『ロシア怪談集』/ヴォルテール『哲学書簡』

Posted at 06/02/01

プーシキン全集にアプローチするにはどうするのがよいかといろいろ考える。徒歩圏内の区立図書館に全集が揃っていることがわかったので、とりあえずはそれを借りることから考えようかと思う。昨日帰郷。鞄の中の本はヴォルテール『哲学書簡』、ショウペンハウエル『読書について』、ベリンスキー『ロシア文学評論集』、國本哲男『プーシキン』、安野・藤原『世にも美しい日本語入門』。ネットで区立図書館で借りられるプーシキンの作品を検索し、東陽図書館に出て沼野充義編『ロシア怪談集』(河出文庫、1990)を借りる。この本題名はナンだが、収録されている作品はゴーゴリ、トルストイ、ドストエフスキー、ツルゲーネフ、チェーホフ等々と来て最後はナボコフ。ロシア文学の流れもわかりそうななかなか面白い構成。プーシキンの作品はその冒頭に掲げられている。作品は「葬儀屋」で、これは「ベールキン物語」に所収されているのでもう読んだが、好きな作品である。これが収められているということは、怪談といっても「コワイ話」という意味ではなく、「怪異譚」ということなのだなと思う。案の定、ロシアっぽい怪異が次から次に登場してくる話でコワ面白い。怪異というのはその民族の心理の裏というか無意識というか弱さというかどちらにしろその民族に独特の何かを表現しているのだなあと読みながら思う。中国の怪異は中国っぽいし、日本の怪異は日本ぽい。ロシアの怪異はデタラメで面白い。デタラメといえば怪異は何でもデタラメに決まっているかもしれないが。

東京駅の地下で弁当を買い、中央線で新宿に出、特急に乗車。車内では主にヴォルテール『哲学書簡』を読む。どんな感じかなと最初は思ったが、実に読みやすいし面白い。ユーモア、いやフランス人だからエスプリというべきか、そういうものを感じさせながらすらすら読ませる。18世紀前半当時のイギリスの事情を紹介するのが主な内容なので、歴史的な視点から見ても非常に興味深い。この本は25の「書簡」から成っているのだが、最初の4章はクエーカーの説明で、7章までは宗教関係の説明である。ヴォルテールはカトリックの立場からクエーカーに会ったときの戸惑いと感想を述べていて、そのあたりは「偉大な常識人」だなと感じさせる。8章以降は議会、政治と紹介内容が変わってきて、このあたりになると貴族を追剥ぎ扱いしたりし始めるので過激な思想家という雰囲気が出てくるが、常識人的な側面が彼の合理主義的・理性主義的な啓蒙思想を支えているのだなということを感じた。

夜は仕事。こちらは風邪が流行っている。インフルエンザにかかっている人もずいぶんいるようだ。今日は雨。旧暦ではもう正月になっている、ということは季節としては春だ。明後日は立春。本当なら一番寒い季節なのだが、信州の山深でも春を感じさせるものは多い。


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