日本には「小国の外交」も必要/私にとっての「失われた街」

Posted at 06/12/13

昨日。どうにも体調が悪くて困ったが、今朝はだいぶ回復して、普段と同じようなことが出来る。昨日は寒々しくて今にも冷たい雨が降りそうな感じの空だったのだけど、今朝はよく晴れていて、南向きの窓から一杯に太陽が入ってくる。気温は低いけど、これから暖かくなりそうだ。多分そういうことに体調も支配されているのだと思う。冬なんだから天気くらいいいといいのだが。夜は天気がいいと放射冷却してしまうので夜だけ曇りだといいのだけど。虫のいいことを書いてみるだけ書いてみる。

友人からメールでこれを読めと言われた文書がネットにpdfであったのだけど、ダウンロードしてみたら文字化けして読めない。あれれ、と思って仕方がないのでアクロバットをバージョンアップしてみた。なんだか面倒だったのだが、とにかく読めるようになった。pdfの規格もどこかで劇的に変化しているらしい。私のようにけっこう長期間同じ機械を使いつづけるユーザーにとっては不便な話だが。まあこれはPCとかネット全体に言えることなんだけど。

仕事はまあ普通に展開。特に問題なく経過。夜は報道ステーションで中国リサイクル市場がらみの日本国内の銅製品の盗難事件についてのレポートを見る。近隣に経済発展する政治・社会システムの違う超大国があるとことは周辺国にとってはいろいろな困難を生む原因になる。中国の周辺国も、ロシアの周辺国も、アメリカの周辺国もそうだろう。日本も戦前は、また20年前の経済大国時代はおそらくそうだったのだろう。大国が存在すると言うことは、その存在自体の生む風圧で周辺にさまざまな影響が波及する。大国はそういうことにおそらくは意識的に鈍感であるのだが、それはクレームをつけられても彼ら自身が対処できない面が大きいからだろう。われわれはわれわれ自身でわれわれの国を守っていかなければ、われわれ自身の生存権が脅かされる。中国の周辺国との連帯が今後とも必要になってくるだろう。日本には「小国の外交」が必要な面も常にあるのだと思う。もちろんそれだけではダメだけれど。

フィッツジェラルド・村上春樹訳『マイ・ロスト・シティー』読了。昨日日記を書いた後に読んだのは「失われた三時間」「アルコールの中で」「マイ・ロスト・シティー」の三編。

マイ・ロスト・シティー―フィッツジェラルド作品集 (1981年)

中央公論社

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「失われた三時間」は間違いの悲喜劇、という感じ。お互いが昔の幼い恋の残り火を抱えていて、一瞬燃え上がる。結末は苦い。だからこの作品はある意味現代文学的といえるのかもしれない。そういうところがこの時点で村上が評価したのかもしれないが、これがフィッツジェラルドの神髄かというとどうかなと思う。「アルコールの中で」はもう悲惨、絶望。これを読み終えたとき、これは「作品」なんだろうか、と思った。書かれているのは絶望のみ、のような気がする。同じことをおそらく当時の読者も思ったのではないかと言う気がする。フィッツジェラルドはプーシキンに似ている面がある、と思うけれども、この作品を読んで思い出したプーシキンの文章は、彼が妻の愛人と噂されたフランス士官に送った決闘状である。混乱した頭脳から生み出された絶望の表出。フィッツジェラルドにはプーシキンのようなある種の血の気はなかったのだろうけど、絶望の性質はどこか似ている気がする。ただ、二作ともそうだが、ディテールがあでやかだ。そこがフィッツジェラルドの魅力なんだと思う。

「マイ・ロスト・シティー」はフィッツジェラルドのニューヨークという街に対する思いの表出。最初は憧れとして、次には違和感をもってニューヨークに接していたが、しばらくして帰ってきたらもうニューヨークは故郷ともいうべき街になっていた。そして故郷ともいいえる時代―1920年のニューヨーク―は永遠に失われていた。これは日本人の多くが「東京」に感じる感覚と似ていると思う。いつのまにか忘れ難い町になり、いつのまにか懐かしいものは失われている。私にとっては80年代の東京が、「マイ・ロスト・シティー」かもしれない。

後半の三編は、おそらく私なら選ばないだろうなと思う作品だ。村上はどうしてこの三編を選んだのか、と読み終えたときに私は思った。未翻訳のものであるとか、フィッツジェラルドの作品と生涯の全体を紹介するとか、さまざまな目的意識からこういうセレクションになったのだと思うが、選び方自体もやや生硬な気がしないでもない。ただどちらにしてもプーシキンの作品と違って私自身がすべてを読んだわけではないので、選択の意味もこちらが考えつかないようなことがあるのかもしれないと思う。もっと読んでみなければ、フィッツジェラルドの作品群の持つ意味も、まだまだ見えてこないのかもしれない。

なんだかまた曇ってきたな。晴れて欲しい。


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