毎日が灰色だったあの頃に

Posted at 10/11/01

今日から11月。天気は今ひとつだ。昨日荒井由美のことについて書いたら何度も『ルージュの伝言』が聞きたくなって、Youtubeで探して繰り返し聞いていたのだけど、なんでこの曲が斬新だったのかということに、何度目かに聴いたときに気がついた。いや、そんな最初に気づくべきことなのだけど、最初からボーカルにかぶってくるベースの半音展開なのだ。ウィキペディアで読んでそういわれてみればそうだなと思ったのだけど、AABB´戸展開する最初の部分で、Aの繰り返しは日本的な四七抜き(ファとシを抜く)で、BB´でファとシを多用するという作りになっている。しかし最初のAの部分からベースは半音階進行がでてくるわけで、気の利いたきらびやかなつくりになっている。展開部(不安な気持ちを残したまま)もドーミーソーラーソラソミレドードラドーとコードで言えばC→Amのベタな展開なのにサウンドが厚くなり、コーラスも入ってくることでベタな感じをさせない。ここは自分でギターを弾きながら歌ってみたりするとそのサウンドの薄さに愕然とする。まあ実際、ユーミンの曲は一人では演奏できないと当時から思っていたが。

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昨日も書いたけど中一のとき初めてカセットに録音したのが『ルージュの伝言』だった。当時はまだラジカセが手元になく、FMラジオにカセットレコーダーのマイクを近づけて録音するという原始的な手段だった。だから音楽が流れている間静かにしていなければならない。途中で物音がすると声を出さないように怒ったり。これはインターネット初期のダイアルアップの時代に大きなファイルをダウンロードするときにキャッチホンがかかってこないようにはらはらしていたことに似ている。いずれにしても新しい時代というのはいろいろ不便を乗り越えてやってきてるんだよなあと思う。

久しぶりにそのカセットを聴いて見ようと思って棚を探してみたのだが、さすがにもうなかった。あれはもうワカメになってしまったのかもしれないな。高校時代に友達に録ってもらったレッドツェッペリンとかはまだ残っているのだけど、旧石器時代のような中一のテープはさすがに散逸してしまったんだなあと思う。出てきてもひどい音には決まっているが、そういうものが懐かしかったりするんだよなあとも思う。

私の中一は1975年、今からそうかもう35年も前のことなんだ。あの頃は少し不登校気味で、『ルージュの伝言』を録音したのも多分学校を休んだ日のことだったのではないかと思う。田舎の中学校で、校則で坊主頭にしなければならず、入りたくもない運動部に所属させられて、毎日が灰色だったあの頃に、ユーミンのサウンドの斬新さに、本当に新しい音楽への憧れを感じたことを思い出す。

『魔女の宅急便』、今思い出すといろいろなことがあるんだけど、なんとなくまだ自分の心の中に留めておきたい感じがする。

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