眉月じゅんさんの「恋は雨上がりのように」5巻を読みました。

Posted at 16/06/11

眉月じゅんさんの「恋は雨上がりのように」5巻を読みました。

恋は雨上がりのように 5 (ビッグコミックス)
眉月じゅん
小学館

中年のさえない男に恋をする女子高生、というお話なのですが、それをあまりセリフを使わず、主人公の心情が表現されているところがすごい、と言う作品だと思っていました。

4巻までは月刊スピリッツの連載だったのですが、この5巻からは週刊スピリッツに移籍しての連載になっています。その環境の変化が、この作品にも現れたのかなと思います。

今回面白いと思ったのは二点。一つは黒髪ロングで無表情な主人公あきらが学園祭のお化け屋敷で日本伝統の幽霊に扮していたこと。これはあまりに似合い過ぎてすごく可笑しかったです。幽霊の扮装がこんなに似合う人がいるとは驚きでした。(笑)

もう一人はあきらにモーションをかける(表現が古いな)バイト先の先輩・加瀬の血の繋がらない姉が登場したこと。チャラ助だと思っていたのにその存在が一気に味わい深くなっていて、このキャラについてはとても成功しているなと思いました。

しかし、危惧していた面が現実になったことも。月刊ではのびのびと、セリフが無い、ストーリー展開もほとんどないような透明感のある画が描けていて、本当に象徴的な美しさのようなものを感じていたのですが、やはりより人気争いのある週刊に移ったからでしょう、セリフも増えコマも小さくなり、ストーリーにも展開が出てきて、キャラクターの人間性もより掘り起こされ、より普通のマンガになってしまった気がします。それで十分面白いから、成功したと感じる人も多いとは思います。

作品自体にとってどちらが良かったのかはわかりません。しかし、私のように「セリフに頼らない心理描写と絵の透明性」に魅力を感じていた読者も多かったはず。そういう読者の中には、この変化を残念に感じている人も多いのではないかと思います。

おそらく編集さんの手がだいぶ入っているのではないかと想像されるのですが、この変化は私にはちょっと残念に感じられました。そこが「この作品のよさ」だと思っていたので。

「角を矯めて牛を殺す」という言葉がありますが、小さい点にこだわって大きな作品の魅力を失わせてしまうということです。そんなふうにならないことを願いたいと思います。

私自身は、この作品はたとえ人気があっても週刊よりは月刊連載に向いた作品だと思っています。月刊連載時代も一度に2本掲載されていましたし、作者さんの生産能力は週刊で十分対応して行けるのだろうとは思いますが、より月刊の落ち着いた雰囲気の方が、この作品にとっては収まりがいい気がするのですね。

まあ一読者の我儘ですが、そんなことを思いました。

あきらと店長の恋、叶うのかどうかはわかりませんが、これからも楽しみにしています。

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