対英米協調主義と反米主義の起源

Posted at 06/08/04

ようやく本格的な夏がきたなあという感じ。真昼は暑い。朝夕は結構冷え込むし、乾燥するのだが。

昨日は里帰りしていた妹が予定日より早く出産したため、家中が忙しくなり、私は松本に行くついでに甥を連れて松本城の見学に行くことになった。小学4年生というものがどのくらいの速さで歩くのとかあまりよく自覚していなかったので結構早足で連れ回してしまったようだが、それについてきたので偉いものだと思った。いろいろ説明してやっても結構理解しているようだったが、高いところに上るとどこに上っても「ここから落ちたら死ぬかな?」とかそう言う質問ばかりするので小学生だなと思った。博物館も同じチケットだったので行ったのだが、剥製のモンゴル犬を見てびびっていたり、福島中佐の長靴を見て「なんでこんなの展示してるの?意味ないじゃん」とか言ったり、やっぱり小学生だった。門を出たそばの蕎麦屋で天ざるととろろ蕎麦を食べたが、ちょっとやろうと思っててんぷらを食べさせたらおいしいといってどんどん食べたのでこっちはちょっと困った。(笑)結局山菜御飯を追加注文して小腹を癒えさせたのだが。

夜の仕事は比較的暇だったが、飛び入りがあったのでまあまあやることがあった。

中村隆英『昭和史』を読み直す。これもだいぶ前に読んだものだが、ちょっと調べなおすことがあって最初の方だけ読んでいたのだが、現在問題になっている外交方針で、「対英米協調」か、「反英米」かという路線争いはベルサイユ―ワシントン体制の成立によって始まったのだなと気がついた。そして「対英米協調」の目的は、いずれも東アジアにおける伝統的な中国の脅威、18世紀以来のロシアの脅威に対抗することだ、と理解する。この時点では中国の脅威というより東アジアにおいてより有利な地歩を占めるため、ということになろうが、そのために英米協調路線を選んだ原内閣と、それを英米の世界支配に利用されるだけだと反発する強硬派の対立が起こったということなのだと思う(もちろん19世紀以来英米の脅威も存在するわけだから)。倫理的に考えれば英米植民地主義と強調することを拒絶する後者の方が筋が通っているように見えるが、こちらの考え方には戦略が欠けている。

昭和史〈1(1926‐45)〉

東経

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一方、中国にとって見れば伝統的な北方遊牧民の脅威がロシアの脅威に連続し、19世紀以来の英米の脅威、19世紀末以来の日本の脅威が存在するわけで、脅威に負けない自国のパワーの増大に力を注ぐと同時に周囲の勢力とどのように合従連衡するかという問題が常に存在している。それが最も端的に現れたのが第二次世界大戦で、ロシアと結びつく共産党、英米と結びつく国民党主流(蒋介石派)、日本との同盟を試みた国民党汪兆銘派が三つ巴で争い、最終的に共産党が勝利したわけだ。毛沢東主義がナショナリズム化した文革期にはロシアとも英米とも日本とも対立していたが、現在ではロシアと和解し、英米とは取引をしつつ、日本を懐柔したり恫喝したりしているというところなのだろう。もちろんそうした同盟関係は常に流動的だからどう変化するともわからないが。

日本において、英米協調派が具体的な方策を常に打ってきているのに比べ、反英米派の戦略は定まらない。ただ対米追従一辺倒の危険性も常に考慮すべきなのだが、そうしたグランドデザインがどの程度政治家にあるかということはかなり重要なことだろうと思う。今のところ、そうしたはっきりした思想が見えるのは安倍晋三くらいしかいないのではないか。

話はずれたが、そう考えてみると第一次世界大戦後に生じたアメリカの覇権(世界外交のヘゲモニー奪取)は現在も続いていて、それを東アジアの現実に合わせてどう戦略を組むかというのが外交政策の基本ということになろう。

そう考えていくと、安保理の常任理事国体制も、中国にとってはどう考えても現状がベストなのに対し、アメリカにとってはもっと自己に有利に改変するべきものであろう。日本がここに食い込むのはつまりは中国とロシアの既得権を侵害することになるわけだから、相当な外交努力が必要なのは当然だ。

ちょっと取りとめがなくなったが、そんなことを考えた。

そうそう、ちょっと時代を感じたのが、叙述がロシア革命から始まっていたことだった。確かに昭和の終わりと冷戦の集結は重なるので、そういう感慨はあるだろうと思うのだが、もはや2006年の現在においては社会主義は過去のもので、現在の世界を説明するにはあまり有効でない感じがする。


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