台風:5月に?東京の気温9度:5月に?/池田満寿夫/友人の大切さ

Posted at 08/05/13

昨日もまた寒い一日。今朝も寒い。昨日は薄曇だったが、今朝は大雨だ。台風が近づいているという。5月に?ネコ温度計で東京の気温を見ると9度だ。5月に?

昨日は午前中、頑張って千葉市美術館に『池田満寿夫 知られざる全貌』を見に行くことにした。10時に向こうに着くように行こうと思ったのだが、いろいろやっているうちに出発が10時20分になる。地元の駅を29分に乗り、千葉に着いたのが11時17分。美術館に着いたのは40分くらいだったか。帰りはぎりぎりで一本乗り逃がし、結局家に帰りついたのは2時半頃。片道520円、時間を考えてもだいたい実家から松本に出かけるくらいの感じだ。だからそんなに遠いわけでもない、といえば言えるのだけど、やっぱり遠く感じた。疲れていたせいもあったのだろう。

客はそんなには多くなかったが、年配者が多い感じだった。作品を見て回る。ごく初期の油絵から晩年の作陶まで、確かに池田の「全貌」を知るにふさわしい展示ではあったと思う。また多岐にわたる池田の活動が、油彩、版画、水彩、コラージュ、陶、彫刻、書の順番でそれぞれ年代ごとに展示されている。池田のファン、研究者にとっては見ごたえのある展示だったと思う。しかし、池田満寿夫というとやはり版画なのだな、ということは思った。出品作品のうち92点が版画、それもエッチング、ドライポイント、ルーレット、リトグラフ、メゾチントと多様な技法を駆使している。一番見ごたえがあったのもやはり版画だったと思う。65年から80年の間の作品だ。

私の個人的な感想。版画も65年以前の作品は、どうもあまり線が好きでない。女性を積極的に取り上げるようになって「お洒落」な雰囲気が出てきて、コラージュ的・ポップアート的なものを取り上げだして「カッコいい」感じになった。70年代に少し古典調が入ってきて、『エーゲ海に捧ぐ』の表紙などで見られた、私が池田っぽいという印象のときが、一番魅力的だったような気がする。80年代以降の作品は、もう完全に大家になってしまって、つくったら売れるんだろうなあという感じになっている。可もなく不可もなく、と言ったら何だけど、私には訴えかける物があまり感じられなかった。

全体にいって、一時代前の作家なんだなという気がどうしてもしてしまう。前の世代の作家という、歴史的な面白さはあるのだけど、それがどうも未来につながっていく感じがしない。それは私の世代的な偏見かもしれないので断言はできないのだけど。

帰りにミュージアムショップでポストカードブックと池田満寿夫八方窯製の木の葉皿を買う。完全薪焼成の折り紙つき。木の葉皿はとても使いやすい感じでいい。木の葉の葉脈に醤油が流れていく感じとか、感じがよかった。

池田満寿夫―ポストカード (PRINTART COLLECTION)
池田 満寿夫
玲風書房

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ポストカードブックの巻頭に池田の語録のようなものが載っているのだが、「私の中では性は哲学にまで観念化することはできなく、いつも日常性の中でとらえられる。」という言葉があって、何というか、性に関してある意味すごく未消化というか、そのまま提出している感じが感じられた。それは68年ごろ活躍した人には共通する、その荒々しさが一つの特徴としてあるようなそういう未消化具合、という感じがある気がした。そのあたりもう少し昇華したほうが面白いのではないかというのが私の感じ方なのだが、このあたりは好みの問題かもしれないし、断言は出来ない。千葉市美術館も遠かったが、池田満寿夫もまた自分からやや遠い存在なんだなという気がした。

文芸時評―現状と本当は恐いその歴史
吉岡 栄一
彩流社

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千葉パルコの地下の西友でお昼の買い物をして帰宅。行き帰りはずっと『文芸時評』を読んでいた。現在199/446ページ。話はようやく後半、戦後になって、開高健や大江健三郎が出てくるときにいかに平野謙の文芸時評が大きな役割を果たしたか、というあたりの話になっている。現代文芸史と批評という感じで、歴史的な意味での興味を覚える。またこの時代まで、直言批評、辛口批評が批評の中心だったということも強調されている。この当たり比較的淡々と読んでいる。

帰宅して昼食を食べていたら友達から電話が入り、お茶をしようと誘われた。昨日少し話したときになんとなく鬱っぽいということを言っていたので少々心配になって出かけたがそうでもなかった。大丸のブルディガラカフェでしばらく話し込む。お互いに現状の位置を確認した感じ。自営業者にとっては自分を確認できる機会というのはやはり友人と話したときなんだろうと思う。被雇用者にとっては同僚、という存在が大きいが、経営者には同僚というものは基本的にはないので、友人が大切なんだなと思う。商工会議所や青年会議所などは結局そういう組織なんだなと思った。アートをやる人は特に友達関係でお互いに本音で語り合い、評価しあって自分の位置を確認するということが非常に大事な要素になる。それは芝居をやっていた頃には強く感じていたのだけど、最近またそういうことを感じるようになった。

カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)
亀山 郁夫,ドストエフスキー
光文社

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行き帰りは『カラマーゾフの兄弟』4巻は97/700ページ。イリューシャの話が続く。まだ今のところコメントしたいようなことはない。『カラマーゾフの兄弟』って長い話だな、今更ながら。

神南火 (ビッグコミックススペシャル)
星野 之宣
小学館

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7時半頃友人を東京駅で見送って丸善にいき、少し本を探して星野之宣『神南火』(小学館、2004)と奥野宣之『情報は一冊のノートにまとめなさい』(ナナ・コーポレートコミュニケーション、2008)を購入。星野は、ビッグコミックに連載中の『宗像教授異考録』にでてくる忌部神奈というキャラクターを主人公にした作品。このキャラクターは脇役にしてはずいぶん魅力的だと思っていたが、実は別の作品の主人公を投入した物だということを知った。それは魅力的なはずだ。

情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」
奥野 宣之
ナナ・コーポレート・コミュニケーション

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奥野の本はここのところいろんなところで見かけて気になっていたもの。ノート、手帖、情報整理の問題は私自身もいろいろ工夫して今現在はそれなりの方法ができているがまだまだ改善していかなくてはいけないと思うところが多いために、これは面白そうだ、と思う本があるとつい買ってしまう。今まで数度見かけて買うのを我慢していたのだが、ついに買った。中身はぱらぱら見た程度だが、面白そうではある。

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