「NARUTO」全72巻読了。物語の完成困難性とみずみずしいオリジナル性。

Posted at 19/11/18

「NARUTO」72巻読了。5日間で読んだが、特に50巻以降は思ったより時間がかかり、最終的にはかなり骨が折れた感じだが、これは名作だということは読んでいてびんびん伝わってきた。海外でのこの作品の評価がとても高いのは、単に忍者ものだからということだけではないことはよくわかった。
親子・兄弟・一族の相克や国と個人との相克、友情とライバル心、愛の形、いろいろなものが丁寧に扱われていて、唯一無二の物語をパーツパーツで構成している。あまりに広いテーマが丁寧に扱われ過ぎていて、今の作品が何をどう扱ってもNARUTOを踏まえてどう描くか、を考えざるを得なくなっているように思う。

80年代か進んでいた物語の脱構築の方向性、長い物語がなかなか完結しない、それはすでにサイボーグ007の頃からそうではあったが、80年代に始まった「西遊妖猿伝」がいまだに完結しないことと裏腹に、15年かけて(あるいは15年しかかけずに)これだけの物語を完結させたのは凄い。マンガが求めていた巨大な物語世界はその大きさに最終的には構成力が耐えられなくなるのが常で、たとえばオンエア版エフヴァンゲリオンのような迷走さえ90年代には起こっていたわけだけど、そうした「物語の完成困難性」にある種バッハの膨大な曲想の緻密な構成と同じような強さで、破綻も粗雑性も見せずに最後まできちんと着地させたのは実際奇蹟のようなものだったと思う。

現代のバトルマンガの多くがNARUTOのバリエーションに見えるというのは無理からぬ話で、どのテーマについてもなかなかNARUTOほどのオリジナル性を感じさせるのは難しい。同じテーマを書きこむとどうしても似た感じになってしまうから、わりと通り一遍でなぞる感じになっている作品が多い気がする。

また思ったことをまた書こうと思うけれども、この作品を読むことで自分のマンガ史観の全体像が変わるだろうなということは途中から意識するようにはなっていた。今日はとりあえずこのあたりにするけれども、またまとまったことが出て来たら書いてみたいと思う。

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