まあそんなふうに考えていくと、「非同一性的思考」は少なくとも「彼ら=西欧人」には必要だということにはそんなに同意できなくもない。しかし、「我々」にそれを押し付けられたのでは、「冗談じゃない」と思う、ということだろうか。日本人は西欧的自我が発育不良だ、と散々言われてきているのに、そんな状態で自我の解体など言い出したら人間の内的統一性が完全に崩壊する。というか、「倫理観」とか「責任感」というものはそういう内的統一性がなければ生まれるべくも無いものだし(特にそういうことをかんげると私自身が自分自身の内的統一性の弱さを感じている)、日本で起こっているさまざまな社会問題はそういうものに由来するところが相当多いのではないかという気がする。二項対立を否定したら二項を立てること自体を否定すると言うのでは、短絡もいいところである。
まあしかし、理論的にはともかく、扱っているのが中東に関する言説なので、私自身の関心と中東をめぐる今日的問題関心とちょうどマッチしていることは事実で、引用されている言説そのものは私にとっては興味深いものが多い。議論を読まないで引用だけ読み、それに対する著者の見解を読んで自分で考えてみる、というのが一番建設的な読み方なのかもしれない。
先ほどは曇っていたのだが、ついに降りだした。ちょっと風雨が激しくなりそうな雰囲気だ。
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