国では同じような目にあった国々はいくつもある。

ただ、世界が英米を中心とするエリート、エスタブリッシュメントによって主導されてきたことは確かで、それに対する異議申し立てとして左翼ラジカルやイスラム過激派とともに極右が出てきたこともまたその構図としては捉えられる。エリートにも左翼リベラルの部分もあれば保守エリートもいて、エリート側がそうしたオルタナティブの動きを自分たちが有利になるように使嗾してきた面もあるわけだが、そうした構図をもとに考えないとこうした極右の動きを位置付けることは難しいのではないかなと思っている。

つまりはエリートと反エリートの対立というのが現在の世界的な潮流なわけで白人極右というのもその文脈でとらえた方がいいと思うということだ。ただ、ウクライナの極右=アゾフ連隊はみんなよく話に出すけどロシアの軍事補完勢力であるワグナー社に人材を供給する「ロシア帝国運動」はそんなにクローズアップされてないのは少し解せない感じはある。

この辺なかなか世界の思想・運動の構図の全体像みたいなものを捉える入門書みたいなものはないのでいろいろ自分で読んでみるしかない感じはするのだけど、自分でも無意識のうちにそういうものに対する関心は持っていたようで、その系統の本が何冊も本棚にあった。

今手元にある新書は黒川祐次「物語ウクライナの歴史」(中公新書)、山口周「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか」(光文社新書)、水島治郎「ポピュリズムとは何か」(第3章が欧州極右、第4章がリベラルの反イスラム)(中公新書)、田中拓道「リベラルとは何か」(第5章が排外主義ポピュリズムの挑戦)(中公新書)、渡辺靖「白人ナショナリズム」(主にはアメリカのそれについてだが第5章はそのグローバル化について)(中公新書)、金子夏樹「リベラルを潰せ」(アメリカ極右とロシアとの関係、特に3.4.6.7章はロシアでの動き)(新潮新書)。

「物語ウクライナの歴史」以外は2016年以降の本。トランプ当選によってこれらの動きが特に注目されるようになったのだろうと思う。このほか宇野重規「保守主義とは何か」(中公新書)は読んだが、これはどちらかといえばエリート側の保守主義という感じ。ブレイディみかこ「労働者階級の反乱」(光文社新書)はブレグジットとその背景について書いているのでこれらもこういう方向性と重なる部分のある話だろう。

自分は保守主義的なスタンスを持っているけれども、それはエリート的な保守主義でもあり、大衆的な保守主義でもあるのだけど、日本のそういうものは必ずしも白人極右とのつながりは強くない。日本にもトランプを支持する人たちは多いが、彼の背後にいた勢力も支持するわけではないだろう。

日本の右翼はアジアの民族運動の方向に開かれていたが、今のネトウヨは反中国・反韓国・反北朝鮮なので伝統的な右翼とはかなり違う。白人極右も敵とするものは中東からの移民だったりイスラム教徒だったりユダヤ人だったり結構状況によって違う。暴れたいだけの人もいれば、伝統的な生活や宗教、国の仕組みなどを守ろうとする人もいて、一括りにできるようなものでもないが、全体的なイメージが掴めていけると世の中が、というか今の世界が少しは見えてくるような感じはする。

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