アゴタ・クリストフへの共感/東京のフォーブール・サンタントワーヌ/20年ぶりにギターを買った

Posted at 07/11/03

昨日。いろいろやりたいことはあるのだが郷里にいると出来ないことが多く、少々不完全燃焼。午後は少し休みながら、部屋の掃除などする。実家の方が部屋が狭いのでそういうことでは楽だ。

アゴタ・クリストフ『昨日』読了。やっぱりこの作品最高だ。いろいろ批評して面白いところもたくさんあるとは思うけど、今の気持ちとしては「こんなふうに書きたい」と思うのみ。作者の経験が作品に生きている。ハンガリーから亡命し、親切にしてもらい、親切に職まで紹介してもらって、朝から晩まで時計工場で単純作業に従事する。4歳から本を読んでいた作者は急に、何も聞けず、読めない文盲状態に。そこからフランス語を取得して、ついにはフランス語で書く作家になった。亡命前と亡命後と、果たしてどちらが幸せだったか。その問いかけの鋭さは共感するものがある。住めば浮世なりけり、自由主義国、ということか。文章が詩的。訴えかけるものに溢れている。作者の分身のような男と女。

昨日 (Hayakawa novels)
アゴタ クリストフ,Agota Kristof,堀 茂樹
早川書房

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午後から夜にかけて仕事。キャンセルもあり、割と楽だった。へえと思う発見もあった。8時過ぎの特急で帰京。最近、中央線の特急はいつも割りと混んでる気がする。なぜだろう。携帯でmixiを見ていたら『人間噂八百』の作家の方を発見。書き込み。マイミクをたどって『ステージガールズ』の原作者・作画担当・編集者の日記やサイトなどに行き当たり、いろいろ読む。「ステガ」という略称に編集者が抵抗を示していてへえっと思った。「ステガ」っていう言い方、なんかカッコいいと私は思っていたから。単行本の発売日が11月13日に決定したらしい。早速スケジュール帳に書き込む。(笑)

地元の駅について、駅前の書店で『王様の仕立て屋』の最新号を入手。ついでにと思って探したらあったのでアゴタ・クリストフ『悪童日記』(ハヤカワepi文庫、2001)も購入。三部作が三冊ともあった。

王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ 16 (16) (ジャンプコミックスデラックス)
大河原 遁
集英社

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悪童日記 (ハヤカワepi文庫)
アゴタ クリストフ,Agota Kristof,堀 茂樹
早川書房

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帰ってきて少しネットをやって、寝る。読むものがいろいろあったので寝床に一冊持ち込んだがほとんど読まないうちに撃沈。

今朝は起床6時。天気があまりよくなく、日の出は期待できない。稲荷通りを元八幡まで歩き、富賀岡八幡宮にお参り。このへんの神社では東京神社庁が配布している各月の「生命の言葉」というのを書いたお札がおいてあるのだが、今月の言葉は「花朝月夕」だった。旧唐書に出てくる言葉で、花の咲く春の朝、月の美しい秋の夕方という、自然の美しさを表した言葉、だそうだ。いい言葉だと思う。

歩いてすぐ荒川。しかし朝日は出ないし、どうもぱっとしない。すこし薙刀の型をやる。気がついて見ると、遠くの方までよく見える。なんていうか、今まで遠くの方はいい加減にしか見ていなかったのだけど、東関道の荒川河口橋が思ったより近くに見えたし、走っている車もはっきり見えた。遠くの方まで私の注意が及ぶようになったということもあるけど、冬が近づいて空気が澄んで来たということもあるのではないかと思う。

いつもと同じ道を帰ってもつまらないので、旧葛西橋の方まで歩いて清洲橋通りを歩いて帰ることにする。葛西橋を越えるとたくさんの釣り船が止まっていて、旧葛西橋の西詰めのところには船宿がいくつも並んでいた。以前も来たことがあったはずだが、こんなんだったっけ。今日は祝日の土曜日、釣り客が次々やってきて、ずいぶん繁盛していた。おにぎりやおはぎなどを売る弁当屋も朝から開いていて、なんか楽しそうな雰囲気。清洲橋通りを戻る。旧葛西橋の交差点。このあたりは「葛西橋商店街」なんだ。葛西橋は場所が移ってしまったんだけど。数十年前に。交番の名前も葛西橋西交番。なんか不思議。近くに天祖神社があったのでお参りするが、由緒書きなどが全然なくよくわからない。

(さっきネットで調べたら昔は神明社と称して天照皇大神を祀っているものらしい。うちの田舎では神明社というが、多分東京では明治以降改称させられたと言う事だろう。天照皇大神という神様は不思議な神様だ。神像では男で表現されているものもある。円空は男神で彫っている。このあたりいろいろあるのだろうが、ちゃんと調べてみないとよくわからない。)

清洲橋通りに戻り、ずっと歩く。仙台堀川公園を横切り、丸八通りに交差する。このあたりのコンビニは、土曜の朝だというのにどこも薄緑色の作業着姿のおじさんが多い。かと思えば空き缶をたくさん積んだリヤカーを引いた浮浪者風のおじさんがいたりする。しもた屋も多く、自然に昭和の風景っぽくなっている。初めて引っ越してきた頃、こういう風景があまり好きでなかったなあということを思い出した。今見ると、ただ単にレトロでしかない。でも実際、このあたりは労働者の町なんだなあと思う。革命時代のパリで言えば、フォーブール・サンタントワーヌ。とかけばカッコいいが、まあつまりバスティーユの騒乱が始まった地点だ。まあ幸か不幸か、2007年の旧葛西橋や亀嵩橋では革命が起こりそうなパワーはないけれど。交差点の三井住友銀行。昔は太陽銀行だったんだよなあと思う。しばらく行くと、境川の近くで消防署の支所。あ、そういえば区役所の出張所もこのへんにあったな。昔はよく使ってたけど、最近では区役所に直接行くことの方が多くなった。歩いていると、本当にいろいろなことを思い出す。自転車でも買って、また乗り回してみるといいかもナ、とか思う。コンビニで朝食を買って帰宅。そのときついでにさいとう・たかを『北条時宗』の中巻を買った。(買ったのはコンビニ本)

北条時宗 (3)
さいとう たかを,高橋 克彦,道又 力
講談社

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今日はどうも気が散る。なんだか集中して物が出来ない感じ。モーニングページをかきながら、ごちゃごちゃ用事をする。風呂に入ったり。時間だけはどんどん過ぎていって、よし、と思って、御茶ノ水に出る。今日はちょっと心に決めたことがあった。

本屋をぶらっとした後、交差点上の楽器屋へ。前に見て気に入っていた、リトルマーチンを買うのだ。しかし真剣に見ていたら、何種類もあることが分かった。店の人にいろいろ聞いてみて、弾かせてもらって、結局LX1というのを買うことにした。

写真では大きさが分からないが、普通のアコースティックギターに比べたら、かなり小ぶり。でもマーチンらしいいい音がでる。これで5万を切っている。ケースも、高校生の頃に持ってたアコギのぺらぺらのソフトケースに比べれば雲泥の差のギグバック付。このへん、Yahoo!ショッピングに出ているこちらの方を見てもらったほうがいいかもしれない。(しかしあれだね、私が買った値段より安いよこっちの方が。)

表板が単板で、やはり感じがいい。それにしても夢だったマーチンだよ。中学でギターを始めたとき、ネックがひん曲がったようなのをもらってとにかく一生懸命練習していた頃、世の中にはマーチンとかギブソンとかン十万円するような素晴らしいギターがあって、プロはそういうのを弾いているんだと思い、超憧れたものだ。「リトル」がつくとはいえ、マーチンはマーチン。曲がりなりにも夢がかなった。感無量。

家に帰ってきて、早速弾いて見る。……おかしい、手が動かない。隣の弦に指が当たって音が濁る。こんなはずでは……さすがに20年ぶりでは手が動かないか。(爆)なんとなくがっかりする。

気がついたら昼食の時間を大きく過ぎていたので、昼食を食べがてら銀座にすそ直しに出してあったズボンを取りに行く。駅前の蕎麦屋でカツ丼。食べたらなんだか電車に乗る気がなくなり、地元の西友で液体アタックとテープ糊、夕食の買い物をし、伊勢屋でおはぎを買って買える。全然関係ないが、江戸時代には「伊勢屋稲荷に犬の糞」といわれたくらい伊勢屋はたくさんあったらしいが、今の私はこの店しか思いつかない。(本店は門前仲町)

家に帰ってからマンガをパラッと読み、またギターに手を伸ばす。さっきより慎重に弾いてみたら、だいぶカンが戻ってきた。しばらく夢中になって弾いてしまい、気がついたら暗くなっていた。

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