岩本ナオ「金の国水の国」を読んだ。

Posted at 16/12/27

 

 

 

隙間時間で少し文章を書こうと思うのだけど、なかなかまとまったものは書けない。ちょっと感想など。

 

昨日、岩本ナオ「金の国水の国」を買った。この作品は月刊フラワーズに連載されていたもので、私は読んではいなかったのだけど、「このマンガがすごい!2017」オンナ編で1位に選出されていた。

 

おとぎ話のような不思議なタッチで、権力争いと諍いと、それらの中心にありながらもまるで台風の目のように穏やかな二人が描かれているのが面白い。正統少女マンガ的なメルヘン、読んでいて萩尾望都「東の地平、西の永遠」を思い出した。

 

A国の図書館長の息子・ナランバヤルとB国の辺境に住む第93王女・サーラは、いがみ合う両国の仲違いを収めるために互いに相手国から伴侶を迎えることになる。しかしお互いの長はそれが気に入らず、A国には猫が、B国には犬が送られる。二人は戦争を防ぐためにそのことを黙っておくことにしたが、サーラの元に送られた犬・ルクマンが国境で穴に落ちたことから、それを救ってくれたナランバヤルと出会うことになる。

 

ナランバヤルの猫がオドンチメグという名前なのがいい。星の輝きという意味だそうだけど。

 

商業で繁栄するB国が実は水に困っていることを見抜いたナランバヤルはA国の大臣ムーンライトと図ってA国から水を引くことを計画し、そのために両国を仲直りさせることを図る。

 

急ぎの用でB国に戻って来たナランバヤルと、夜中に山を越えてA国に戻ろうとするサーラが山中で出会い、送ろうとするナランバヤルを引き止めたサーラが「いつでも難しい方の道を選んでください。後でよかったと思えますわ」という場面が印象に残った。

 

細かい心理の綾、ストーリーの仕掛けなどはまだ見えてないところもある気がするけれども、このストーリーはサーラの魅力によって成り立っているんだなあと思った。

 

「2016年のマンガの第1位」というような派手なうたい文句が似合うのかどうかはわからない小品だけど、珠のような作品であることは間違いないと思う。

 

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by Luke Peterson

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