レナータ・テバルディ/アメリカのいかりや長介/子どもの救急サイト/格差社会
Posted at 06/02/28 PermaLink» Comment(0)» Trackback(0)»
昨日。『プーシキンとの散歩』読了。作者はソルジェニーツィンらによってずいぶん批判されたらしい。ソルジェニーツィンといえば日本ではソ連体制に反抗した反骨の知識人という感じだが、現代のロシアではいわばロシア・ナショナリズムの偶像となっているらしい。プーシキンの「聖性」を否定したと言う咎でこの作者は批判されているのだが、文学と政治の隠微な関係というのは果てしないと思う。
午前中は原稿を少し書き、昼間に出かけて銀座の山野楽器でCDを3枚購入。「ショーソン交響曲・マニャール交響曲3番」と「レナータ・テバルディのアリア集」、「ムソルグスキイのオペラ、ボリス・ゴドノフ」である。3枚の欲しかった起源はそれぞれ違う。ショーソンは『全生』の前号の巻頭で野口晴哉師がこの時期はショーソンばかり聞くと書かれていたこと、テバルディは以前見たテレビ番組で90歳を超える日本のテナー歌手がカラスを貶しテバルディを絶賛していたこと、ムソルグスキイは言うまでもなく原作がプーシキンだからである。それぞれうなずけるところがある。
ショーソンは19世紀終わりごろのフランスの作曲家だが、後期ロマン派とでも言うのだろうか。非常に瞑想的な曲想で、マーラーなどとも通じるところがある。同じ時期、いや少し違うがヨハン・シュトラウスなどがウィーンローカルという感じがするのに対し、こちらは世界性を感じる。19世紀というのは音楽の中心もウィーンからパリに移った時代、といえるのかもしれない。テバルディの歌声は陳腐な表現で申し訳ないが、まさに天上の歌声としか言いようがない。カラスのような引っ掛かりが全然ない。情感はあっても情念はないというか。芸術至上主義の一つの鑑という感じで、最近こういうものに強く魅かれるようになって来た。ムソルグスキイは3枚組で今も聞いているが聴ききれない。しかしロシアものというのはやはりいいな。無条件に懐かしい感じがしてしまう。なぜなのかよくわからないが。
山野楽器を出て教文館を冷やかしに歩いてみるが、岩波文庫の復刊でネクラーソフ『デカブリストの妻』をつい買ってしまった。あまりプーシキンに関係してくるとも思えないが、デカブリストには何か惹かれてしまうものがある。それにしてもこの3日間でずいぶん散財した。あとが怖ろしい。
友人と電話で話していてヘプバーンの『パリの恋人』がいい(今考えてみたらこの題名、『ローマの休日』の二番煎じだ。原題は"Funny Face"である)という話をしたらまた見たくなり、もう一度見直してやはりいいなと思った。ワンシーンワンシーンをうなずき味わいながら見直すが、自分の中でケイ・トンプソンがいいという気持ちがどんどん膨れ上がっていく。でちょっとネットで調べると、1911年生まれで97年になくなっている。ヘプバーンより長生きである。アステアは1899年生まれ、ヘプバーンは1929年生まれということも分かり、やはり既に歴史というべき時代の人々なのだなと再確認。トンプソンはやはり何でもこなすおそるべき才能であったということが分かったが、終いには「エロイーズ」シリーズと言う絵本までいくつも出していて、ネットの情報ではむしろそちらの方で評価されているらしい。何というか、アメリカの「いかりや長介」みたいな人だなと思ったが、顔が長いという点しか似てないかも知れぬ。
朝なんとなくNHKをつけていたら子どもの救急というサイトの紹介をしていた。子育て経験のない親の増加と少子化による小児科医の減少などによる小児科医の過酷な勤務が問題になっているが、こうしたサイトを活用できれば親も医者も少しは肩の荷が下りるかもしれない。ニュースでこのサイトを紹介した直後は物凄くサイトが重くなっていたが、今はそうでもない。しかしそうとうアクセスが集中したのだろうと思う。
続いての生活ほっとモーニングでは「格差社会」を取り上げていた。若年層の低所得化という問題の深刻さは確かになかなか認識されにくい問題だと思う。今のところ、親の世代に頼るという日本社会の懐の広さというか、そうした安全弁が働いているから表に出てきていないのだが、これは時代が進むにつれてどんどん深刻な問題になっていく可能性がある。今からでも職業教育というものをもっと実用的に徹底していくことと、確実な雇用をどのように生み出すかといった企業と行政側の姿勢の問題があるだろう。意欲がある人たちを生かす仕組みがもう少し出来てこないとなかなかどうにもならないとは思う。本人たちの自己責任だけでは解決しない部分はやはりあるだろう。
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