「鎌倉殿の13人」:歴史的にはつなぎ回だったが義時の誠実な努力がついに報われた拍手すべき展開だった

Posted at 22/04/04

4月4日(月)雨

昨日はなんだか疲れが出て1日使い物にならなかった感じで、何かをやろうとしてもすぐうたた寝をしてしまうの繰り返し。なんとか夕方買い物に出て夕食は確保したが、食事を食べてから「鎌倉殿の13人」を見て、なんとなくTwitterを見ていたら小泉悠さんがサンデーステーションに出ているとあったので見ていたのだが、キエフ州から撤退したロシア軍の後に進駐したウクライナ軍によって多くのロシア軍の凄惨な戦争犯罪が明らかになったことが報じられていて、これに対して小泉さんがどうコメントするかと注目していたのだがその前にスポーツコーナーになってしまったので消して寝た。大谷も出場しなかったようだし。

この疲れの溜まりかたは何が原因なのかはよくわからないのだが、昨夜もものすごく良く寝られたというほどではないがだいぶちゃんと寝られたので今朝はだいぶ頭がはっきりしている。とはいえ、セブンイレブンに行ってマンガを(ジャンプ・スピリッツ・ヤンマガ・ワンピース102巻)買い、カフェラテをセットしてからSuicaをチャージしたのだが、出るときにカフェラテを持って出るのを忘れ、車に戻ってから慌てて取りに行ったりしたのでまだ本調子ではない。というか早めに本調子に戻りたいのだが。

***

「鎌倉殿の13人」第13回「幼なじみの絆」を見た。この辺りはこの作品がベースにしていると思われる鎌倉幕府の公式史書「吾妻鏡」が欠けている寿永2年(1183年)の出来事が中心のため、かなり自由に創作した感じがした。前回の鎌倉勢力内部の大騒動、「亀の前事件」の後始末から「木曾義仲挙兵」に至る顛末の、歴史的に見れば「つなぎの回」なのだが、そこにドラマ上重要な出来事を色々と突っ込んだ感じで、見終わった後いろいろ考えているうちに脚本の妙に感心させられた。

ただ、三谷脚本はいつも思うのだが、テンポがいいしいろいろと盛りだくさんでキャラもそれぞれ立っていて、ウェルメイド作品としては良くできているとは思うのだけど、役者の格というか力量で見せる芝居があまり多くないのがやはり物足りなく感じる部分はある。まあ後白河法皇の西田敏行とか源頼朝の大泉とか北条政子の小池栄子とかその他にもこの人でないとこの脚本のこの役は考えられない(まあずっと見ているせいもあるが)という感じの役は多いのだけど、役の深みというところまではなかなか到達してないなあという感じはする。キャラクターを立たせすぎているというか現代的な色付けが強いというかによって悪くいえば脚本の人形みたいに見えてしまうというか、この歴史上の人物はきっとこういう人だったんだろうなあとしみじみ思う、みたいな感じではないのが少し残念だが、まあ「いわゆる大河」ではなく「三谷大河」として楽しむべきものなのかもしれない。

今回のパートは大きく分けて四つ。亀の前事件の後始末、比企の源氏への取り入り、木曽との交渉、八重がついに義時に心を開く、という展開。これだけのことをつなぎ回に投入し、ドラマ的にも最後のパートですごく盛り上げてしまう脚本の展開は流石にうまいなと思わされた。

亀の前事件で腹を立てて伊豆に引っ込んだ北条時政だが、御家人の間で株が上がったという話を聞いて喜んだりしてるのが可笑しい。この辺は上手いというか割とあざとい三谷演出を坂東彌十郎のほんわかした演技で説得力を持たせている。伊豆を訪れた義時とついでに来た三浦義村にりく(牧の方)が半色仕掛けで亀の居場所を聞き出そうとしてる場面は生々しくて、なんか色香が画面のこちらにも飛んできそうだったが、土臭さで中和させるという荒技だった。頼朝が政子に事実上自分が悪かったと認めながら、「小四郎まで帰るのではないだろうな!」という場面で、義時が頼朝に頼りにされてることが示されてて、ちょっと小四郎、報われてんじゃん、と思った。

武田が鎌倉を訪れて木曽が平家に通じているという噂を伝えるなど、源氏の各勢力での足の引っ張り合いが始まり、軍勢を出すという話になるがそれに関東の御家人たちが猛反発し、結局範頼を使いに立てて義時や義村がいくことになる。この時に梶原景時が「不満を訴えた御家人のリスト」を作ったりしているのがKGBっぽくてゾッとさせる演出だった。木曽への使いに謹慎中の義経が行きたいと駄々をこねて義時は内緒で連れて行くことに同意する。しかし源氏に近づいて北条に取って代わることを画策する比企能員が範頼と義経を招いて比企尼の孫にあたる二人の娘を紹介する。範頼は断るが義経は河越重頼の娘・さと(郷御前)にひかれ、一夜を過ごして寝過ごしてしまい、結局木曽に同行することができずに終わる。郷御前は義経の正妻だが、比企の一族であるとは知らなかった。また範頼の妻は頼朝にずっとついてきた安達盛長の娘なのだが、盛長の妻は比企尼の娘ということになる。比企能員があの場面で引き合わせるにはドラマ的にもちょっと難しい相手だが、これは今後どのように演出されるのかちょっと興味が湧いた。郷御前が「ドライブ・マイ・カー」の三浦透子さんだということは後で知った。

これにより木曾義仲を訪問するメンツは頼朝の弟である源範頼を使いに義時と義村がついて行くことになるが、平家との結びついているという噂があるから頼朝を離れて義仲についた叔父の行家を人質に出せと伝える義時に、義仲は嫡子の義高を人質に出すと告げる。義高が八代目市川染五郎、「黄金の日日」「真田丸(三谷脚本)」で呂宋助左衛門を演じた先代松本幸四郎の孫。義仲は自分が北陸道に進出したのは東海道に出たら武田や頼朝と競合するからで源氏の内部で争う気はないと言い、義仲が北陸に出た理由があまり理解できていなかったのでこれは説得力があるなと思った。巴御前が登場して相変わらず義村がコナをかけるのがおかしかったが、巴が幼なじみだから義仲に忠誠を尽くす、という言葉に義時が感銘を受ける。巴御前の主君に使える女騎士的なメンタルがちょっと説得力があった。巴は元AKB48の秋元才加さんで、精悍な印象をよく出していたと思う。ていうかもう33歳なのか。

この場面で義村が義時に「お前が羨ましい」という場面があり、もともと次男でありまた時政の嫡子になるとも限らない頼朝の元で自由に活動する義時を高く評価するわけだけど、女性関係的に自由というかチャラチャラしている義村がそういうことで便利に使われてるようにも見える義時がその誠実な行動で周りの信頼を勝ち取り、生き生きと行動していることを改めて認識させる上手い演出だったと思う。義村にそう思われるならある意味義時も報われているなと。

そして頼朝が懲りずに亀の前の隠れ家を訪れるとそこに政子がいてしおしおと退散するが、亀の前が政子に「あなたは関東中の女の憧れなのだからしっかり勉強しなさい!」という場面がまあこれは絶対的にフィクションなわけだけど「亀の前」というキャラの一筋縄ではいかないところを印象付けるすごい場面だったと思う。彼女の出番はこれで最後だとは思うが、頼朝から手を引いて京に上ってどこかの貴族にでも取り行ったりする展開にしたら面白いなと思わされた。

「このままでは帰れん!」という頼朝は江間を訪れて八重に迫ろうとするが指を噛まれて撃退される。ここ
まで、八重は頼朝に未練があると思っていたので意外だったが、考えてみると小四郎が江間を訪れるたびに微妙に八重の反応は変わっていて、どっさり田舎くさいお土産を持ってくる小四郎にいらないわよ的な反応をしていたのが「また来ます」という言葉に「ここが自分の家なのに」と呟いたり、だんだん絆されていたことが後で分かった。巴御前の騎士的な愛に影響された小四郎が「自分に振り向いてくれなくても幼馴染として笑って過ごしてくれたらそれでいい」というのについに笑顔で「おかえりなさいませ」というのは、不器用なマメ男がついに報われる瞬間という感じではあるがそれまでの塩対応を考えるとすぐには飲み込めない感じもあり、本編終了後の「紀行」で「義時の妻となった八重が」と述べられたことで「え!?そう、そう、そうだったの!?」みたいな反応になった。

まあつまり、これまで頑張ってるけどなかなか評価されてこなかった義時がついに報われた回、として最後に最高のご褒美があった、ということなんだろうなと思う。頼朝にも、義村にも、八重にも認められた。まあこういう女性を口説き落とす大変さみたいなものをしみじみ思ってしまったが、血筋的には叔母にあたる(義時の祖母と八重の母はおそらく違う人だが)この女性との関係が、今後どうなるのか、と言ってもおそらく長くは続かないだろうけど、ようやく一つのハイライトを迎えたんだなという感慨はあった。

歴史をなぞるだけではない大河ドラマの脚本の一つの見本を見たような回だったと思う。拍手。

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by Luke Peterson

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