乙女のワルツ/香りと霊魂/「心が折れる」という表現/引き揚げ/アートの力

Posted at 07/12/06

NHK-FMをつけたら、『乙女のワルツ』がかかっていた。この曲は好きだなあ、と思いながら聴いていたら、次は沢田研二の『時の過ぎ行くままに』でなお一層懐かしかった。阿久悠特集だったらしい。『乙女のワルツ』はすごい古い曲だという印象だったのだけど、歌っているのは伊藤咲子だった。伊藤咲子といえば『ひまわり娘』しか知らなかったので意外だった、というか、伊藤咲子を見直した。

ゴールデン・ベスト
伊藤咲子
EMIミュージック・ジャパン

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川端康成『伊豆の踊子』の3作品目、「抒情詩」を読了。最高。最高に好きなタイプの小説。女性の一人称、いいなあ。少し前の時代の上品な言葉遣いももう震えるくらいにいい。

伊豆の踊子
川端 康成
新潮社

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途中、霊媒師の話が出てくるのだが、そのイメージが美しい。「地上の朽ちた花の香は天上に立ち昇って、その香が地上とおんなじ花を天上に開かせるというのであります。」花の香りがある種の霊魂、という感じだろう。この印象はすごくよくわかる。匂いというのは、魂にすごい近い現象である気がする。

「そこ(ギリシャ神話)では神さまがまるでかくれんぼをするような何気なさで草花になってしまいます。森の美しいニンフのヘリデスは夫ではない若者の愛の目から隠れるために、雛菊の花となってしまったのでありました。……してみれば私が床の間の紅梅をあなたと思い、その花にもの言いかけたとてよいではありませんか。」「哀れな女神でいるよりも、美しい草花になった方が、どんなに楽しいでしょう」「冥土や来世であなたの恋人となりますより、あなたも私もが紅梅か夾竹桃の花となりまして、花粉をはこぶ胡蝶に結婚させてもらうことが、はるかに美しいと思われます。」ギリシャ神話をそういう目で読んだことはなかったので、非常に新鮮で鮮烈な印象を受けた。これも非常によくわかる。来世でも今と同じ肉体を持つより、美しい花のような抽象化というか具象化というか、そういうものになりたいという感じは共感を覚える。

もう一つ、へえ、と思ったのは、「相手の悲しみにつけこむようだけれど、お父さんは心が折れているから、結婚を許してくれると僕は思う。」という表現だ。「心が折れる」という表現は最近のものだと思っていたし、友人でも「最近若い人がその表現を使うけど私はイヤだ」という人がいたが、川端康成が昭和7年に既に使っていたと知ったら、その印象も変わるかもしれない。

FMで今かかっているのはフルトヴェングラー。音がいいなあ。フルヴェンが振っている曲は、なんかもっと古いレコードみたいな音の録音のものしか持ってないので、こういう録音を聞くとなぜこんなことが可能なんだろうと思ってしまう。

昨夜の「そのとき歴史が動いた」は引き揚げを扱っていた。かなり重い問題だが、ほぼ逃げずに扱っていて、そこは評価したいと思った。自虐的なコメントが付加されていたがそれはまあこういう問題をNHKが扱う上ではそうせざるをえないだろうと思った。満州における日本人に対する中国人やソ連兵の暴行略奪についてもきちんと触れていていい番組だと思った。歴史を直視するとはそういうことだと思う。当時の日本政府の無力さ加減もすごいものだが、ずっと拉致事件について腰の引けた態度を取ってきた点を考えると、非占領国根性は21世紀まで続いてたんだなあと嘆息せざるを得ない。

なるほどと思ったのは、満州から引き揚げが始まった理由だ。満州日本人会のメンバーが決死の覚悟で脱出し、吉田茂外相に訴えたらGHQに行けといわれ、それで実現したという過程も紹介されていたが、その背後には中国の国共内戦があり、満州を占領していたソ連軍が引き揚げる際に満州を共産党軍に引き渡したため、アメリカが国民党軍を大量に艦船に乗せて満州に送り込み、その帰りのあいた船で不確定要因になりそうな日本人を排除するために日本に帰還させた、ということだったそうだ。当時の在外日本人の総数は600万人を超えていたそうで、それは現在の約6倍だという。一朝有事があった時、日本の外務省はどれだけのことが出来るかと考えると、心もとないものだと思った。

午前中、湖に散歩に出て、帰りに駅の近くのビル2FのリサイクルショップでジャンクのCDを二枚購入。『HATARI INCA』と題された、NAZCA MANTAという(多分)バンドのもの。アンデスの民族音楽という感じ。もう一枚はNAHKIというバンドの『SIMIYA』というアルバム。これもなんだかいまいちよくわからないが、(レゲエ?)楽しい感じの音楽。

SI MI YA
NAHKI,シュガー・マイノット
ソニーレコード

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このビルの2Fは実はすごく面白いということがわかった。今まで変な店ばかりだなあと思っていたのだけど。ちょっとヴィレッジヴァンガードみたいな面白いものも売ってるし、案外高校生とか使ってるのかもしれないなと思った。1階の100円ショップでクレヨンと水彩絵の具と絵筆とパレットと筆洗い用の黄色いプラスチックのマグカップを買った。これで525円。100円ショップはやはり偉大だなあ。今度はリコーダーかフルートが欲しい。

私はアートがないと生きていけない、ということを最近強く認識する。逆に、アートがあれば強くなれる、ということも。

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by Luke Peterson

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