「魔法使いの嫁」の官能性がだんだんわかってきた

Posted at 19/03/15

「魔法使いの嫁」に改めてハマりだした感じがしている。

初回限定版 魔法使いの嫁 11 (BLADE COMICS SP)
ヤマザキコレ
マッグガーデン
2019-03-09



先日、新巻の11巻が出た「魔法使いの嫁」だけど、この作品を最初に知ったのは深夜アニメだった。アニメまほよめは2017年の秋アニメで、何か他の作品を見るために録画予約をしている時にああこういうのがあると見つけ、見るようになった。今見直してみると2017年の冬アニメはとても充実していて、私が録画したものだけでも「宝石の国」「ブラッククローバー」「干物妹!うまるちゃん(2期)」「食戟のソーマ(3期)」とあり、他にも「おそ松さん(2期)」「鬼灯の冷徹(2期)」「3月のライオン」「少女終末旅行」とちょっと懐かしいものがたくさん並んでいる。「まほよめ」は土曜深夜MXで放送だったから、「宝石の国」を録画する時に番組表で見つけて何と無く気になって時々見たりしたのだったかな、と思う。

なのでアニメで見たときは内容や世界観、主人公たちのキャラクター(性格)などもあまりよく分からず、ただ綺麗な少しスピリチュアルな魔法世界ファンタジーなんだろうというくらいで見ていたのだが、何か気になるところがあり、原作を買って読みだしたら、とても面白くて結局全巻揃えた、という作品だった。当時は9巻まで出ていたように記憶している。

こういう作品は精神世界的な方向に引っ張られすぎると私も元々そういうものが嫌いではないだけにちょっと変なかぶれかたをする可能性があり、あまり入り込まないようにしていたのだが、11巻が出てから以前のところも少しずつ読み直していて、以前いいなと思った場面や気になった場面とは違うところが気になったり印象に残ったりするようになってきた。おそらくそれは、作品世界により近づいた、理解した、世界観が感じ取れるようになってきた、ということだろうとは思う。

チセの性格も魔術学院に10巻から入った後は以前に比べるとすごく社交性が増していて、(それでも相当にっこみ思案であることに変わりはないが)読み直してみると以前はチセ自体がすごく内向的で、でも「お隣さん」=妖精たちに対しては人間に対する時とは全然違う心の開きかたをしているのが面白いなあと思った。

改めて気になったルツと「契約」を結んでルツをファミリア(使い魔)にする場面とか、そういうところを読み直していると改めて何かグッとくる感じがあったり、その後のルツの忠実さ、ロイヤリティみたいな健気なところを見ていると、「自分を粗末にする」チセのファミリアというのはとんでもなく大変だろうなと同情したりする。

また、チセは常に自分を投げ出して相手を救おうとするのだけど、その投げ出しぶりにはある種の官能性があるなというのが何と無く感じられてきて、「エリアスに捨てられるのが何より怖い」というくせに自分ではどんどん自分を捨てているところがエリアスも手を焼くんだよなと思ったりする。

そして、最初は怖いなと思っていたチセが骨頭のエリアスに抱かれる場面とかが、実はすごく官能的なんだということがわかってきて、なんというか物の見方というか、セクシャルなものに対する自分の中の見方自体が変更させられた感じさえする。

だから、自分の命を投げ出して、そしてそれを止めようとするエリアスやルツからの干渉を拒否してまでステラを救おうとすること、そこを考えるとエリアスがステラに嫉妬するのもまあ当然だよなあと思ったりした。

チセがすごいと思うのは、カルタフィスのヨセフまで、はるかに魔法使いとして、あるいは魔物としての格がとんでもなく上のヨセフまでなんとかしてあげてしまうところがとんでもない感じで、そのために目が入れ替わったり腕に呪いがかけられたりしてチセ自身がある種の人外性の方向に進んでいくのに、チセ自身が帰って人間的に成長してさえいるところが、このストーリーの作者の並々ならないところだなと思ったりする。

昨日はこの作品はイギリス版の諸星大二郎作品みたいだなと思っていたのだけど、今考えてみるとセクシャルなものがある種頭で考えた不安や恐怖の方向に変化して描かれている諸星作品とは全然違う表現だなと思うし、やはり女性ならではなんだろうなという部分が大きい。こういう表現は多分自分がただ生きていても思いつかないだろうなという方向の表現になっている気がする。

まあそんなこんなでこの作品、また時間があったら読み返してみたいと思うし、どんどん面白くなっていく感じがしている。

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by Luke Peterson

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