8.「鳥類学者」とか「ブラッククローバー」とか。(05/08 15:56)


< ページ移動: 1 2 3 >


なかなか新しい本を買ったり読んだり出来てないが。

昨日は東京駅八重洲北口の三省堂書店で本を見ていて、コメニウス「世界図絵」(平凡社ライブラリー、1995)と川上和人「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」(新潮社)を買った。

J.A. コメニウス
平凡社
1995-12



「世界図絵」は子どもが世界を学ぶ時に向けた教科書と言えばいいだろうか。コメニウスは17世紀チェコの人だが教育学の祖のひとりと言われ、新教国のモラヴィア(チェコ)をハプスグルク家が支配したことによってカトリックのみが公認の宗教にされ、ポーランドを始め諸国に亡命し、最後はオランダのアムステルダムで亡くなった。

内容を読むと17世紀当時のヨーロッパの世界観がよくわかるとともに、その表現の簡潔さは何だかおかしみを感じさせる。神、世界、天空・・・とそれぞれについて説明して行くが、例えば53「肉屋」では「肉屋は太らせた家畜を屠殺します。(やせたものは食用になりません)」なんて書いてあって、絵入りでそれぞれの言葉について番号がふってあり、その同じ番号を絵で探すとそれが何だかわかるようになっている。子どもにものを教えるってこういうことだなと、日本の戦前の教科書なんかを思い出した。

序言では「無知にとっての薬は学識です。それは学校で若人にもたらされるべきものです。したがって、真実の、完全な、明らかな、そして確実な学識であることが望まれるのです。人生にとって有益であるものだけしか教えたり学んだりしないならば、それは真実となるはずです。」というような文章があり、まあ言ってることがわかる部分もあるが、現在でもある種の人々にとって疑いなく正しいと思われるようなことだよなと思うが、こういうところが「教育」の怖さで、ある種の「洗脳」でもある所以だ。先生の言ってることが絶対正しい、という教育には辟易して来た私などにはやや苦笑してしまうところがあるのだが、ただ生徒にはまず第一に「正しいこと」を教えざるを得ない、という面が教育にはある。批判力を身につけるより前に、教育は始めなければならないのだし。

まあいろいろそんなふうに考えさせられはするのだが、よくも悪くも教育の原点みたいなものがここにあるなと思うし、そういう意味で面白いなとは思った。まだあまり読んではいないのだけど。

川上 和人
新潮社
2017-04-18




< ページ移動: 1 2 3 >
8/5020

コメント投稿
次の記事へ >
< 前の記事へ
一覧へ戻る

Powered by
MT4i v2.21