ビートルズの『ノルウェイの森』はなぜ『レ』で終わるのか

Posted at 07/11/22

小方厚『音律と音階の科学』(講談社ブルーバックス、2007)を読書中。この本は面白い。

音律と音階の科学―ドレミ…はどのようにして生まれたか (ブルーバックス 1567)
小方 厚
講談社

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楽典について、私は知らなかったことが多い。なぜだかわからないが、あまり勉強する気になれないでいた。しかしこの本は基本的に数学的に説明してくれてあるのが私には非常にわかりやすい。また長3度、短3度、完全4度、完全5度、増4度=減5度といった音程の差もうまく表にまとめてくれてあって、とてもわかりやすかった。またコードも主音+長3度+短3度で長3和音、主音+短3度+長3度で短3和音、主音+短3度+短3度で減3和音、と手際よくまとめて説明してくれてあって、これも非常にわかりやすかった。一般の楽典の本というのはなぜか私にはわかりにくいのだけど、この本の説明はとてもわかりやすかった。

旋法=モードの話もわかりやすかった。ドレミファソラシドがイオニアン旋法、レミファソラシドレがドリアン旋法、以下ミから始まるのがフリジアン、ファからがリディアン、ソからがミクソリディアン、ラからがエオリアン、シからがロクリアンというのだという。「井戸振り見えろ」だそうだ。

この中でイオニアンはつまりは長調の音階、エオリアンは自然短調の音階だが、その他のモードはハーモニーの時代に入ってあまり使われなくなったのだそうだ。

ドリアン旋法はグレゴリオ聖歌に使われているそうで、言われて気がついたが昔よく聞いていたカタルーニャの教会音楽もこの旋法が多かった。ビートルズの『ノルウェイの森』もドリアンだ。クラッシックではドビュッシーが、ジャズではマイルス・デイビスやジョン・コルトレーンがモードを使った奏法を導入したそうで、なるほどあの時期のモダンジャズのああいう感じは新しいというよりは一種の先祖がえりとして試行されていたのかと感心した。

「レ」で終る感じ、というのが斬新でいいなあと思っていたのだけど、こういうのって実際、音楽の長い歴史の中でいろいろ試行されてきたことが各時代にまた試行されているということなんだなあというのがわかってなんだかいいなあと思う。

ところで、旋法の名前はすべて古代ギリシャの地名だそうで、大体は見当がつく。ギリシャ人の3派にアイオリス人、イオニア人、ドーリア人といるが、エオリアンはアイオリス、イオニアンはイオニア、ドリアンはドーリアということだろう。フリジアンはフリギアで小アジアのエーゲ海沿岸の北部、リディアンはリディアで東方系の王国だがやはり小アジアのエーゲ海沿岸中部、この国は最初に貨幣を作ったとされている。ロクリアンはロクリアでイタリア南部カラブリア地方の都市。ということまではすぐぴんと来たのだが、ミクソリディアンというのがわからない。ミクソというのはイタリア語のメゾかな、とも思うが、つまりは小リディア、みたいな地名なんだろうか。

私は高校時代に得意だったのが数学と歴史で、こういう組み合わせが得意でも文系にも理系にもいけず困ったなあと思っていたのだが、まさにこういう音楽の話は数学と歴史が組み合わさったような話で、個人的には非常にツボにはまる。まさか音楽向きの頭脳システムだったとは。今さら気がついてもまあへえってなもんではあるけど。

短音階に自然短音階、和声短音階、旋律短音階があるのは知ってたけど、ザ・ピーナッツの『恋のバカンス』のなかに三つの短音階と長音階がすべてでてくるのを知って、これも感心しきり。音楽って面白いなあ。

ただ今第5章、148ページ。

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