今年読んで面白かった本(5・6月編)

Posted at 10/12/28

昨日。『ノルウェイの森』の余韻を確かめながら、まあ実際にはあまり何もしなかった。小説の方も一度手放して少し時間を置いてからもう一度見直そうという感じになっているので新しい段階には入らず。それよりも「この一年で面白かった本を振り返る」という試みが案外面白く、その時その時の自分がどういうことに取り組んでどういう課題を抱えていたのかとかを振り返ってみるのが新鮮だった。実際、小説にしてもとにかく書くだけ書いてしまってあとは誰かに渡す、と言うだけではやはり何か尻切れトンボというか、自分なりに何が出来て何が出来なかったかということを振り返り味わい直しておくことは大事だなと思った。というわけでこの一年生きてきたことを振り返るということと、読んだ本を振りかえるということはけっこう重なる部分があるのだった。

葬送〈第1部(上)〉 (新潮文庫)
平野 啓一郎
新潮社

5月に印象に残った本。面白い、という感じと少し違うなあとは思うが、まず平野啓一郎『葬送』。文庫本4冊で、2月に読み始めて5月までかかった。一番読んだのが5月なので一応5月に入れておく。いろいろ考えさせる本だったが、ショパンの伝記でなければきっと読まなかっただろうなと思う。でもこういう本が純文学の作家によって書かれるということはちょっと面白いことだと思う。5・6月で印象に残ったフィクションというのはこれだけ、というのは少し驚くが、要は小説を書いているせいだと思う。他のフィクションの影響を受けたくないということで、心が敢えて避けたんだろうと思う。あ、折口信夫『死者の書』があった。これは20年以上前に読み始めて中断していたのをようやく終わらせたという感じ。読み終えて「いい本」だと思ったし面白いとは思ったけど、読むのは何か大変だった。しかしこういう世界自体は好きなので、何か小説のネタに重なっていくところが出てくるかもしれない。

オーガニック革命 (集英社新書 526B)
高城 剛
集英社

あとはまず食関係で高城剛『オーガニック革命』。沢尻エリカの元?夫。大変面白い。オーガニックムーブメントというものの全体像がよくわかり、こういう方向に世の中は動いているなあと言う感じはあった。ただ中には問題になったホメオパシーなども取り上げられていて、やや玉石混交の感もある。まあしかしそれがムーブメントというものだと思うし、淘汰されて行けばいいのだろう。

音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書)
岡田 暁生
中央公論新社

音楽関係で岡田暁生『音楽の聴き方』。この人の本は他にも何冊か読んだが、クラシック音楽というものの構造を理解することによってより音楽を深く理解できる、という方向性。これもショパンから派生したもの。つまりは『ピアノの森』起源で、このマンガが私に対して持った影響力の大きさというものに改めて驚くが、もともとクラシックを理解したいという気持ちももちろんあったから、そちらの方からこの機会に、ということもあった。感覚だけでなく理性的・知性的にも音楽を理解したいという理屈っぽいあなたに最適。

仕事で成長したい5%の日本人へ (新潮新書)
今北 純一
新潮社

自己啓発関係では今北純一『仕事で成長したい5%の日本人へ』が私は好きだった。「成長したい」という思いが人生を明るくする。「このままの状態で一生を終えて幸せだろうか」という問いを出発点にして、もしそうでないなら何を変えればいいのか考えることから始めるといい、ということなど、ビジネスのことだけでなく生きている人すべてに参考になることがあるのではないかと思う。

6月は今年前半に取り組んでいた小説にかなり力を注ぎこんでいて、あまり本は読んでいない。5月はピアノや音楽の方向に深まって行こうとしていたが、6月は「書く」ことに集中していたんだろうなと思う。ブログを読み返してみて「本音の文章と本気の文章」なんていうのは今思ってもそういう分類で私は文章を書いているなと思った。

アラベスク 完全版 第1部1 (MFコミックス)
山岸凉子
メディアファクトリー

読んだもので言えばマンガでは山岸涼子『アラベスク』。これは4巻本で愛蔵版が出た。山岸の出世作だが、後の『日出処の天子』や『テレプシコーラ』に比べると、ちょっと。この人の緻密な構成力がまだ発揮されていない段階かなと思う。だから印象に残るというほどにはいかなかった。小説では6月30日に東浩紀『クォンタム・ファミリーズ』を買っているが、これは7月の方で書こうと思う。その二つをのぞくとフィクションでまともに読んだものは乏しい。

蘇我氏四代―臣、罪を知らず (ミネルヴァ日本評伝選)
遠山 美都男
ミネルヴァ書房

歴史関係で遠山美都男『蘇我氏四代』。歴史は最近はほとんど読まないが、『日出処の天子』の関係で読んでみて、これはかなり面白かった。稲目・馬子・蝦夷・入鹿の虚像と実像というか、蘇我氏再評価的な本だがこういう視点はあっていいと思った。

スタイル・ノート (幻冬舎文庫)
槇村 さとる
幻冬舎

あとは生き方関係で槇村さとる『スタイルノート』。服を選ぶ・買う基準とかからだの維持の仕方とか。50の声を聞く年齢になって来ると「美しくあること」と「健康であること」はほぼ同義語だ、という指摘はその通りだなあと思う。

6月は、私の印象に残ったことで言えば身近にショッピングモール『アリオ北砂』がオープンしたことと、ワールドカップで日本代表が躍進したこと。二つとも予想外に私を楽しませてくれた。そういうことがあると世の中が楽しくなってくる。

***

本の図像を並べてみると、遠心力が働いているというか、新しいものを取り入れたり古いものを生かそうとしたり新しい考え方を取り入れようとしたり、簡単にいえば好きなだけではなく何か新しいものを自分の中に生み出そうとする「努力」が感じられる。5・6月というのはそういう時期だったんだなあと思う。

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