書いてみて初めてわかること

Posted at 11/10/22 Comment(2)»

【書いてみて初めてわかること】

昨日ようやく小説の新作が書き出せたのだけど、今日はそれの先を伸ばして第2エピソードまで書き終えた。枚数にしたらA440字×40行で7枚強、単純に考えて原稿用紙25枚くらいか。構想段階から考えて割と大きな話になりそうなので最終的に何枚くらいのものになるのかよくわからないのだけど、ストーリーというものは書いていくうちに自己展開していく部分があるなと改めて思っている。結局、最初にどうしても必要なものというのはなんなのだろう。キャラクターと設定はさすがにないと書けないし、それは最初にたくさん決めておく、というか材料を用意しておいた方がいいと思う。作っている途中で出てきたキャラクターが最終的にすごく大きな存在になったりすることはよくあるけど、やはり文中で枠(カードル)になる働きをするのは最初に設定したキャラクターなので、やはり最初の設定が大事なのだと思う。

そして私の場合は、書き出すときに場所が決まってないと書けないのだなということがわかった。これは昨日も書いたが保坂和志の教え(?)を守っているらしく、情景描写が自分の小説の中では場面のトーンを決定する大きな役割をになっているので、情景を書いているうちに見えてくるもの、キャラクターの内面とか、そう言うものでさえも情景を書いているうちに見えてくることがあって、だから彼らがいる場所というのはすごく重要なのだ。そしてその場所は、自分が思い描ける場所がいい。それが自分のいたことのある場所であってもいいし、いつも夢に出てくる場所でも言い。一度しか行ったことがないのになぜか印象に残っている場所とか、記憶にはあるのにどこにあったか思い出せない場所とか、人の中にはいろいろな風景が残っているから、どの場所にキャラクターたちがいるか、が決まると自ずと細かい設定が決まってきたりすることもある。まあ書き出しはある意味天が決めているようなものだなといつも思うのだけど、考えた書き出しより何気ない書き出しのほうが私にはあっている気がする。

私はどちらかというとファンタジー系の小説を書くことが多いのだけど、今回はわりと普通の(何が普通なのか?)小説っぽく書いている。情景描写を書くのが楽しい感じだ。いつもストーリーの展開と情景描写とどちらを重んじるかということは大きな問題なのだけど、結局ストーリー展開と情景描写をどのくらいの割合で混ぜるかがその小説のテンポを作るのだなと思う。緩急のつけ方が読む側の生理に大きな影響を与えるわけだから、そのあたりは意識していかなければならないのだけど、そう言う意味では今回はゆっくりしたテンポで書いていて、それが自分の生理には実はあってるのかもしれないな、と思った。

ブレイブ・ストーリー (上) (角川文庫)
宮部 みゆき
角川書店

今回書いて見て思ったのは、『ブレイブ・ストーリー』の影響を受けてるなということ。どこがどうというように示せることではないのだけど、勧められて読んだ『ブレイブ・ストーリー』の、とくに前半部分の話の運び方のペースというか、そういうものから感得したものがあるなあと思った。読むのにものすごく苦労はしたのだけど、そう言うものの中にやはり学ぶべきものがあるということなのかなと思う。そう、やはり自分とは違いすぎるところがあって、私ならこう書くのになあ、と思うところがずいぶんあって、そう言う意味でのフラストレーションがどこかで昇華したんだろうなと思う。宮部みゆきは宮部みゆきでもちろんうまいと思うのだけど、うますぎるというか、わざとあざとくしているところがあって、そういうのは私はどうしても読んでいて異物感を感じてしまうので、自分としてすうっと小説世界に入っていけるような文章をどう書くかということについて無意識のうちに考えさせられたんだろうなあと思う。

実際に書き出してみるといろいろ気づくことがあって面白い。人間いくつになっても学べることがあるんだなとしみじみ感謝している部分もある。

"書いてみて初めてわかること"へのコメント

CommentData » Posted by Riezon at 11/10/22

こんばんは。又ちょっとお邪魔してみました! ブログの画面構成を少々変えられましたか? やっぱり私の姉と同年でいらっしゃるようです。松本でしたらきっと高校同級生でいらしたかと思いました。本当に沢山の本を読まれ、そして自分でもお書きになっているんですね。作品には、ご自分がどのくらい映し出されてしまっておいでですか。何かしら表現活動に関わると、都度都度様々なテーマについて自分の視点を求められ、その中で、本当に空気のように当たり前に存在していた言葉の意味や定義について、実は何も明確に答えられない自分がいて、がくんっと落ちるときがあります。創作されていらっしゃるとき、自らを追いこみすぎてアンコトロールになってしまいそうなときはございますか。もしそんなときがあることもあるようでしたら、自らに良い空気を入れて開放してあげる方法、ご教示下さい!創作、頑張ってください!いつか拝読できたら良いなぁと楽しみにしています。

CommentData » Posted by kous37 at 11/10/24

>Riezonさん
こんにちは。いつもありがとうございます。私は諏訪ですので、当時は松本の高校へ進学できる状況ではありませんでしたから、お姉さんと同級ではないと思いますよ。

自分が言葉を知らないとか、分かってるつもりで分かってない言葉に気がつくとか、本当によくありますよね。で、そういう時はやはり落ち込むし焦りますよね。しなければいけない課題に対して、あるいはここまで行っていたという自分の意識との乖離に気づいて、本当に焦ってしまいます。

私も大学院へ行っていたときとか、教壇に立っていたときとか、不意にそういう気づきが訪れてあわててしまうことがよくありました。まあそのときは取りあえずその場はごまかしてあとで必死で調べたものです。今でもそういう気づきはしょっちゅうありますが、今ではそういう時は「知らなかったのはまあアレだけど今知らなかったということを知ることによって前進したんだからいいじゃないか」と前向きに考えるようにしています。だって、事実ですからね。それを理解することで自分の中がさらに前進し、さらによいものが書け、よい読みが出来るのだから、よかったじゃないかと。

まあ人生短いので、あんまり立ち止まってる暇はないんですよね。とにかく前に進んでいく癖をつけておくことが、自分にとっては大事かなと思っています。

まあいろいろありますが、そのことに関してはそう思っています。

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