「図書館の主」最終15巻を読んだ。

Posted at 17/06/20

「図書館の主」最終15巻読んだ。


 

主人公である私設のタチアオイ児童図書館の司書である御子柴とふらりと舞い込んだ利用者である宮本、それに子供達、親、司書たち、オーナーなどを中心とした人間模様が数々の児童書・物語とともに描かれていくこの作品も、最終巻。この機会に第1巻を読み直してみて、15巻で裏表がぴったり合った感じがした。

15巻で中心的な役割をする物語は「だれも知らない小さな国」。この本の名前は子供の頃から知っているが、読んだことはなかった。そしてこの本の物語が起爆剤になってタチアオイ児童図書館の未来が決まっていくわけだけど、作者さんはきっとかなり前からこの話を最終話にしようと思っていたんだろうなと思う。そのくらい、平仄が合っているように思う。

シリーズを通しての話だが、全体的に、読んだことのある物語の時は抵抗なく読めたし、知っている話の本当の内容(幸福の王子とか)を知るのも興味深かったが、知らない物語の時は厳しかったこともあった。ただそれでも最終15巻まで追いかけたのは、登場人物たちの物語を最後まで読みたかった、ということが大きいと思うし、それによって取り上げられる物語群も自分の中に入ってきて、それが作者の作戦だったのかどうなのか、気になる物語が増えたことは確かだ。

人文系逆風の時代と言われ、TSUTAYA図書館など、図書館を取り巻く情勢も変化が見られる今、「本を読むこと」の原初的な一つの意味を問い直させてくれるこのような作品が、もっと読まれるといいかもしれない。

ラストは気になる伏線はほぼ回収されているが、オーナーとしての宮本の活躍も少し見て見たかったなと思う。その伴侶との語らいなども。

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by Luke Peterson

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