「一部の不心得者」と「感染拡大」

Posted at 21/04/24

一部の不心得者

新型コロナの感染も、変異株の感染拡大に伴って再び医療危機が招来され、東京や大阪などでは三度目の緊急事態宣言が出されることになった。今回の拡大は大都市だけにとどまらず、私が今いる長野県の諏訪圏などでも拡大が見られ、感染者が出た学校なのでは三日間の休校措置が取られるなど、影響も拡大し、また酒類提供の自粛や飲食店の時短営業要請なども出されて地元紙ではその影響の大きさが報じられるなどしている。

Twitterなどを読んでいると、今回の国や東京都の措置に関しては批判が多い。どうもそれは、「一部の不心得者が感染を拡大させているのにそうでない自分たちが影響を受けるのは理不尽である」という感情に基づくものが多いように思われる。確かに様々な情報を聞いていると、感染が広がった原因はやはり「飲み会」「歓送迎会」等が中心であるように思われ、また「感染経路不明」とされた人も実態は「いろいろな場所で飲み歩いていたのでどこで感染したかわからない」という人が多い、という話もTwitterの医師アカウントから出ていたりする。「気をつければ大丈夫」のはずなのに、「感染対策を無視した一部の不心得者のせいなのに、彼らに的を絞った対策(罰則、禁止等だろうか)ではなく、一般の人流を制限する措置が取られるのは影響が大きすぎる」という批判が出てくるのは、理解できないことではない。

「一部の不心得者」像はかなり鮮明になってきていて、例えば「陽キャ」「若者」「自分は大丈夫だと考えている若者」「マスクを嫌がる老人」など、そうした人々のせいで感染は拡大している、という認識は強いだろうと思う。また私自身、地元の喫茶コーナーなどで身なりのいい八十代くらいの老紳士が二人、マスクをつけずに会話するのを見てどんなものかなあとは思った。呼吸がしにくいためか、コミュニケーションの阻害を感じるのか、特に地元で権力を持っているようなタイプのお年寄りに、マスクを嫌う傾向があるようには思える。

これだけ感染が拡大してしまうともうあまり強くは無くなったが、「他県ナンバー狩り」のような現象が起こったのも、「感染対策を無視して県境を移動する不心得者」に対する反発であるし、また東京で感染が拡大した頃は都民であるというだけで「不心得者」扱いされる傾向が他県ではあり、潜在的な「都会者」に対する反発が顕在化した感もあった。

ただ、現実問題として日本の危機管理法制はこうしたパンデミックの事態に十分対応しているとは言えず、「命令」という形で罰則を伴う措置は取れないようになっている。これは政府が大きな権力で国民の自由を奪ったと考えられた戦前の体制に対する批判から発しているわけだが、ロックダウンなどの強硬な措置が取れないことにより十分な効果が出ないということになり、「自粛要請」という語義矛盾的な対策にとどまっていて、そうなると要請に従う者と従わない者の意識の差、特に双方ともお互いに「被害者意識」を持つことになって国民の分断が進むという傾向が現れているように思う。

こうした「一部の不心得者」の問題、影響力の大きさなどについては、なかなか腰が座らない「福島第一原発事故以後の対策」にも反映されていて、今回の「処理水の海洋放出」についても、科学的に十分な根拠があるという主張をなかなか受け入れない人々が一定数いて、その中には社会的影響力が大きい人もあり、また雑誌等に自分の意見を主張することによって反対の影響を広げているという問題もある。

問題は「政府や東電が何を言っても信じない」というスタンスの人が一定数いるということで、これは「科学的に考えれば放出は当然、ないしは少なくともやむなしだろう」という意見の人たちから見れば心得違いであると考えられているように思う。

特にこの問題、「原発」に対するスタンスというのは意見の隔たりが大きく、問題の収拾は難しいように思われる。実際に放出するのは2年後ということになるが、また多くの人たちがそれを阻止しようと陸上にも海上にも集まるという事態も考えられるが、放射能を恐れる人たちは集まりにくいかもしれないので、ちょっとどうなるかはまだよくわからない。

この「一部の不心得者」というのは、要は「民主主義のコスト」というものだろうと思う。結局はそうした人々の自由を制限するより、それを制限することの害悪の方が大きい」という形で欧米等では受け入れられているようには思う。この問題はサンデル流の言い方をすれば「正義とは何か」ということにも関わっていくと思われるが、議論の流れを見ていきたいというようにも思う。

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