【『進撃の巨人』BD6巻ビジュアルノベル「ぬばたまの夜の森に」と「Wall Sena, Good-bye」/吉岡徳仁「クリスタライズ」展を見た/プロレス雑誌『Kaminoge』でジブリの鈴木プロデューサーがヤンチャな悪がきの顔を見せた

Posted at 13/12/23

【『進撃の巨人』BD6巻ビジュアルノベル「ぬばたまの夜の森」と「Wall Sena, Good-bye」】

進撃の巨人 6 [初回特典:Blu-ray Disc ビジュアルノベル「リヴァイ&エルヴィン過去編」他(制作協力:ニトロプラス、プロダクション・I.G)]
荒木哲郎監督作品
ポニーキャニオン

いろいろやりつついろいろやっている、という感じで忙しい。昨日は冬至、今日は天皇誕生日。それらの行事に特に関係はないのだが、忙しいことは忙しい。

『進撃の巨人』BD6巻特典のビジュアルノベル、見終った。今回は3本も入っているのであまり長くないかと思ったが、そうでもなかった。最初の「ぬばたまの夜の森に、あかあかと燃ゆる」はリヴァイのモノローグから始まる。女型の巨人との巨大樹の森の中での戦いのときにリヴァイがエレンに「選べ、自分を信じるか、調査兵団組織を信じるかを」と問う、その問いかけをめぐっての心理的掘り下げという感じ。リヴァイがエレンの本質を見抜く見抜き方、エレンの自己認識、そしてリヴァイ班のメンバーがエレンと過ごす日々の中でのエレン評。あまり期待していなかったが、思ったより良かった。リヴァイという人間の本質、エレンという人間の本質について認識が深まった感じがする。これは割合短い話だった。ちなみに「ぬばたまの夜の森に」というフレーズはとある有名な詩人の引用。Googleればすぐわかりますが。

2話目は「悔いなき選択」で前のエントリで述べた通り。この作品もそうだけど、特典は半分スピンオフ的なのだけど、それぞれ役柄の本質が分かるようなものとしてつくられているのかなと思った。そう考えると、「ミカサ外伝」ももう少しその視点で見直してみたほうがいいかもしれないと思った。ミカサ外伝では「起こらなかった話」が書かれているのがどうかと思ったのだけど、ミカサというのは寡黙で半分狂気と幻想の中にいるようなところがあるからその幻想性をもっと感じながら読むべきだったかもしれない。これもそんなに長くない。

3話目、アニが主役の「Wall Sena, Good-bye」。これは相当長大だった。ある程度の長さのエピソードが15まである。終わるか、終わるかと12くらいから思っていたのになかなか終わらない。うまくセーブが出来なかったので何回かに分けて見直したときに早送りするのにすごく手間がかかった。トータルで4時間くらい(Fast Modeでそのくらいだから、Normal Modeなら8時間くらいかかるのではないか)かかった気がする。でもそれでも全部見たというのは、それだけのことがあったからだ。今までのビジュアルノベルの中でもう一度見返すとしたらどれかと言えばこの作品が一番見たい。

まず、これが本編からの独立性が一番高い。本編のストーリー展開とほとんどからむところがない。アニが女型の巨人となってエレンたちと戦う前の日の話、という設定。私はアニというキャラクター、女性の中ではミカサの次に好きなのだけど、そのアニがまともな憲兵団員としてある事件にかかわる調査を実行する。詳細はネタバレなので書かないが、スピンオフ作品としてマンガにしてもいいのではないかと思う。まあ、リヴァイほど人気があるわけではないからちょっと厳しいかもしれないが。


【吉岡徳仁「クリスタライズ」展を見た】

吉岡徳仁 クリスタライズ
青幻舎

昨日は夕方、丸の内の丸善に出かけた。来年のスケジュール帳と卓上カレンダーを買い、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーがインタビューを受けている『Kaminoge』というプロレス雑誌(!)を買った。帰りに買った神戸屋のパンが思ったよりおいしかった。
今日は木場公園の東京都現代美術館へ行って『吉岡徳仁-クリスタライズ』という展覧会を見てきた。これは凄かった。入ったところからなんだかぼーっとしてしまって、なんだか夢うつつのうちに神秘の世界を通り抜けてしまったという感じ。水中で二つの成分を融合させて結晶をつくる過程に、音楽を鳴り響かせ、その音楽によってできる結晶の形が違うという驚き。なんというか、自然とデザインと工業と科学の融合みたいな手法で、でもできるものはそのどれとも違う自然存在の凄さみたいなものが多い。なんというか、「刻印」という言葉が思い浮かぶ。自然人間が与える、取り返しのつかない「刻印」のようなものが、そこにあからさまにリアルに展示されている、ということを思った。

人の作ったものは、そのつくった人の思想や考えていることが何らかの形で影響するわけだけど、この作品群は結晶の自然の家庭の中で出来上がって行ったものだから、こちらの理解を拒否するようなところがある。それなのに容赦なう暴力的なまでに人の何かが刻印されている。凄い。

思い出のマーニー〈上〉 (岩波少年文庫)
ロビンソン
岩波書店

それから日比谷に出て、少し散歩をして銀座へ。数寄屋橋阪急のビルが取り壊されているという自覚はあったが、その地下街の飲食店もみな店を閉じているということまでは思い浮かばなかった。結局いつもの4丁目の喫茶店へ行って生ハムとモツァレラのパニーニ。この店で『Kaminoge』をだいぶ読んだ。それから木村家へ行ってパンを買い、教文館の「ナルニア国」に上って『思い出のマーニー』(岩波少年文庫)の上下を買った。図書館で借りたものを読んでいるのだけど、期限までに読み終えられるかわからないのでもう買ってしまえと思った。すぐに返すことができるし。少し疲れていたので早めに帰宅した。


【プロレス雑誌『Kaminoge』でジブリの鈴木プロデューサーがヤンチャな悪がきの顔を見せた】

KAMINOGE vol.25
東邦出版

『Kaminoge』vol25、鈴木敏夫インタビュー。先ず表紙が笑う。鈴木さんが弟子の川上さん(ドワンゴ会長)に眼を剥いて噛みつこうとしているポーズ。何事かと思ったら、そこはさすがプロレス雑誌、往年の悪役レスラー、フレッド・ブラッシーの噛みつき攻撃の真似をしろと言う注文だったのだ。(笑)このレスラー、私などはよく知っているのだが、私より6歳年下の川上さんは全然知らないそうで、生き生きとプロレスの話をする鈴木さんに全然ついていけてないのが可笑しかった。

最近は老練なプロデューサーという感がある鈴木さんだが、相手がプロレス雑誌のせいか、話の内容も語り口もなんというかヤンチャな悪ガキという感じで、この人のある本質が図らずも出ていると思った。川上さんも「始末に負えんなこのオヤジ」という感じの対応で笑う。

宮崎作品の分析でも、インタビュアーの井上崇宏さん(この人が後に出てくる長州力のインタビューではずっと「山本君!」と呼ばれているのが可笑しい。長州さんは人の名前を憶えないようだ。)が「作品に変態性が現れてますよね、マザコンとロリコンと触感とかエロさがダイレクトで」と水を向けると、『風立ちぬ』はスケベな映画だとか、『千と千尋』は江戸川乱歩のいたいけな少女のいびりとおんなじだとか、『耳をすませば』では爺さんがちゃっかり恋人の代わりになって鍋焼きうどんをすすってるとか、もう言いたい放題。

プロデューサー業として何をやるかということで、ビジネスパートナーに苦手なことをやらせることによって今までになかった魅力を引き出す、という話を山田太一が高倉健や鶴田浩二にやらせた例を引いて、嫌がる宮崎監督に『風立ちぬ』をつくらせた話もなんだかにやにやしながら読んだ。

しかしそれにしても『風立ちぬ』は興行収入120億で赤字だというのは凄い。ということは、『かぐや姫の物語』での赤字を考えると、今年のスタジオジブリの決算はどういうことになるんだろうか?

しかしそんなことには全然動じていない鈴木さんと川上さんがまたおかしかった。彼らにとって映画をつくること自体が目的なので、また次の作品を作れるだけのものが出来ればいい、ということなのだろう。今週末も『風の谷のナウシカ』を金曜ロードショーでやるようだし(通算16回目)、そうやってビデオの売り上げや放送権料で元を回収して行けるから成り立っているということなんだろうな。豪快で繊細な商売だ。

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by Luke Peterson

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