10.「ラ・ラ・ランド La La Land」感想続き。(2)志と愛の映画。(03/13 19:32)


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あの夢と現実の狭間で耐えられなくなって破局して行く、あの辺りを本当に人ごとじゃないと思う人はたくさんいるんじゃないかな。この映画では結局二人の仲は壊れたけど、お互いの夢は叶えた、というところがまた泣かせる。いや、泣くしかない。

印象に残る場面はたくさんあげられる、と言うか一つひとつの場面がこんなに印象に残っている映画も最近内気がするけど、一つあげるとすると、セブが「本格的なジャズの店を開く」という夢よりも「まずは売れる」ということを目指して友人とバンドを始め、それが大受けして売れっ子になるのだけど、そのライブに行ったミアが音楽を聴いて戸惑いを感じ、その音楽がセブのやりたいものでないことを知っているミアの顔がどんどん曇って行く、曲が進むに連れてどんどん周りは盛り上がって行くのにミアの顔がどんどんシリアスになって行く、あの場面は本当に見ていて背中に冷たいものが走った。

この映画は本当に純粋に「志」の映画で、そういうものがハリウッドで作れるんだということに感動。そう、「志と愛は両立し難し」、という普遍的なテーマ。

ミュージカル映画の定番シネマスコープで描く、志ゆえの愛の破局の物語。ダンスや歌の場面のはさみ方も、かなり新しさを感じた。

ラストに延々と「もし二人の愛が成就していたらという「起こらなかった未来」が延々と描写されているところは本当に泣けて来る。ミアにとっての最大のチャンスが、決定的に二人を遠ざけ、別の道を歩ませることになる。

本当のラストは、二つの映画を思い出させた。「第三の男」と「君の名は。」「第三の男」で最も印象的なシーンは、ラストシーンでアリダ・バリがジョゼフ・コットンに一瞥も与えずに去って行く場面だが、この映画ではラストで二人はお互いに視線をかわし、微笑んで別れる。この場面で救われもするし、また切なさも募るわけだけど、これは合えないまま終わってもおかしくなかった「君の名は。」の瀧と三葉がラストで現実に出会い、ここから愛が始まりそうな場面で終わることと重なった。

「ラ・ラ・ランド」も「君の名は。」も2016年の作品。すれ違いよりも、出会えることの方がリアルに感じられる時代、なのかもしれないと思った。

志と愛の映画。そんなふうに私は感じた。「La La Land」、良かったなあ!

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