4月30日村上春樹・川上未映子「みみずくは黄昏に飛びたつ」(新潮社)日比谷シャンテ八重洲ブックセンター。
村上春樹に川上未映子がインタビューする、という本で、これはかなり面白かった。村上春樹の本は基本的にすぐ読んでしまうのだが、でも紀行文とかエッセイとかはあまり読めないな、そういえば。私は彼の感性に共感するから読むというのではないからなのだと思う。エッセイとかで彼の感性が現れているような文章は読んでても正直あまり面白くない。それが小説の中に書かれていることならそうも思わないのだけど、村上さん本人の感覚として述べられると「この人には共感出来ないな」と思ってしまう。
インタビュアーの川上未映子さんの作品は私は「乳と卵」しか読んでないが、正直よくわからない。よくわからないということはあまり面白くなかったということだ。それにこの本の中でも自分はフェミニストだと言っているし、また村上さん本人がよくいう「僕はとても個人(主義)的な人間なので」というところにも必ずしも共感出来ない。
しかし、この本がとにかく面白く、最後まで割合一気に読めてしまったのは、小説を書く、あるいは文章を書く、物語を作る上での方法論みたいなものがかなりふんだんに明らかにされていて、また川上さんが聞きたいことに対してかなりしつこく食い下がっていて、村上さんがかなり返答に窮したり考えてから答えたり、あるいは川上さんが意気込んで質問したことがするっと透明人間みたいに村上さんを通過してしまったりするそのやり取り、つまり二人の丁々発止がとても面白かったということもある。
最初は感想をツイッターでツイートしながら読んでたりもしたのだが、途中からとにかく読もうという感じになってじっくり読み、またもう一度読み返したいという感じもあって、途中からはツイートしなくなった。
しかし、300ページを超える本を間然とすることなく読み切ったのは村上さんの「騎士団長殺し」以来で、年に何冊もない。(「応仁の乱」さえ途中で渋滞してる)すごく自分にとっても色々なものが刺激される本だった。