トラウマを乗り越えての40代での結婚/『日本画を考える会』/千駄木の往来堂書店とブックカフェ

Posted at 11/05/02

連休とは言いながらいつもよりそう長く休みがあるわけではないのだけど、とりあえず一日余裕があるので今日は割りとゆっくりと。午前中は小説の作業。なかなか形になっていかないけど、少しは進むかもしれない。ただ、どんな作品になるのかよく分からない。去年の暮れに書いた作品以降にうまれたさまざまなイメージをぶち込む感じになりそうなのだけど、果たしてそれが面白いのかどうか。しかしとりあえず書いてみる。

電撃結婚への道
藤本チカコ
PHP研究所

藤本チカコ『電撃結婚への道』読了。面白かった。40代同士の結婚はそれなりに過去もあり、またそれなりにトラウマがあり、それを乗り越えて許し合って始めて成り立つというあたりにそうだろうなあという感じを持つ。40代で独身ということは、それなりにわけありなわけで、その人のいい面にひかれなければ話にならないにしても、そのわけありの部分をどうとらえるか、乗り越えられるか否かに結婚の成否がかかっている、その実感がよく分かるというか、何というか。女性の方に不倫経験があり、男性の方には多額な借金があり。それが、女性の方には父親が借金で自殺したというトラウマがあり、男性の方には奥さんが不倫して逃げられたという過去があるという、もうお互いがお互いの一番痛いところを受け入れなければならないという人生サバイバル、生きるか死ぬかの話を、のほほんとした絵柄のマンガで描いているのだが、多分これが作者はじめての単行本。大変よく出来たマンガだと思う。40代あたりで結婚について考えている人は一度読んでもいいんじゃないかなという気がする。高評価。

小路啓之作品集 2 (バーズコミックススペシャル)
小路啓之
幻冬舎コミックス

『小路啓之作品集2』(幻冬舎コミックス、2008)読了。『ごっこ』の小路啓之の作品集。1997年にモーニングのちばてつや賞準大勝をとった作品など。ヘタレで人間不信な主人公がヤンキーな現実の中であっちへふらふら、もうだめかと思ったりそうでもなかったり、でもわりとやっぱり愛ってものを信じている、というような感じの作品が多いという印象。ヘタレで人間不信でも斜に構えてちょっと格好つけてる主人公から、だんだんアニメ顔の普通の主人公になって、今連載中の『来世であいましょう』とか『ごっこ』になるとダメダメな感じに移ってきていて、それは作者の肩の力が抜けてきたからなのかよく分からないけど、『ごっこ』はダメダメな感じがコミカルなよさを生み出していて結構これは作者にとっても新境地といえるのではないかと思った。私自身の人間観若者観ともっとずっと若い世代の人間観若者観との共通する部分と違う部分を感じ取りたいという気持ちが結構あってそれがこの人の作品に魅かれるところでもあったのだけど、だんだん分かってきた感じがする。言葉にするより作品にそれは生かしたい。

大局観 自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)
羽生善治
角川書店(角川グループパブリッシング)

羽生善治『大局観』読了。今日は今まで途中になっていた本をだいぶ一気に読んだ。この本、読み終えてみるとさすがに羽生氏の本らしく得るところがたくさんあったのだが、特に「コーチングのコツ」という小見出しのところは、ふだん自分が考えていることとよく似ていて全くその通りだなと思った。教えるほうは教わる方が何が分かっていないかをすばやく的確につかむこと。自分が理解した点にまで戻って丁寧に伝えること。教わる側は積極的に質問すること。それによって教える側は何が分かっていないかを的確に理解することが出来るし、同じ説明も何度も聞くことでより確かな理解ができることもあるということ。そしてここがさすがだなと思ったのだけど、すべてを教えるのでなく大部分を伝え、最後の部分は自分で考えて理解させるようにするのが理想的な教え方だということ。こういうことは、教えることを仕事にしたことがある人は一度は考えたことがあると思うのだけど、私が見てても歯がゆいような教え方しかしない人が結構いる。しかし、すごくざっぱな説明なのに生徒がすごく飲み込みがよかったりすることもあるわけで、結構そのへんは阿吽の呼吸だったりする。いろいろ面白い。

午後は中野に出かけて友人に会う。村上隆のカイカイキキがやっている企画、Hidari zingaroの「日本画を考える展覧会」を見に行く。久しぶりのブロードウェイ、まんだらけの奥。サブカルの都で行なわれた展覧会にしては何というか、古典的というか、二十年前にもこういうのあったなあという感じがしたのは否めない。村上が言うように、確かにいまの日本画というのは何を目指したらいいのか分からない、閉塞状況にあって、それぞれが出口のない問いを繰り返している、そんな段階なんだろうなということを思わされた。その出口がマンガなのかどうか、それは正直分からない。私の友達の日本画科の人は日本画=岩絵具を使って描くこと、と割り切ってはいたけど、今更平山郁夫のエピゴーネンになっても仕方がないわけだし。今回の出展には岩絵具さえ使わない人もいたけど、作品としては山田章博の『百花庭園の悲劇』の一場面に似てるなと思った作品だったり、何かもっと見せてくれよとは思った。まあ見どころは「悪い意味で主題が全く見えない」ことだそうなので、確かにステートメントを見てそういう作品だったのかと愕然としたりするのもあったりして見どころは堪能したかもしれない。でもいずれにしても、村上氏の呼びかけに答えて出品した若い人の作品を見ることは興味深いナとは思う。未熟ではあっても、世界を見る目が出来てなくても、でもどんなふうに見ようとしているのかは感じ取れないわけではないから。頑張ってほしいと思う。

サンモールの喫茶店で一休みしたあと中央線でお茶の水に出、千代田線に乗り換えて千駄木まで行って、佐々木俊尚『電子書籍の衝撃』に紹介されていた往来堂書店に行ってみた。佐々木はここで1万円以上本を買ってしまったというが、私も少し立ち読みしただけで簡単に3冊買ってしまった。

小説の自由 (中公文庫)
保坂和志
中央公論新社

保坂和志『小説の自由』(中公文庫、2010)。これは『新潮』に連載した小説論集だということだが、小説についていろいろな角度から考えるのにいいかと思って買ってみた。

ようこそ、絵本館へ
あさのあつこ
文藝春秋

それからあさのあつこ『ようこそ、絵本館へ』(文藝春秋、2011)。私が子どものころ好きだった絵本はほとんど取り上げられていないが、まあ別の角度から絵本というものについて考えて見たいと思っていたのでちょっといいカナと思って買ってみた。名前は知っていても読んだことがない作家さんが書いているというのもちょっとポイント。小説は読めなくてもこういうもので作家さんの雰囲気を知るということで。

作家の家 (コロナ・ブックス)
平凡社

もう一冊はコロナブックスの『作家の家』(平凡社、2010)。ぱらぱらと見てたら山口瞳の家の食堂があまりに山口瞳的なものを髣髴とさせてそれで気に入ってしまった。井上靖も、立原道造も、本当にその人らしい家。一番好きだったのは有元利夫で、アトリエに腰掛けて壁の絵を眺める有元の写真を見ていると、幸福というのはこういうことだなという気がした。

少年十字軍 (海外ライブラリー)
マルセル・シュウォッブ
王国社

千駄木の駅近くに戻って『東京カフェじかん2011』に紹介されていたBooks Cafe Bousingotへ。ここもすごくいい店だった。アイスクリームにエスプレッソをかけて食べるというのも美味しかったし、アイスティーもよかった。店内は古書が見られるようになっていて販売もしている。結局私はマルセル・シュウォッブ『少年十字軍』(王国社、1990)を買った。なんとなく寓話的な雰囲気を持っているなと思ったのだけど、中身はどうか。

というわけでかなり充実し、東京駅に出て友人と別れ、夕食を買って帰宅したのだった。

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