4589.ふくよかな死体、豊かな妄想(06/11 11:42)


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昨日は午前中から仕事。ペースがつかみにくかったが、とりあえず午後7時半に終了。ラーメンとギョーザを食べて8時24分の特急で帰京。信州は寒かったが、東京は、新宿駅の西口の方にシチズン提供の時計と温度計があるのだが、それが午後10時を過ぎているというのに22℃を指していて仰天した。確かに暑い。

ダッシュして中央線快速に乗り、東西線に乗り継ぐといつもより10分ほど早く地元の駅へ。少し買い物して家に着くと普段直で帰った時間。少し得をした気がしないでもない。

特急の中では『文学界7月号』を読んでいたのだが、これはいい、というのは特になかったのだが春日武彦「無意味なものと不気味なもの」の中で車谷長吉『忌中』という小説が取り上げられていて、これがちょっと印象に残った。

<画像>文学界 2006年 07月号 [雑誌]

文藝春秋

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『忌中』は60代の主人公が妻の介護に疲れて殺し、自分も自殺を図るが死に切れず、その死体を茶箱に詰めてときどきその中をのぞいてはいわば愛を確認し、結局は自分も自殺する、その過程を書いているのだが、この茶箱の中の死体が腐っていくさまの描写が紹介されていて、これがまあなんだか耐えられないような感じである。

<画像>忌中

文藝春秋

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この手の描写といえば思い出すのは谷崎潤一郎『少将滋幹の母』であるが、いずれも愛ゆえの男の迷い、みたいなものを描いている。こちらも最初に読んだときにはほとんど正視に耐えなかったが、今思い出してみると不思議なエロチシズムがある。

<画像>少将滋幹の母

中央公論新社

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