ハイブリッド

Posted at 08/12/22

昨日の夜に考えていた、自分自身がヌエ的なものであるということについて寝床の中で無意識に考えていた。結局、自分がヌエ的なものであるのなら、どうヌエ的なものであるのか、書くことによって確かめていかなければならない、ということに思いが至った。

ヌエ的、ということは言葉を変えて言えばハイブリッドということだ。自分自身があれでもありこれでもある、ということに関して、嫌悪感を持っていたということは、裏を返せばピュアリズム信仰、もっと生々しく言えば純血信仰みたいなものが無意識のうちに自分を支配していたことになる。それはここの所ずっと、ナショナリズム的な方向に近づいていたことの副作用かもしれない。日本なら日本というものに価値を認めると、日本でないものの価値、日本にある日本以外のものを疎ましく思う価値観に堕して行く恐れがある。というよりも、そうならないためにはおそらく相当強い意志の力が必要だ。日本という価値自体を多くの内の一つと認め、共存共栄こそが正しいという価値観であればいい、と言うか以前の私もそうだったし今の多くの日本人もそうなのだけど、でもそれだと一つの価値を重視する人の世界観自体を排除する、疎ましく思う思いにもつながるということでもあるので、逆にそういう人たちの思いの正当性も認める相当強い意志が必要になる。いずれにしても、人間にとって意志というのは必要なのだ。平和であるためにも、客観的であるためにも。ということは逆に人間というものは自然であれば言葉どおりの意味では平和でも客観的でもない、ということでもあろうけれど。まあそれは未熟だということだろうし、意志を必要とする以上人間はいつまでたっても未熟だということでもあろう。

まあそういう意味で、やはり自分はあるピュアリティを大事にしたい気持ちもあるし、進歩イデオロギー的にすべてのものを生かしたいという気持ちもある。私が言うハイブリッドというのはそういうことで、ある種の矛盾を無数に、常に自分の中に持っているということ、あるいはそれを自覚していることでもある。

それって結局オバマの言っていることと同じなんだなと思う。オバマは自分が白人と黒人のハイブリッドであることにおそらくは相当悩んだはずで、それを乗り越える、突き抜けるためにアメリカという価値観に思い至ったのだと思う。「白人のアメリカでもなく、黒人のアメリカでもなく、ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカなのだ」という彼の宣言は、彼自身がそれを体現しているということの宣言でもある。個人のアイデンティティを国家のアイデンティティに重ね、それが多くのアメリカ人の共感を呼び、「チェンジ」を引き起こしたのだ。

そういう意味では彼の「アメリカ」は、あらたなナショナリズムの成立の宣言でもあり、世界にとっても強力なメッセージであると同時に、ある種の脅威でもあるに違いない。彼がアフガニスタンを主敵としたのは、イスラム原理主義=タリバンの本拠地であることが大きいのではないか。ファンダメンタリズムを敵視するファンダメンタリズム、みたいなものになっていく可能性もあるような気がする。

まあそういう意味で私などはそういうシンプルな乗り越え方は出来なくて、ハイブリッドとピュアリズムのハイブリッド、みたいな複雑なことになっていくことは覚悟している。
ただ、自分の根源を探ろうとしていつも挫折していたのは、「ただひとつ」のルーツを探ろうとしていたからだ、ということはよくわかった。いくつも矛盾する源を自分は持っている。多くの川が流れ込んで、今の自分が出来ているのだ。それは根源的なところからそうなので、何か明確なただひとつのルーツがあるわけではないのだ。

だから自分がどのようにヌエ的であるのか確かめていこうとすれば、かなりいろいろなことを確かめ、書いていかなければならない。そしてそのいろいろなものがどのようにハイブリッドして行ったのかを見ていかなければならない。個性というのは結局、そのハイブリッドの仕方がみなそれぞれにその人だ、ということなのかもしれない。言葉にしたら単純だが、そのハイブリッドの仕方はだれひとりとして同じではないわけだ。

それを明らかにしていくためには、とにかく書いていくしかないのだと思う。そして書いていく間にも、自分はまたいろいろなものとハイブリッドしていく。いつまでも同じ自分ではないし、そういう意味では永遠に「これ」という自分を知ることは出来ないのだろう。人間の不確定性原理のようなものだ。

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